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2話 異世界・転生

 目を開けると周囲が真っ暗な空間にいた。


(前にもこんなことがあったような…?)


 考えているとまたあの時の声が響いてきた。


「やぁ。やっと完全に回復することが出来たからお暇するよ。」


「そういえばそんなこといってたか…それにしても早くないか?」


 今更ながらにそんなことを言ってたことを思い出すが、三日間くらいはかかると言われたような気がするので聞いてみる。


「まあ、君との相性がよかったみたいで、予定より早く回復出来たからお暇するよ。」


「仕方ないな…、居なくなったら、やっぱり時間をとめたりは出来ないよな?」


「出来ないね。まず私がかかわった事柄は忘れるはずだよ。」


「そっかー…もっといろいろしとくんだったな…。」


 惜しいことをしたと少し後悔する。


「ではお幸せにね~。」


 時の管理者?(自称)があっさりとそういうと意識が一瞬ブラックアウトした。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 次に見えた瞬間には、いつもの寝室が見えた。


 ただおかしいのは、見ている視点の高さで、どんどんと上がっていく。


 視点が天井付近にくると自分の体全体が見えた。


(これって幽体離脱ってやつか?)


(あれ?…あっ!もしかして人格のコピーが出来たのかな?)


 時の管理者の声が聞こえる。


(いや…そんなこと言われても分からないんだが。)


(同調した際に、私の一部が君の人格をコピーして、今は意識が二つに別れてるだけだよ。…まぁいいか、今から違う世界に飛ぶし少しの間の待ってね。)


(ちょっとまてよ!俺あそこに居るんだけど!?)


(あそこにいるのは君とは別の人だよ。人格的には君の元となった人かな。)


(???)


(今は理解出来なくても大丈夫。飛んだ後が楽しみだよ…。ではいくよ!)


 声が響くと同時に周りの空間が歪んでいく。


(おい!もっとしっかり説明しろって!)


(ちょっと!そんなに意識が揺れてたら移動先が…!)


 そこで意識が途切れた。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 気が付いたときには、またしても暗い空間にいた。


 今度は自分の姿さえ見えず目を開けることすら出来ない。


 どこからか音楽?が聞こえてきて、それを聞く内に眠くなり、その眠気にあがないきれず意識を手放す。


 暫く同じ事が繰り返されていたが、とうとう終わる時がきた。


 明るい場所へ出たのである。


 しかし先ほどよりも明るいが、目を開けることが出来ない。


 ただ、先ほどまで一定していた安心できるような圧迫感から抜け出したが、今度はうまく呼吸が出来なくなる。


(あれ?いままでどうやって息してたんだっけ?)


 やっとのことで呼吸が出来たのはいいが、必死だったため大声を上げて叫んでしまう。


「おぎゃー!おぎゃー!(やっと息が出来たけどうまくしゃべれない!?)」


 しばらくすると呼吸が楽になったため叫ぶのをやめると、自分の身を何かに包まれどこかに運ばれる感覚があった。


(これはもしかしなくても…赤ん坊になってしまったのか?)


 どこかやわらかい所に置かれ口に何かを咥えさせられる。


(もしかしなくても赤ちゃん確定だな。体の感覚はあっても自由に動かせない…というのは考えものだ…。味しないな…。)


 おそらく母乳?を飲みながら考え事をしていたが、吸うだけでも疲れてしまい満足にお腹一杯にならないまま口を離し、そのまま寝てしまう。


 それからは飲む、寝るを繰り返す。


 お腹が空いたり、パンツ?を替えて欲しいときなどは泣き叫べば替えてもらえた。


 この頃には羞恥心といったものを感じないことを不思議に思いつつ、三日が過ぎた。


 四日目に、やっとのことで目を開けることが出来たが、ぼんやりとしか見えず、周りで何かを言っている人がいるが、何を言っているのかわからない。


 それからは見る、飲む、寝るの3つを繰り返し行うことになった。


(周りの声が分からないって言うことは、日本じゃないっぽいな。そういえば…旅立つ前に違う世界?とかなんとか言ってたような気がするし…あいつは俺のことを自分の一部みたいな言い方してたな…前の知識を持って生まれなおしたってことでいいのかな?…それにしても眠い…。)


 少しの思考で眠くなる体を不満に思いながらも、眠気に抵抗できずにそのまま眠ってしまう。


 それから数日後?(眠っていたので日時の感覚がよく分からない)目が見えるようになった。


 腕と足も動かせることは動かせるが、未だ自由に動かすことが出来ず、寝返ることすらできない。


 最初に目が見えるようになって見えたのは、木で出来た天井で周りは布を詰められて暖かくしてあった。


「あー、あー。(折角見えるようになったし、誰か呼んでみよう。)」


 何度か声を出していると女性が近づいてきて、何かをいうと抱き上げてくれた。


(この人が母親かな?この人目が左右で違う色なんだな…緑と青ってなかなか居ないと思うんだが、カラーコンタクトで色でも変えてるのか?もし変えていないとしたら俺もそうなんだろうか?…それにしてもここは普通の一軒やっぽいな。ここから見える範囲だとダイニングキッチンに扉が四つ。一つは外へ出るためのものかな。窓から外が見えるし…。なんか家の感じ的に昔の中世レベルみたいだ。)


 一通り見終わった後に部屋の詳細を見ようとしたが、抱かれて揺られている間にまた眠気が襲ってきてしまい、抗いきれずにまた眠ってしまう。


 何かに揺られていることに気づき、目を開けると教会?のような箇所に連れてこられていた。


(ここはどこだ?見た目教会だが、今から何をするんだろう?…それにしても腹減った…。)


 協会の奥の部屋へと進み、台の上に寝かせられると、そこで神父の格好をした人が何かを唱えだした。


 すると、周りの空間が圧縮されていくような感じになり、その圧迫に耐え切れずに意識を失う。


 目を開けると、どこかで見たことのあるどこまでも真っ暗な空間に来ていた。


「全く…どこにいるかと思ったら子供になっているとはね…。どうりですぐに私の元に戻らないはずだ…。」


 懐かしい声が聞こえてきた。


「あ~。あ~。あ~。(久しぶり?になるのかな?いままでどこにいたんだ?)」


 まともに声にならないにもかかわらず、答えは返ってきた。


「喋らなくても、考えるだけで通じるから大丈夫だよ。それにしても…完全に赤ちゃんに定着してしまっているね。移動の際に一つに戻ろうと思ったのに…まさかこうなるとはね。まぁ死んだら精神が一つに戻ってくるはずだし気長に待つか…。」


(定着?一つになる?どういうことだ?)


