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14話 依頼達成・買物

 町の中は家が通路両端に並び、ところどころの家の間に細い通路があった。


 入り口に近い所には宿屋や酒場があり、途中大きな屋敷の前を通り過ぎる。


 さらに奥に行くと一般的な雑貨屋などの生活用品店になっていく。


 大きな広場に着き一旦ホース車を止めて周囲を見回す。


 広場には来た道と同じような道が他にも三方に続いていた。


(この広場がこの町の中心かな。人通りはまばらだな。)


 広場をさらにまっすぐに先へと進む。


 今度は先ほどとは逆で生活用品店などの雑貨やから住宅街へと変わっていく。


 しばらく進むと右手に屋敷が見えた。


 屋敷は来るときに見た屋敷と同じく、大きく立派なものだった。


(かなり立派な屋敷だな。)


 屋敷の前でホース車を止める。


「着いた。これで別れだ。」


「ありがとうございました。」


 謝礼を聞きつつ元来た道を戻る。


 途中メイドたちから声がかかるが無視し、路地裏に入り、周りに誰も居ないことを確かめ時をとめる。


(これで一安心だな。)


 来た道を戻りつつ周りを見ていく。


(立派なのは、各通りに左右にある屋敷だけで、他は普通の家ばかりだな。)


 入り口付近まで戻り一旦外に出る。


 門番が見えにくい位置に立ち、時を戻し、魔法でローブと顔を覆っていた布を吸い込む。


 その後、何食わぬ顔で町へと向かった。



クロス

ランク 1

魔法力 64295/72000

筋力 25

魔力 無10/時5

速度 27

状態 【時の管理者】 普通

金銭 0リラ



 先ほどと同じようにカードを見せて町に入る。


(さっきもそうだけど、町の警備って身元確認とかもっとしっかりしないものなのかな?)


 不思議に思いつつ、入り口から近くにあるギルドへと入る。


 ギルドは村にあったものよりも二倍程度の大きさがあり、扉も両開きでかなり頑丈そうな造りであった。


 中に入ると右手にはテーブルと椅子がいくつかあり、左手に依頼書の張ってある掲示板がある。


 入って正面はカウンターになっていて、左側から三つまでが依頼受付、右側二つが報告受付のようだった。


 早速手紙を渡すため報告受付へ向かう。


 途中テーブルに座っていた数名に見られていたようだが、気にしない。


「すみません。」


 昼前で暇なのか報告受付の人は、カウンター奥のテーブルでくつろいでいる。


(どこのギルドも昼前は暇なのかな?)


「はい…お待たせしました。達成した依頼が有ればご提出ください。」


「これです。ゼーロー村のギルドから配達を依頼されました。」


「はい。しばらくお待ちください。」


 受付員は手紙を受け取ると、差出人と受取人を確認し、奥の部屋へと入っていく。


 しばらくギルドの中を見ていると先ほどの受付員が戻ってきた。


「お待たせしました。内容については確認致しましたので、カードを水晶板の上に載せていただけますか。」


「はい。」


 カードを水晶板の上に載せる。


 淡い光が水晶板から出てすぐに消える。


「依頼達成の登録は完了しました。達成した依頼については今後カードに表示されます。あと手紙の内容についてはギルドマスターがお話があるそうです。」


「はい、わかりました。それと今日ギルドに泊めてもらえるとお聞きしてるんですが…。」


「その件に関しましても、ギルドマスターにお聞きください。こちら側への入り口は一番右端のそちらからになります。」


「分かりました。」


「案内は私がしますのでついて来てください。」


「はい。」


 言われたとおりに右端からカウンター内へ入り、受付員に連れられて奥の部屋へ向かう。


「マードックです。先ほどの手紙の人物を連れてきました。」


「入れ。」


 部屋からは渋めの声が返ってきた。


「失礼します。」


「失礼します。」


 扉を開けて会釈をし中に入ると、老人と思わしき人が書類にペンを走らせている。


「その者を置いて業務に戻れ。あと今の内に交代で昼食をとるように伝えろ。」


 マードックはお辞儀をすると退出していく。


 ギルドマスターは退出したのを見計らったように声をかけてきた。


「まず手紙について聞きたいのだがいいか?」


「はい。内容を知らないので答えられればですが。」


「手紙は昨日着くと書いてあったのだが、何故今日になった?」


 若干苛立ったような口調で聞いてくる。


「手紙を渡された時に昼は過ぎており、ここまでの到着時間を確認したところ軽く走って二刻程と聞いていたのですが、途中暗くなり野宿したため届けるのが今日となりました。」


