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赤との再開

変な夢を見た、長い長いトンネルみたいな所を歩いてる、後ろと前に光がある、振り返ると光が無くなって、地面が崩れていった、呑み込まれないように必死に走って、前の光にたどり着いたら、人が3人立ってた、そこで夢が終わった。

何だか悲しいけど、心地よい不思議な夢だった。

ってかそんな事考えてる暇ねぇ

「お袋!もう行くから」

「行ってらっしゃい」

時間が無かったから走って家を出た、電車に乗って港に行く時に、自分の街がいつもより遠くに感じた


「何とか間に合った」

出港10分前に着いた、今日はチカの島に行く日だけど、どうも昨日の事を考えてたら、また寝不足気味、着くまでは時間があるから寝るか


あぁ、船揺れてるな

「…ろ!…きろ」

ガキが騒いでるよ、うるせぇな、人の眠りを邪魔しやがって

「起きろカイ!」

“バチン!”

「イッタ〜!何すんだよ、馬鹿が!」

「カイが起きないからいけないんだろ!」

「チカ?」

チカの顔が真正面にある、周りには誰もいない

「何でチカがいるの?」

「何でじゃねぇよ!早く降りるぞ!」

「降りるって?」

まだ頬がイテェ、何かフラフラするし

「もう着いてるぞ!」

「何処に?」

「島にだよ!馬鹿が!」

“バチン!!”

本日二度目也、やっと状況把握ができた…

「…痛いし、ヤベェ!」

今の状況は、寝過ごして島に着いたは良いけど、起きなかった、でも何でチカが?

「チカが何でいんの?」

「いいからとりあえず、降りるぞ!」

チカが俺の腕と鞄を掴んで走って船を降りた。

二発目のビンタで起きてるけど、案外チカのビンタが頭にきた

「で、何でチカがいるんだよ?」

「港で待ってたのに、カイが来ないから船に入れてもらったら、爆睡したカイがいたんだよ」

「あぁ、納得」

「納得じゃねぇよ!子供じゃないんだから、自分で起きろ!」

「うわっ、危な!」

またチカのビンタが飛んできたけど、三度目の正直ってやつ?流石に何回もビンタはされてたら顔が腫れる

「なかなかやるじゃん」

「いや、眠くなきゃこんくらい…。ってか良い島だな」

今始めてまともに島を見たけど、自然が多くて、喉かで、何より最高の岩山

「だろだろ!」

「あの岩山何?」

「あれか、未開の地。あんな岩山だから誰も登れないんだよ」

ヤケに燃えた、久々に興奮っていうか、血が騒ぐっていうか、とりあえず

「あの岩山まで案内して」

「何で?」

「登る」

チカが大笑いし始めた

「馬鹿じゃないの!90度の壁をどうやって登るんだよ!」

「じゃあ登れたらどうする?」

「逆に登れなかったからどうるんだよ?」

「土下座でもなんでもしてやるよ」

「じゃあアタシも何でもやってやるよ」

こんな先の見えた勝負つまんね、15mくらいだから、何も無しで余裕だな


「ほら、着いたぞ」

「……」

「どうした?怖じ気付いたのか?」

「少し黙ってて」

集中、

「どんなに簡単な所でも、観察を怠るな」

ってコーチが言ってたな

「ヨシ!10分ちょっと待ってろよ」

「頑張れ」

あれ、何かチカがマジで応援してる。

思ったより簡単だな、掴み易いし、堅いし

「えっ?あれ?嘘!?スゴ〜イ!カイ凄いな!」

案外簡単に登れたな、眺めが最高だし、誰も来ないし、何か俺だけの場所みたい。

下りるとチカが跳ねてた

「カイ、スゲェスゲェ!ホントに登っちまったよ!」

「はしゃぐな、こんくらい普通だ」

「何で登れるんだよ、壁だぞ壁」

「フリークライミングやってるからこれくらいなら」

「フリークライミング?」

「俺が今やったのに近い事だよ」

「スゲェな」

「さぁ、罰ゲーム、どうするかな」

「ホントにやるのか?」

「そうだこの島案内してよ、それが罰ゲーム」

疑問と安堵が顔に出てる、まぁ勝って当たり前だったから、こんくらいでいいだろ

「しょうがねぇな」

「お願いします」

荷物を民宿に置いてからまわった、医者や学校、その他いろいろまわった、この島最高だよ

「ホントに良い島だな」

「何も無いだろ」

「でも良い所じゃん、チカのオススメスポットとかある?」

「あるよ、行く?」

「行く」

チカに案内された場所は、林をの奥の砂浜で、入り江みたいになっていた、波の音が周りに反響して、最高に気持良い音を出してる

「スゲェ」

「だろ、アタシくらいしか知らない所だぞ」

「えっ、良いの、こんな所に案内してくれて?」

「カイが案内しろ、って言ったんだろ」

「そうだけど…」

嬉しかった、チカと二人だけの秘密が出来たきがした

「ここの夕日が最高なんだよ、まだ時間があるけどな」

「時間があるか…」

その時ふと頭を一つの事が浮かんだ、何となく引っかかってた事があった

「あのさ、一つ質問していい?」

「良いよ」

「答えたく無かったら、答えなくていいから」

「何だよ、早く言えよ」

「チカってさぁ、気が強いのに、何で泣き虫なの?」

黙っちゃった、やっぱりマズイよな、俺があの事を言わないのと同じように、言いたくない事の一つや二つ

「ゴメン、言いたくないなら、言わなくていいよ」

「大丈夫だよ、そんなに聞きたい?」

「聞けるんなら」

黙ってる、考えてるのか、言いづらいのか

「アタシね、東京に兄貴がいるんだ、アタシ兄貴の事が大好きなんだ、親よりも誰よりも兄貴が好きだった。小さいころは泣き虫で、甘ったれで、金魚のフンみたいに兄貴に引っ付いてたんだ」

今でも泣き虫だし、金魚のフンってジジイか

「どんな事があっても守ってくれたし、泣いてても慰めてくれた。でも高校に行ったら、長期の休みにしか帰って来なかった、それでも帰って来てたから、まだマシだった。でも5年前に兄貴が大学進学で、東京に行ったんだ、、兄貴が全てだった、それが無くなって気付いたんだ。アタシはダメな奴だ、兄貴なしじゃ何もできない、それで強がりで最初のうちは、こんな感じだった、でも今はこれが板についてきたんだ、でもたまに弱い自分が出てくるんだ」

凄い可哀想な奴なんだな、でも俺と似てる

「じゃあ今度からは、俺にいろいろ相談しろよ、メールで電話でも、そうすれば少しは楽だろ」

「ありがと。夕日、綺麗だな」

「ホントだ」

丁度夕日が沈んでる、真っ赤に燃えてるみたいだ、海に一筋の道が出来てる

「スゲェ…」

チカの顔が真っ赤に染まってる、前髪を上げて短い髪の色と夕日

「同じだ」

「何が?」

「チカと夕日」

「美しさ?」

「色だよ」

「じゃあアタシと夕日、どっちが綺麗?」

「夕日」

即答、しかも女の台詞か、それ?

「少しは考えろ」

「いや、当然の結果だろ」

『ハハハ』

何かチカといると全部忘れて、素直になれる、チカマジック?

「もう暗くなってきたから帰ろう」

立ち上がって、チカに手を差し出した

「そうだな」

やっとチカに会えた、2ヶ月ちょっと、長かった

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