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61話 就寝・洞窟

 アリスの登録をするべく受付へと行き、アリスの分の宿泊費用を払おうとしたが、部屋をこれ以上取らないことから食事代のみを清算してくれたらいいとのことだった。


 一旦クロスの部屋へと集まる。


「よし。アリスはこのままメイに任せるよ。だから色々と教えてあげて。一応このまま旅に連れて行く予定だから、部屋はメイと同じ部屋で一緒に寝てね。」


 メイは少し戸惑っているようだ。


「…わかりました。どの程度まで教えたらいいでしょう?」


「ん~その辺の判断はメイに任せるよ。」


「では、従者として必要そうなことを一通り教えておきます。」


 アリスには今後一緒に行動するのでメイに


「お願いね。それと明日なんだけど、メイはアリスに色々と教育してもらうから残ってもらうとして、ナタリアはどうする?僕は南のケーニヒス山の洞窟に行くんだけど。」


「そこには何をしにいくの?」


「錯乱キノコを採りに行くんだ。ウィングバットが居るんであまり来ないことを僕は進めたいけどね。」


「ウィングバットか…、確かランク3よね?」


「ん~。その辺りかな?ギルドの本で見たときも確かランク3と書いてあったと思う。」


 確か本に載っていたのはランク3と書かれたいたはずである。


 特徴などばかり調べていたので、ランクについてはそれほど真剣に覚えていなかった。


「それなら私もついていこうかしら。誰かが居ればなんとかなりそうだし。」


 どうやら前回のことで、クロスが居ればなんとかなると思ってしまったようだ。


 クロスとしては、付いてきて欲しくは無かったのだが…。


「基本は自分の身は自分で守ってね。」


「従者を守るのは主人の甲斐性よ。」


 溜め息と共にこれ以上言うのを諦める。


「じゃあ明日の予定はそんな感じで良いかな?」


「はい。」


「了解。」


「………。」


 アリスは何も言わないが、頷いたので納得はしたのだろう。


 メイに3万リラを渡しておく。


「これで必要な物をある程度買っといて。服はあるからそれ以外で。」


 クロスは、魔法で服を出しメイに渡す。


 アリスはその光景を見て言ってくる。


「私もそれ出来るようになりたい。」


 どうやらあまり魔法については知らないようだ。


「メイ…魔法についても教えてあげて。」


「その必要がありそうね。」


 盗賊の技術ばかり教えられて、魔法については教えられてはいなかったようだ。


 それぞれが自分の部屋へと戻っていく。


「これであの子をあなたの代わりにしようってことね?」


「メイにしてもアリスにしても慣れていけばいいと思う。」


 クロスとしても、何時までもこのままではいけないと思っていたので、アリスの存在は丁度良かった。


「ではまた明日にでも。」


 みんなが自分の部屋へと戻ったところでクロスは眠りについた。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 深夜の真っ暗な中、目が覚めた。


 扉の奥の通路に誰かがいるような気配を感じる。


 相手は気配を殺しているようだが、これだけ静かなところだと床の軋む音までは完全に殺せ切れていないようで、わずかにだが音がしている。


 集中して聞かなければ、窓を叩く風の音と勘違いしてしまいそうだ。


 時を止めて通路を確認してみる。


 鍵を開けて通路を見ると、そこには見知らぬ男がいることがわかる。


(他の部屋に宿泊している客か?それにしては気配を消す意味が分からないが…。)


 その男がどういう行動をするのかに興味が沸いたので、通路の隅のランプ光が届かない位置に佇み様子を見るべく時を戻す。


 男はゆっくりと進むとクロスの部屋の扉に耳を当てると、続けて隣のメイとアリスの部屋の前で同じように止まると、また扉に耳を当てて中の音を聞いているようだった。


 そして、さらに隣のナタリアの居る部屋の扉に耳を当てて何かを確認すると、その隣の部屋へと入っていった。


(何がしたかったんだ?部屋に入ったところを見ると宿泊客のようだが…。)


 怪しい男であることには間違いはない。


 クロスたちのいる三部屋については扉に耳を当てて中の様子を確認していたにも関わらず、その隣の部屋に入る際には迷いもせずに入っている。


 少し経ち、時を止めて男の部屋を調べるべく、取っ手に手をかけて引いてみるが、鍵がかかっているようで開くことはなかった。


(朝になったら宿屋の人に確認してみよう。)


 部屋へと戻り時を戻して再度眠りについた。


 この時にもっと警戒しておくべきだったかもしれないが、この時点で分かるはずもなくベッドへと潜り込んだ。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 朝になり、部屋を出て食堂へと向かう。


 食堂ではすでに三人がテーブル席に座って待っていた。


「おはよう。待った?」


「おはよう。」


「お…はよう。」


「おはようございます。それほどお待ちしていません。」


「では予定通りメイはアリスをお願いね。」


「かしこまりました。」


「アリスもいいね?」


「はい。」


「僕とナタリアは南の山にある洞窟に行ってるから、たぶん戻れるのは夕方くらいになると思う。では朝食にしよう。」


 予定を確認したところで店員に朝食を注文し食事を済ませる。


 食べ終わってからクロスとナタリアは外へ、メイとアリスは部屋へと戻っていった。


「まずは昼食を買いに行こう。」


「中央広場で買うのかしら?」


「そうだよ。中央のとこでパンを買っておこうと思ってね。」


 町の中央にあるパン屋へと向かう。


 パン屋にて飲み物を買ってきてもらい、その間にこちらは飲み物を買いに行く。


 そうして準備ができたので町の南の門から、町の外へと向かった。


 南のケーニヒス山まではそんなに遠くはなく、一刻程度で山の麓へと到着する。


「洞窟ってどのあたりか知ってる?」


「私が知るわけないじゃない。その洞窟の生態すらしらなかったのよ?」


 ナタリアは今更何を言ってるんだ?というような顔で言ってくる。


「知らないとは思ったけど、一応知ってたらな~と思ってね。」


 そうやらナタリアはこのあたりの生態や洞窟の場所などの地理に関しては全く知らないようだ。


(生態や地理はしらないのにウィングバットのランクは知ってたんだよな…。)


 不思議に思いつつも、山の上部の方を左側に確認しながら南へと進む。


 どれくらい南下しただろうか。


 恐らく日の傾きから二刻程だと思われる。


 その場所の上部の方で、山の一部が抉れているのが分かる。


「たぶんあそこかな?」


「たぶんなんて曖昧ね。」


「仕方ないじゃないか。ギルドで調べたけど、山に洞窟があるって書いてあるだけで詳細な場所が分からなかったんだから。地図を見ても距離までは書いてなかったし。」


「責めているわけではないわ。さっさと行って採集してきましょ。」


「錯乱キノコの近くは注意してね。胞子が出ていると混乱して幻覚が見えるみたいだから。」


「えぇ気を付けるわ。ちゃんと布当てもあるし、胞子を吸い込むことはないわ。」


「準備がいいね。まぁ僕も準備しておくかな。」


 魔法にてフードと覆面を出して着用する。


「では行こうか。」


 こうして洞窟へと入っていった。


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