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16話 決定・退去

 誰かがついてくるというのは確定事項のようなので、メイド三人のカードを見せてもらえるか聞いてみる。


「選ぶにあたってカード情報を確認したいのですが…。」


「分かった。三人は見せるように。但し見るからには決めるまでこの部屋にいてもらおう。」


 意外と簡単に見せることに許可は下りた。


 こちらは見せたくないと言ったので、見返りに見せろくらい言われると思ったが…。


 しかしかわりというか、存外に早く決めろと言っているようだった。


「わかりました。」


 トールに了解し、三人のカードを見せてもらい考えることにする。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


メイ

ランク 1

魔法力 390/400

筋力 20

魔力 風10/水10

速度 29

状態 【セリーヌ・ツヴァイ召使い】 普通

金銭 0リラ



 背は高く見た目美人だが無表情、例の時だけは無表情が崩れ恍惚とした嬉しそうな表情に変わる。


 話し方は丁寧で機械的だが、声の調子などでどのような気持ちか判断する事が出来る。


 性格も真面目で抜け目が無さそう。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


マリー

ランク 2

魔法力 300/300

筋力 30

魔力 無10/土20

速度 25

状態 【セリーヌ・ツヴァイ付召使い】 普通

金銭 0リラ


 背は少し高く美人だが何かと突っかかってくる。


 表情は多彩でその時の気持ちが表れやすい。


 話し方は馴れ馴れしく性格は悪そうで何か企んでいそう。


 何かにつけて色々言われそうだ…。


 ランク2が一応ポイントだが、ランク2程度であればすぐになれるのでとりあえず除外。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


ペル

ランク 1

魔法力 500/500

筋力 17

魔力 水10/水10

速度 13

状態 【セリーヌ・ツヴァイ付召使い】 普通

金銭 0リラ



 背は同じくらいで見た目普通。


 表情は大体にこやかだが、裏では泣いてる可能性大。


 いろんなことに好奇心を持っており、色々聞いてくる。


 性格は臆病で嫌なことは我慢し明るく振る舞おうとしている。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 三人のステータスを確認しても、長短あり決めにくい。


(ここは今後のことを考えて風水の目を持つメイを選んだ方がいいかな?…でもマリーは基礎体力が高そうだ…。目立たないけど魔法力の高いベルも捨てがたい…。)


 悩んでいると席についていたトールから爆弾発言が投下される。


「決めきれないのであれば三人でどうかね?…時間がかかりそうならそうするが?」


 トールは性格的に短気なのか、それともすぐに決まると思っていたのか、なかなか決めず悩んでいるこちらに苛立っているようだった。


 しかしトールの発言に驚いたのはセリーヌの方で、セリーヌはトールの言葉を聞いたとたん顔色がどんどん悪くなる。


 恐らくあの三人が、セリーヌの身の回りの世話の他にも、話し相手も務めているからだろう。


「いえ、決めました。メイさんにします。」


 言われたメイは無表情だが、そわそわし始める。


(やっぱり選ばれるのは嫌なんだろう…表情からは分からないけど。)


「そうかね。では早速神父を呼んでくれ。」


 トールは後ろに控えていた執事に言うと、こちらに再度向き直った。


「これより神父に召使いの移譲をしてもらう。説明や注意事項は神父に確認してくれ。ではこれにて失礼するよ。セリーヌはメイドを移譲するように。」


 トールはそう言うと、急ぎ足で奥の扉から部屋を出て行ってしまった。


「選んでいただきありがとうございます。ク・ロ・ウ・さ・ま!」


「結構根に持つんだね。」


「あんたが偽名なんて言うからでしょ。」


 メイ、マリーと言い合っているとセリーヌとベルが近付いてきた。


 セリーヌはメイに近付くと抱き付いて泣き出す。


「今までお世話になりました。お元気で。」


 メイもセリーヌを抱きしめながら答える。


 しばらく抱き合っていると、執事が神父を連れて戻ってきた。


「こんにちは。」


「こんにちは。」


 村にいた神父を想像していたため現れた神父を見て驚いた。


 神父はまだ見た目若く背も高い。年齢は20代に見える。


 村のように70歳くらいか、若くとも40歳と思っていたので以外だった。


 神父と挨拶を交わすと神父は確認してきた。


「これより移譲を行います。え~クロスさんでしたか?」


「はい。」


「それとメイさんでしたね?」


「はい。」


「ではカードの状態表示をし、水晶に手を触れてください。セリーヌさまもお願いいたします。」


 カードを片手に持ちもう片方の手を水晶に当てる。


 同じくメイとセリーヌも水晶に手を当てた。


「神よ。神父クリス立会の元、ツヴァイ家セリーヌ付召使いメイをクロスの元へ移譲したまえ。『ゼーゲン』」


 神父が言葉を紡ぐとカードの状態表示欄が変化し始める。


 始めに普通と記入されていたものが少しずつ薄れていき、次第に次の文字が浮かび上がってくる。



クロス

ランク 1

魔法力 64295/72000

筋力 25

魔力 無10/時5

速度 27

状態 【時の管理者】 【クロス付従者メイ】 普通

金銭 0リラ



(…従者って?)


 完全に書き換わりついでにメイのカードを見せてもらう。


 メイのカードの状態表示欄には、



メイ

ランク 1

魔法力 300/400

筋力 20

魔力 風10/水10

速度 35

状態 【クロス付召使い】 普通

金銭 0リラ



(これって付召がなかったら、僕が操られてるみたいに見えるな。)


 このカードの【】の表示については、見せたくない場合は非表示にも出来ると今更ながらに神父に教わったので、通常は普通表示にするよう指示する。


「知っているかもしれませんが、従者を養う責任がついて回ります。」


 その後色々と説明を受けた。


 居住地が決まっている場合は、召使いの分もその地を管理している者に納税しないといけないなど、きちんと養え的な内容のことばかりだった。


 ある程度聞き流していたとはいえ、流石に腹も減ってきてイライラし始めた頃に、長い説明が終わった。


(お腹空いた。)


「以上です。なにか質問はありますか?」


「ないでいいです。」


「まあいきなりいわれても覚えきれないでしょうし、分からなければ最寄りの協会へお立ち寄りください。」


「わかりました。ではお先に失礼します。」


 お腹が空いていたのと一刻も早くこの場から逃れるため、背を向け早足で元来た道を戻る。


 玄関に着くと、いつの間にかメイがリュックを背負って待っていた。


(なぜここにいる!)


 つい背後を振り返り出てきた部屋の方を見てしまう。


 部屋に置き去りにしたと思っていたのである。


 実際は、説明がされていた時に身支度をして玄関で待機していたのだが、クロスは知らない。


「では行きましょう。」


 当たり前と言うわんばかりに腕を組んでくる。


 気が重くなりながらもクロスはメイと共に屋敷を出た。


 この後の生活を思いながら。


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