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青のデート

遂にきちまった、この日が、ありとあらゆる手を使ったけど、あえなく散った

「遅い!」

「ゴメン」

今の時間は、11時10分、予定通りだ

「で、どこ行くの?」

「原宿」

最悪、俺の嫌いな街の三本指に入る所だし、この女知ってか知らずか、俺を欝モードにするのは天才的だな

「気がのらないけど、行くか」

「行こ行こ」

手を繋いで来ようとしたけど、掴まれないように、手を避けた。

電車の中は質問攻めにあってた

「好きな食べ物って何?」

「俺が作るの全般」

「趣味は?」

「登ること」

「特技は?」

「登ること」

「家でいつもなにしてるの?」

「何もしない」

「好きなアーティストとかは?」

「パンク全般」

適当に全部答えた、コイツに自分の事を知られるのが嫌だった。

でも嘘はついてない、料理で好きなの中心に作ってくし、趣味・特技はフリークライミングだし、家にはあんましいないし、音楽もパンク以外は聞かないし

「何か適当すぎない?」

「別に」

「何か冷たくない?」

「いつも通り」

「もぉ。じゃあ私に何か質問ある?」

コイツやりづらい質問しやがって

「ない」

「何かあるでしょ」

「じゃあ、何でそんなに俺に構ってくるの?」

「…」

我ながらナイスな質問だ、やっと黙ってくれたよ、コイツといると疲れる、沈黙がここまで気持良く感じるとは

〜♪〜

あっ、俺の携帯が鳴ってる、ってかマナーモードにしわすれた、周りの目線が痛い

“ヤッホー、今何してるんだよ?”

チカからだ、デートにも関わらず、即返信

“電車乗ってる”

沈黙が続いたまんま、これなら早く帰れるかもな、相手も居心地悪いだろうし

“あっ、悪い、遊んでた?なら帰ったら電話しろ。(^_^)/~バイバイ”

おい!やめるなよ、唯一の安らぎが…

“分かった、バイバイ”

助け舟沈没、チカ、肝心な時に気を使うな

「誰?」

「友達」

「男?女?」

「どっちでもいいだろ」

「良くない!」

いきなり怒鳴り始めた、電車の中だぞ

「何で?」

「私だけを見てて欲しい、今日だけでいいから、一日だけでいいから」

今にも泣き出しそうだ、どうも女の涙には弱いんだよな、俺

「分かった、今日だけな」

なんだろ、段々コイツが怖くなってきた

「ほら、もうすぐ着くから、行こ」

原宿についてとりあえず雑貨屋を回った、でも俺は心ここにあらず、早く帰って電話する事だけを考えてた

「ねぇ、もうそろそろお昼にしない?」

「良いけど、オススメの店とかあるの?」

「あるよ、最近できたばっかの、カレー屋さん、美味しいって評判だよ」

「じゃあそこ行くか」

カレーは嫌いじゃないし、腹が減ったから考える余地もなかった。

カレー屋は、いかにも若者向けのオシャレな感じだ、こういう店は嫌いだ

「オシャレなお店でしょ」

「うん」

「気に入った?」

「まぁまぁかな」

そんなことを話ながら、先にメニューに手を伸ばした

「何が美味しいの?」

「えぇとね、これ」

指差した先には、“チキンカツカレー”の文字が

「ふぅん、渡辺は決まってるの?」

「まぁ一応」

店員を呼んだ

「俺チキンカツカレー」

「私もそれで」

「えっ、俺といっしょで良いの?」

「うん」

「じゃあ以上で」

スタスタと店員は歩いて行った、にしてもこの女も何で俺といっしょのを

「さっきのメール女の子からでしょ?」

何で自分から蒸し返す、コイツよくわかんねぇ

「そうだけど」

「私と、どっちが大事?」

また場の空気を冷めさせるような質問を、ってかすでに冷めてるか

「今はメールの相手かな」

こう言っとけば相手も満足だろ

「ってことは、明日には私の方が大事って、言わせてみせる」

「頑張って」

あえて他人事のようにした、だって何があろうとこの女に傾く事は、後にも先にもまずありえない。

その後相手は、少し上機嫌だった、スグにカレーが来たから良かったけど、割と空気が重かったりもした

「これ美味いね」

「でしょでしょ!」

目を輝かして言ってるけど、お前が作った訳じゃないだろ、作ったのは店だろ

「量、多くない?」

「そう?普通じゃない」

いや絶対に多い、俺は食いきれるけど、確実に相手は食いきれないな

「多かった」

「早!シシキ君食べるの早すぎ」

「まぁね。進んでないけど、もうお腹いっぱいなの?」

静かに頷いた、もったいない、せっかく作ってく貰ったのに

「頂戴」

「えっ?」

「だから、もったいないから頂戴」

「おばちゃんみたい」

「なら自分で食う?」

「いや、お願いします。」

かなり無理して食べた、若者向けだからって、明らかに以上だよ

「ヤベ、死ぬ」

思わずその場に伏してしまった

「大丈夫?」

「まぁ、何とか」

「何で、そんなに無理したの?」

「自分で稼いでないのに、飯を残すほど、デキ悪くないから」

「何かよく分からない」

分からねぇよ、何も苦労しないで生きてきたお嬢ちゃんには

「自分の食える量だけ頼む、それ常識だろ」

うつ向いてる、当たり前だろ。コイツ、育ちが良いので有名だからな、いわゆるお嬢様ってやつだ

「今度からは残すなよ」

「うん」

「じゃあ行くか」

そうして俺等は店を出た。

その後カラオケに行った。

たまにカラオケは行くけど、歌いたい歌がないから、大体1・2曲歌って聞き手に回るのがいつものパターンだ

「ココって曲の層が広いんだよね」

高が知れてる、と思ったらビックリ、歌いたいのがほとんどある、曲数多!


2時間くらい歌ってでた

「シシキ君歌超うまいね」

「普通じゃない」

「プロみたいだったよ、でもなかなか私の番が回ってこなかった…」

「すみません…」

俺がほとんど歌ってた、あまりの曲数にテンションがあがって、ついついマイクを独占してた

「でも良いよ、今日一番良い顔してたから」

「ありがとう」

良い顔してた、始めて言われた言葉かも

「もうこんな時間だ、帰ろうか」

「うん」

俺は少し早めに、切り上げた、帰りの電車の中では大半が世間話だった

「じゃあここで」

「あぁ、気を付けて」

「うん、バイバイ」

「じゃあね」

はぁ、一日疲れた、マジシンドイ、何であの女といると疲れるんだろ


チカに電話するか

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