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34話 起床・突然

 目が覚めるとクロスはベッドに寝かされていた。


 ふと横を見ると、メイが椅子に座りこちらを見ている。


「おはようございます。クロス様。」


「おはよう。メイ。」


 ベッドから起き上がろうとするが、メイに手を握られ止められる。


「なに?」


「昨日のような事はよくあるのでしょうか?。」


(昨日何かあっただろうか?)


 不思議そうな顔をしていると、メイが言ってきた。


「魔法が枯渇するような状況になることを申しています。」


 確かに、寝る前の運動と兼ねて魔法の練習を行っていた。


 夢中になって眠気や体の冷えに気付けなかったことを思い出す。


「そういえば無属性の魔法の練習してて、魔法力が枯渇するまで使っちゃったんだよね。」


「理由が自分で分かっているならばいいのですが、今後お気をつけください。」


 メイが手を離してくれたので再度起き上がる。


 今回はきちんと服も着ており、体の傍らに湯たんぽが置かれていた。


 改めてメイを観察すると、寝てないのか目の下に隈が出来ている。


「メイ寝てないんでしょ?寝てて良いよ。」


「はい。申し訳ありませんが休憩させていただきます。」


 クロスは完全に起き上がり、普段の服に着替えながら言うと、メイはクロスのいた布団に潜り込んだ。


(なぜ自分の部屋で寝ないんだろう…動くのすらきついのかな…?)


「今どれくらいかわかる?」


「おおよそ日の出後二刻程です。」


「ありがとう。」


 クロスはメイを寝かせて部屋を出た。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 クロスが部屋を出たのを確認し、メイは昨日の事を思い出す。


 昨日家の中の家事を済ませて、外の様子を見るとクロスが倒れていた。


 メイは何事かとクロスに駆け寄り状態を確認する。


 クロスはうつ伏せになり、手はカードに伸ばして冷たくなっていた。


 とりあえずクロスを抱きかかえ家に入る。


 寝室に連れて行き、服を脱がせる際にカードが見えてしまった。



クロス

ランク 1

魔法力 0/72000

筋力 26

魔力 無5/時4

速度 28

状態 普通

金銭 0リラ



(この冷たさは魔法力の枯渇のようですね。それにしてもこの魔法力は…。)


 メイはクロスのカードを見て驚いた。


 一般的に魔法力は数百程度で、家名持ちが数千だ。


 メイは魔法力が万にいくなど見たことも聞いたこともなかった。


(確かにこれだけの魔法力と魔力があれば盗賊20人など恐れる必要などないはずです。)


 しかもクロスの歳は12歳と聞いている。


 12歳で属性魔法が5になっているなど者など、余程神に愛されているとしか言えないくらい珍しいことだ。


 メイはクロスの着替えをしていたことを思い出し、再度取り掛かる。


(クロス様の凄さはあの時、既に分かっていたことです。今はクロス様を休ませねば。)


 メイはクロスを着替えさせ、ベッドに寝かせると、冷えた体を暖めるため、水を沸かし始めた。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 部屋を出たクロスは、家の中にある食料を探し始めた。


 昨日の残りであるスープを温め、パンも鉄串に刺し一緒の火で温める。


 朝食を取り終えてギルドへ向かった。


 今日は雲が空を覆っているので少し薄暗い。


 何かよくないことでも起こるのだろうかと言わんばかりである。


 ギルドに着くと、ギルドにはいつものメンバーが既に来ていた。


「おはようクロス。今日は遅かったわね。」


「おはよう~クロス君~。」


「おはようございます。」


 挨拶をして報告受付の方を見てみるが、父親は来ていなかった。


「昨日の疲れが出たみたい。」


「そうよね。夜明け前に起こされてずっとだったんだから。」


「それはそうと~。クロス君~。お土産ありがとね~。」


「何が欲しいのか分からなかったので、適当に買ってみました。」


 お土産を選ぶ際に重要視したのは、予算・数・面白さ(クロス的に)なので、どれがお気に召したのかわからない。


「ところで父さんが来てないようですが?」


 あの体力バカな親父が簡単に休むとは思えない。


 しかし、寝ずに動き回り戦闘までこなしているので、まだ寝てるかもと思い直す。


 母親が何か言い掛けようとした時に、二階からギルドマスターが降りてきた。


「おれに事務は似合わんな。」


「仕事してください。」


「さ~ぼ~り~。」


「人聞きの悪いことを言うな。ちょっとした休憩だ。」


 ギルドマスターからは、昨日までの疲れを感じない。


 あの後扉の修理をしてから寝ただけで、ここまでいつも通り過ぎる…いや、いつも通り以上だと逆に畏れさえ感じる。


(ギルドマスターがここにいるということは、親父はいずこに?)


「おっ。クロスも起きたか。今日はカインがいないから、お前には報告受付をしてもらうぞ。」


「おはようございます。父さんはどこに行ったんです?」


「あいつは昨日の続きに行ってもらった。」


 やはり親父も既に起きていたようだ。


 あれだけ昨日眠い眠いと言っていたわりに、寝過ぎることがないのは素晴らしい。


「もしかして、シュトラウスのギルド職員の方も一緒にですか?」


「ああ。護衛も兼ねてな。その足でシュトラウスへの報告にも行ってもらうことになっている。」


(そういえば、無事を確認してくれって言われて確認したけど、伝え忘れたな~。)


「分かりました。では受付代わりますね。」


「それはそうと、クロス!嫁をもらったらしいな!くそう!まさか先を越されるとは思わなかったぞ!…よし!エレン!結婚だ!」


 ギルドマスターは突拍子もないことを言ってのけた。


 恐らくこちらに対抗しての冗談だろう。


「ん~~。じゃ~。段取りするわね~。」


「「えっ?」」


「あれ?」


 何かトントン拍子にことが進み、エレン以外の三人は凍りついた。


 一番驚いたのは、言った本人であるギルドマスターだろう。


 驚いたリアクションのまま固まっている。


 いち早く復帰した母親はエレンに問い掛けた。


「エレン。あなたたち付き合ってたの?」


「いいえ~。」


「そうよね。そんなところ見たことないし…。」


 確かにエレンがギルドマスターに対して、そんな素振りをしているところを見たことがない。


「きっとギルドマスターの冗談に乗っかっただけですよ。(そうにちがいない。)」


「そっか。いきなりだったから驚いちゃったわ。」


「今から結婚式を開くから~、二人とも手伝ってね~。」


「「えっ!」」


「ギルドはクロス君に任せたわ~。ノーラは教会で場所確保しといてね~。さあギル、服を見繕いましょう~。」


 未だに固まったままのギルドマスターを連れて、エレンはギルドを出てしまった。


「………どうするの?」


「………教会に行ってくるわ。」


 そこからは一人で受付を受け持つことになった。


 しかもこんな時に限って、依頼が舞い込んでくる。


 まぁ請け負う冒険者がほとんどいないので、シュトラウスのギルドに比べれば楽ではあるのだが…。


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