赤の誕生日
12月25日、クリスマス兼チカの誕生日はいつになく寒かった、東京より比較的南にあるこの島は、冬でも雪は降らないくらいらしい、でも本日の気温は段違いに低い、しかも曇りだし、雨降らなきゃ良いんだけど。
いつもより遅く起きたから朝飯ってよりは、昼飯を自分で作って食べた、休みの日はいつもこんな感じだ
「今日はチカちゃんとデート?」
おかぁか、おかぁはいつも動いてる、暇だと逆に疲れるらしい
「そうだよ、クリスマスだし、それに今日はチカの誕生日だから」
「泊まるの?」
「ゴホッ!ゲホッ!」
飲んでた水を吐き出しそうになった、あまりにも大胆な親な事
「そんなんじゃないから」
「つまんないわね、恋人同士なんだからそれくらいしてもいいじゃない」
いつもと変わらない口調で、いつもと変わらないトーン、なんか狂うな
「まだ中学生だから」
「今どきは中学生何て普通でしょ?」
普通、親なら健全な方向に教育するだろ、無理矢理そっちに曲げてどうする
「俺らはそんなんじゃないよ」
「ませたガキのクセに」
そういって二階に上がって行った、なんかいつもおかぁのペースに呑まれるんだよな。
支度もしたし、持つもの持ったし、これで大丈夫だろ、もう時間もないし出るか。
チカの家に行くとチカが外で待ってた、寒いのにわざわざ待ってるなんて、もう少し早く来た方が良かったかな
「家にいて良かったのに」
「待ってられなかった」
「じゃあ行こう」
チカと手を繋いで海に向かった、外は思った以上に寒かった、ニット帽を被ってるけどマフラーが欲しいな、手はチカと繋いでるからあったかいけど
「曇ってるな」
「夕日が見れなそう」
「残念だけど我慢だな」
夕日が出れば最高だったけど欲張り過ぎかな、チカがいれば満足、今はそんな気分だ
「ユキとマミ姉は28日には帰って来るって」
「初詣は一緒に行けるんだ」
「そうだな」
「カイと始めての年越しか」
「その前に今日を楽しもうよ」
いつもの道も、何か違って見えた、空気がどんどん冷たくなってきたのが分かった、空から白い粒が落ちてきた、冷たくてふわふわした粒が
「雪だ」
「ホントだ何年ぶりだろ」
「夕日より、雰囲気でるな」
「うん。少し急ご」
着いた頃には、雪が強まってた、視界が悪くなるってよりは、綺麗にするかんじの雪。
俺らはいつものように座った、いつもと違うのは夕日じゃなくて、雪を眺めながらって事だけ
「海に落ちた雪って可哀想だね」
「何で?」
「溶けちゃうだろ、陸に落ちれば綺麗な姿を保ってられるけど」
「“海”と“雪”が仲が悪かったらだろ」
「どういうこと?」
「雪は積もるタメに降るんじゃなくて、海に会うタメに降ってるとしたら、ロマンチックじゃない?」
「面白い事言うね」
海に落ちる雪があまりにも綺麗だったから、ついつい変な事言っちゃった
「チカ、これあげる」
「なにこれ?」
俺は小さい箱を渡した
「開けてみな」
チカは恐る恐る箱を開けた、別にびっくり箱じゃないのに
「うわぁ!凄い!」
「モンブランが好きって聞いたから」
昨日、少し遅くまで起きてモンブランを作ってたから、今日起きるのが遅かったんだ
「誕生日ケーキ、食べよ」
「カイが作ったの?」
「そうだよ」
ゆっくり口に運んでった、味わうように食べてる、悪いけどかなり美味いから
「美味いだろ?」
「普通“不味い?”って聞くだろ。でも、今まで食べたモンブランの中で、一番美味しい」
「当然だろ」
内心凄く嬉しかった、どんな奴に言われるよりも、チカの一言が俺の自信になるようになってる気がした
「あとコレ」
第二のプレゼントのブレスレットを渡した
「何コレ?」
「誕生日プレゼントに決まってんじゃん」
「良いの?貰って?」
「当たり前だろ、誕生日何だから」
「知ってただけでも嬉しいのに…」
チカは手首に付けた、俺の勘は的中した、かなり似合ってる
「カワイイ。指輪といいコレといい、いつ買ってきたの?」
「ダイチのプレゼントを買いに行くという名義で、ダイチとユキと一緒に」
「あの時か」
納得したように手首を見てる、笑って見てるのを見ると嬉しくなる
「カイ、目瞑って」
「何で?」
「良いから」
何だろ、キスはないだろ…、何か首に巻いてる、あったかい、もしかして?
「良いよ」
「…マフラー?」
「しかも手編みだよ」
「あ、ありがとう」
「いつもマフラー欲しいとか言ってただろ」
「しかも手編みだろ、スゲェ嬉しい」
ヤベェ、かなり涙腺緩んできた、でも耐えられるかな、手編みのマフラーってこんなにあったかいんだ
「どう?」
「どうも何も最高だよ!」
自分抑えられずに、強引に近いキスをした、少し長めに