「(はぁー)…では次だ。宿泊期間は二日となっているがどうする?」


 ギルドマスターはクロスの返答を聞いて盛大に溜め息を吐いて質問を続ける。


「今日一日だけで構いません。」


「最後だ。お前のカードを見せてもらえるか?」


「はい。」


 カードに名前と状態を表示する。


 ギルドマスターは頷いて納得したのか、カードをしまうようにいうと、また書類仕事に戻ってしまった。


「えーっと宿泊の件ですが…。」


「こちらで調整する。日が沈んでからまた来い。但し食事は出ない。」


「分かりました。それでは失礼します。」


 部屋の扉を開けお辞儀をして出る。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 クロスが出たのを確認しギルドマスターは一人愚痴る。


「(あのカインからクロスのような子が生まれたのは奇跡だな、…ノーラのおかげか?それにしても…時の管理者か…。)」


 決裁と報告書の束を片付けながら思った。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 クロスはギルド内に戻り、依頼書にざっと目をやる。


 依頼書の量は村とは比べるもなく圧倒的に多かった。


 依頼書の張ってある右側に手配書も張ってあった。


 来る途中にいた盗賊たちがいないか確認してみる。


 しかし手配書には名前と特徴、金額しか載ってない。


(全員分名前とか見とくんだった。見た三人については載ってなさそうだ。そういえば結局盗賊たちのカード全部ホース車に置いてきたな。)


 一通り見終わり、鍛冶屋へ買い物をしに行く。


 買い物へ行く前に受付で鍛冶屋の場所を聞いてみることにした。


 不思議がられたので目的をいうと教えてくれたが、町では鍛冶屋というのは店に品物を卸すので、一般人が品物を購入する場所ではなく、武器・防具屋は別にあるとのことだった。


(一般的なことなら教えといて欲しかった…。)


 武器・防具屋などの店については全部四つ以上あり、それぞれ東西南北にあるそうだ。


 町の中といえども距離があり売っている物は多少違うが、品質もあまり変わらないことから、宿屋近くに行く冒険者がほとんどらしい。


 品質が変わらないならと、近場の武器・防具屋に入ってみる。


 店内は左に防具、右に武器だった。


 価格は奥に行けば上がるようで、今あるお金では到底足りない物まであった。


(多過ぎて判断出来ないし、防具は店の人に選んで貰おう。)


 ひとまず剥ぎ取り用の短剣と分厚いブーメランのような形をした剣を選ぶ。


「これをください。それとこの二点含めて4万リラで防具も見繕ってください。」


「…二点で2万リラだな。武器と防具は坊主が使うのか?」


「そうです。」


 クロスは男が何か不思議そうにしているのに気付いた。


「坊主は素人じゃないのか?」


「冒険者登録したばかりですがなぜですか?」


「いや…選んだ得物が耐久性重視だからな。駆け出しは耐久性より値段か見た目で選んじまうもんだ。」


「そうなんですか。今回は予備を買いにきたんです。今まで親に貰ったものを使ってきたので。」


「ああ、そういうことか。」


 男は納得するとカウンターから離れ、防具を見繕い始める。


「全身と局部、重さと速さどうする?」


「局部と速さで。」


「これだな。」


 男は真ん中あたりから胸当と脛当、グローブを持ってきた。


「これで合わせて4万だな。」


「いいんですか?それセットだったんじゃ?」


 持って来られた防具は元が全身用で合計五万の品だった。


「売れなきゃ意味ないからな。」


 男はそういうとカウンター内に戻る。


「一回着てみろ。調整は見たら分かるだろ。」


 調整をしながら着てみる。脛当は靴の補助にもなり、滑り止めがついていた。


(これで多少痛みがましになるかな…。)


 小さい頃から布製の靴で過ごしてきたので、足の皮が分厚くなったとはいえ、痛いものはいたい。


「ありがとうございます。充分です。」


 腰の袋からお金を取り出し払う。


「まいど。このまま着てくか?」


「そうします。ところで、料理が上手い店知りませんか?」


 男は少し考える。


「俺は外で食わねえからなんとも言えないが、噂だと広場に面してる店がそこそこうまいらしい。」


「ありがとうございます。行ってみます。」


「あぁ、気を付けてな。」


 男に見送られ店を出た。


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