「本来なら違う世界に移動することで、意思の統一を図るから、それで一つに戻れるはずだったんだけど、移動の際に思考が分割されちゃったからそのまま君と私の出る場所も分かれたみたいだ。定着って言うのは…君が赤ちゃんになってしまったと思っておいて。」


(死んだ後に1つになるというのは?)


「そのままの意味だよ。肉体が死ぬことで精神だけの存在になるんだけど、そこでもう一度私と一緒になるってことだよ。」


(よくわからん…。)


「まぁ気にせずに人生を楽しみなよ。こっちもそれまでは寝てるから。」


(寝るのかよ…とりあえず第二の人生を歩むことが出来るわけだな!)


「まぁそういうことになるのかな…?とりあえずこの儀式の目的を達成するね。」


(儀式?そういえばいつもは考えたら眠くなるのに今はなかなかならないな。)


「今君と私以外の時間を停止しているから疲れとも無縁だよ。儀式って言うのは、この世界には魔法があって、生まれて十日後以降に祝福を受けることで、その属性の魔法が使えるようになるんだよ。一人当たりかならず一つか二つは祝福を受けることになるんだ。受けた後にその人の目に色が刻まれるんだけど、その色が各属性になってるんだよ。」


(どおりで、抱きかかえてくれた女の人の目の色が違ったわけだ。)


「君の場合は私の一部なわけだから、一つは時属性で決定だね。後の一つはこの空間を解いた時に祝福を受けると思うよ。」


(もしかして…ここではあんたが神様みたいなもんなのか?)


「神とは違うよ。自称だけど管理者って言わなかったっけ?私にとっての神は私自身を作った存在のことだよ。まぁこの世界の人にしたら、私が神に見えるかもしれないんだけどね。」


(ということは俺も神ってことなのか?)


「そういえなくも無いかな。」


(そうか…ところで時属性ってなんだ?)


「時の流れを変えることが出来ることさ。周りの時間を加速させることは出来ないからね。前の世界で君の人格が色々やってたはずだよ。」


(あ~…あれか。なんていうか…あれが使えれば何でもありな気がするんだが…?)


「確かに色々と出きるかもしれないけど、普通に流れている時間の中では注意したほうがいいね。不意打ちを食らったり、力を使い過ぎると前の私のように消滅…とまでは肉体があるからいかないまでも、意識を失ってしまうと思うから何も出来なくなるし。」


(確かにそうだな…そういえば他にも時属性なんて持ってるやつ居るのか?)


「他には居ないと思うよ。この世界で存在しているのは火・水・風・土・木・無だね。」


(大体は分かるけど、無っていうのは?)


「それは個人差があるけど身体強化とかかな。」


(そうか…それだと時を止めてる間は疲れないみたいだし、あんまり恩恵なさそうな気がするな…。)


「一応身体強化だけではなくて、魔法を打ち消したり、耐性を上げたり出きるよ。」


(…それは最初から出きるのか?)


「出きるようになる目安は、魔力の高さというか数値の低さだね。この世界だと協会やギルドなんかで確認することが出来るみたいだし、カードでいつでも見れるみたいだよ。」


(相手を見て確認は出来ないか…ところでなんであんたは俺に親切に色々教えてくれるんだ?)


「君は私の一部でもあるわけだから、魔法の強さくらいなら見れると思うよ。まぁ親切にしてるのは、結構打算があるんだよね。理由としては、一つに戻った時に君の感情が、私と統一されるのが大きいかな。統一されると喜怒哀楽などの感情も一緒になるんだけど、喜びや楽しみといった感情のほうが一つになった時に気持ちがいいんだよね。かなり昔にもあったけど、なかなか望んでコピーなんて出来ないんだ。コピーが出来たときには驚いたけど嬉しかったよ。さらにいうなら…君の前の人格は、同調したときにそれまでの人生に概ね満足していたようだったからね、それで一つになるのが楽しみだったんだ…。だから君が、第二の人生を満足いくように楽しんでもらいたい。そうすればより一つになった時の楽しみが増すと思うからね。」


(人生を楽しむことが目標か…いいね!)


「その意気で楽しんで。後、この儀式が終わったら、この世界の人たちの言葉が分かるようになるよ。」


(おぉ~。それありがたい。)


「では流れを戻すよ。では君の人生に祝福を。」


 時間が戻ると段々と眠くなってゆく。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 意識も朦朧となり、暫くすると別の声がいくつか聞こえてきた。


「これは珍しい。」


「「「「確かに。」」」」


「既に他の祝福を得ているとはな。」


「しかも時か…。」


「我々の他にも神により作られた者が居たとしても不思議ではないな。」


「いいたいことは各々あるとは思いますがこの子の属性を決めませんか?」


「相性などもよく分からないし無難に無がいいとは思うが?」


「そうしようか。」


「「「意義なし。」」」


「ではこの子に無の祝福を!」


 そこで完全に意識がなくなった。


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