青の憂鬱
チカに会って2ヶ月が経った。
あ、チカって渋谷で助けた、赤い髪の女の子ね、本名は潤間千夏っていうんだって。
あの日の2日後きメールが来た。
―“件名:赤い髪の女の潤間千夏”
“本文:メール送ったぞ、090********←これ携帯番号ね”
えーと、某トレインマン風に言うと
「キターーー!」
かな、メールってこんなに嬉しいんだ、しかも名前、潤間だって、泣き虫だから潤?
“件名:よろしく”
“本文:名前言って無かったけど、四色海。ヨロシクな”―
こんな感じで今日までメールをし続けた、朝起きたら“おはよう”、寝る前は“おやすみ”みたいな感じで毎日メールをしてる、たまに電話をしたりもしてる、距離は離れてるけど繋がってる、古いけどそんな感じがした。
でも学校が更に嫌いになった、チカの純粋さ(言葉は悪いけどな)に触れてると、ここら辺の奴らは荒んでる、話てると息苦しいし、笑ってても楽しそうじゃない、更に他人との関係を嫌ってる俺がいた。
そんな夏休み1週間前に差し掛かったある日、一応“学年一美人”らしい女の子が
「シシキ君、夏休み遊びに行かない?」
教室に入ってきて、俺の前に来て言った
「カイ!どういうことだ、これは!?」
井上が隣で大騒ぎしてる
「コレって?」
「学年一美人の渡辺が、何でお前をデートに誘ってるんだ?」
そのことか、そんなに騒ぐ事か?第一どんな美人も興味ないし
「美人だなんてもぉ」
否定しきらないってことは、この女満更でもないな
「いや、で……」
「7月28日、11時に駅で待ち合わせね」
何だコイツ、強引だな
「じゃあ、楽しみにしてるから」
走って教室から出てった。
……あっ!?その日俺の誕生日だ、あの女最悪だ、どこからそんな情報入手した、ってかもう断れないじゃん、最悪だな
「クソ!なんでイケメンに全部持ってかれるんだよ!」
「お前行く?」
「いや行けないだろ」
何だよ、行ってくれよ、行きたくねぇ、人生最悪の誕生日になりそう。
欝だ、欝病だ、生きる気力を無くした、へこむ、ってか俺何でこんなにマイナス思考なんだろ。
チカにはこの事は言わなかった、勘違いされたくないし、屈辱的だったからだ。
次の日、学校に行くと
「シシキ君、おはよう」
何だコイツ、待ち伏せしてたかのように、後ろから肩叩きやがって、しかも彼女気取りかよ
「あの、28日の事何だけどさぁ…」
今しかない、今を逃したら本当にこの女とデートをすることに
「楽しみにしてるからね」
「…うん」
終わった、確実にデート決定だ
「カイ、おはよう…、って同伴出勤!?」
井上だ、またタイミングの悪さは天下逸品だな
「違うから」
「ホントか?どうなの渡辺?」
「…同伴出勤かな」
このアマ殺す
「そこで会っただけだろ」
「照れなくていいでしょ」
「照れてない」
足早に学校向かった、この女は俺の“逆鱗”を逆撫でるどころか、電動ヤスリでガリガリと。
昼休み、いつもは教室で食べるけど、気分が悪い時は校庭の隅で弁当を食べてる、当然今日もそこにいた、良い感じに風も通るし、何より誰も来ない、一人に慣れるから唯一の憩いの場がココだ
「シシキ君!」
まさか、もしかして、嘘だよな
「一緒に食べよ」
予感的中、渡辺だよ、この女どこまで俺の事を苦しめれば気が済むんだよ
「たまにココにいるよね」
「うん、まぁね」
ってか、ストーカーかよコイツ、しかもズケズケと俺の隣に座りやがって
「シシキ君って、お弁当いつも自分で作ってるんだよね?」
そうだよ、ストーカーさん、とは言えないよな
「親が作らないから」
「じゃあ今度から私が作って来るよ」
やめろ、俺の弁当の方が100倍マシだよ、いやちょっと待てよ
「でも今日で弁当終りじゃん」
俺頭良い!
「休みの日でも弁当持って来てるの、知ってるよ」
コイツがストーカーだって事を忘れてた、俺頭悪
「一応ね」
「フリークライミングやってるからでしょ?」
「あぁ」
「だからこれからは、私が作るから、楽しみにしてて」
完璧、相手ペースだよ
その日から、フリークライミングの時に弁当を持ってきてる、しかも俺のジムと、塾が近いとかで終わるといつも、ジムの前にいる。
そんな日が何日か続いて、遂にあの日が来た