白の武勇伝
今年も残り9時間に差し掛かった、外は寒いから家でユキと二人で話してる、おとぉとおかぁは毎年、年越しは東京に行って騒いでるから、家には二人きり
「今日は8時からでしょぉ?」
「そうだよ」
今日は8時からうちで年越しをすることになってる
「一年は早いなぁ」
「俺はこの島に来てからが早かった」
「いろいろあったからなぁ」
チカに出会って、ユキとマミ姉に出会って、サーフィンに出会って、前の親に捨てられて、いろいろ有りすぎたな、でも今までで最高な時間を過ごしてた事は確かだな
「この島の人もぉ、変わった人が多いと思うよぉ」
「いるのかな?」
「チカが一番良い例だよぉ。女の子っぽくなったしぃ、笑顔も変わってきたよぉ」
「そうなんだ、俺が来たからチカが変わったとしたら、何だか嬉しいな」
「絶対カイのお陰だよぉ」
ユキが言うんだから確かだろ、自分で言うのもなんだけど、一番変わったのは俺だと思う
「ユキはマミ姉の事を泣かした事はある?」
「何だよ急にぃ?」
「何か、チカの事泣かしちゃう事があるからさ」
泣かせないって誓ったのに、泣かせてる自分が許せなかった、だから身近なユキはどうなのかなって思って
「一回も無いよぉ」
「やっぱりか」
「泣かしたっていうかぁ、マミが泣いたところを一回も見たことがないんだぁ」
「マミ姉って泣かないの?」
ユキは少し悲しい目をした、何かあるのかな、泣かれないのは良いことだと思うけどな
「泣いてくれないのは辛いよぉ」
「何で?」
「弱みを見せてくれないと弱い部分が分からないしぃ、不安になってくるよぉ」
確かにそうだよな、口では言ってても不安になることはあるもんな、泣いてくれるって、頼られてる事なのかもな
「ユキは泣いた事ある?」
「無いよぉ、マミは優し過ぎるくらいだからぁ」
「何か大人だな、二人を分かりきってる感じだな、それに比べて俺達は、天秤みたいにグラグラしてる」
「それで良いんじゃないのぉ、ぐらついてるから安定した時にそれが実感出来るだろぉ、俺達なんてずっと安定してて有り難みが分からないからさぁ」
そんなものなのかな、ユキの言ってる事も一理あるけど、安定して欲しいのもある、まぁこれを楽しまなきゃ恋なんてやってらんないよな
こういう男同士の話でしか聞けない事があった、男同士ってか約一名聞かれちゃいけない人がいるって方が正しいな
「マミ姉がいないから聞くけど、何人くらいにコクられた?」
「マミに言うなよぉ」
言わないし、言えないよ、俺も悪魔は見たくないし、ユキを見殺しには出来ない
「え〜とぉ……、18くらいかなぁ、他校も合わせるとぉ…」
「ちょっと待って!同じ学校だけで18人!?」
「そうだよぉ」
ユキ凄すぎ、俺もたまにあったけど、そこまでは無いな、多分学年一のイケメンとか言われてるんだろうな
「で、他校は何人?」
「他校じゃなくてぇ、学校外だぁ。それだと5人くらいかなぁ」
「学校外?」
ユキ、どこまでモテ男なんだよ、こういう奴がいるから一人身が増えるんだよ
「バイトしてるお店に来た人とかぁ、逆ナンで無理矢理連れ回された時とかぁ」
「案外修羅場をくぐりぬけてるんだな」
「そうだよぉ、逆ナンの時なんて何回走馬灯を見たことかぁ」
マミ姉のせいだろうな、俺の場合泣き出すだろうな、どっちにしろ困る事には変わりないな
「バイト先のは?」
「たまに終わった時に外で待ってるんだよねぇ」
「辛い思いをしてるんだな」
「分かるぅ?」
普通の人は良いよなとか言うけど、実際辛いだけだよ、彼女がいると自分は何もしてないのに居場所が無くなるんだよな
「バイトはどこでやってるの?」
「おとぉのコネでサーフショップでバイトしてるんだぁ。ちなみにマミはコンビニでバイトいしてるよぉ」
マミ姉がコンビニって、ユキより大変な事になりそうだな、マミ姉目当ての客も少からずいるだろ
「大変なんだな」
「でも楽しいよぉ、毎日が新鮮だからぁ」
「4ヶ月後にはチカと一緒にそっちに行くから、待ってろよ」
「待ってるよぉ、こっちに来たらカイも女の子に気を付けろよぉ」
「キバって行きます」
4ヶ月後か、長いようであっという間なんだろうな、女の子に捕まらない術を身に付けとくか