白との再開
遅い、アイツは何してんだよ、時間くらい守れよ、色んなところが緩いけど、時間までルーズだとは、そんな事を考えてると店のドアが思いっきり開いた、そこにいたのは息を切らした白い短髪のデカイ男だった
「遅過ぎる!もう少し早く来い、マミ姉に嫌われるぞ」
「ゴメン、マミを納得させるのに時間がかかってさぁ」
「…ユキさん?」
待ち人とはユキの事、ユキもマミ姉に送り物をするらしく、一緒に買いに行く事になった
「ダイチもいるんだぁ」
「どうも久しぶりです」
そっかダイチにとっては先輩だもんな、なんかユキが先輩って楽しいな
「何でダイチがいるのぉ?」
「先生に恋して、その恋を掴むため」
ユキのヘラヘラ顔、久しぶりだけどいつも見ていたみたいだ
「ダイチもギャンブラーだねぇ」
「いやいや」
この二人のやり取りは、何か新鮮だな、チカは人一倍ユキに口が悪かったから、周りに先輩扱いする人がいなかったもんな
「ユキはまだ飯食ってないだろ」
「食べてないよぉ」
「俺とダイチも食べてないから食べてから行こう」
「分かったぁ」
ダイチはオムライス、ユキはミートソース、俺はピザを頼んだ、ユキの学校での話と俺らの話で盛り上がった、ユキの周りに女の子が集まってマミ姉の目が怖いとか、マミ姉は告白をしょっちゅうされてるとか
「二人とも凄いですね」
「疲れるだけだよぉ」
女の子から逃げるのと、マミ姉の悪魔と闘うのがだろ
「ダイチはフウちゃんがいるもんな」
「フウちゃん一直線!みたいな」
「そんなにカワイイのぉ、その先生はぁ?」
「おっとり系、男からしたら守りたいタイプかな」
「マミとは正反対だなぁ」
確かに、マミ姉が守るって感じだもんな、ってかユキは尻にひかれるタイプだし
「てかさぁ、カイ、髪伸びたよなぁ」
「そうかもな、あんまり切ってないし」
めんどくさいから、たまに気になった所を切るくらいだったからかなり伸びたな
「ユキも、雰囲気変わったよ」
「分かったぁ?いつもと変えてみたんだぁ」
「二人とも少ししか一緒にいなかったのに、お互いの事よく分かってるよね」
『兄弟だもん』
短い期間だろうが、血が繋がって無かろうが、兄弟だからな、ユキとは信頼関係ってやつ
「二人ともホントに面白い」
「どこが?」
「雰囲気」
「そうかぁ?」
嬉しかった、兄弟なんていなかったし、他人に認められる事でホントの兄弟になれたような気がした
「もうそろそろ行くか」
案外時間が過ぎるのが早かった、男だけで話すのが久しぶりだったからかもしれない。
店を出て煩い街を、アクセサリーを探して歩き始めた、今になって気付いたけど寒っ!もう冬だよ、クリスマス前だもんな、上着が必須の季節だな
「どこかあるぅ?」
「とりあえず俺が行きたい所があるんだけど」
ダイチが先に動きだした、やっぱり一番マジなのはダイチだよな、俺とユキは出来てるからな
「ココ?」
「うん」
ユキが来る前に回ったうちの一つだった、アジアンっぽい所で、アクセサリー全般を取り扱ってるお店だ
「決めてあるの?」
「これとかどう思う」
「ダイチにしては良い趣味してるねぇ」
確かに、ダイチにしては良い物選んでる、ココまで先生にマジで恋してるなんてドラマみたいだよな
「じゃあこれに決めた」
即決、悩んでたらキリがないし、なんかダイチっぽくて良いよ。
店を出て俺が見つけた良い店に行った、ダイチのためだけに来たんじゃないしな
「俺はココ」
「高そうだなぁ」
「そうでも無いよ」
高そうに見えて、案外お手頃なお店、しかも俺の好みときた、探してもこんな店は見付かんないよ、この店の1万円のリングが気になってた、中学生にはイタイ値段だけど、捨てられた時のお金を使って良いって言われたから、少しは高めの物も買える、おとぉとおかぁに感謝だな
「じゃあこれにしよ」
「高いなぁ」
「あん時の金があるから」
ユキ納得
「ユキも使う?」
「いいよぉ、バイトしてるしぃ」
初耳だった、ユキがバイトしてるなんて、めんどくさいから掘り下げないようにしたけど。
俺の用事も半分済まして、ユキの目的地に向かった
「どこらへんにあるの?」
「そこの角曲がった所ぉ」
裏路地っぽい所に入って行った、そこに小さいけど存在感がある店だった
「ユキのオススメ?」
「友達に教えて貰ったんだぁ」
高校の情報網恐るべしって所だな、店は薄暗くてロックな感じの店だった、こういう雰囲気は嫌いじゃないよ、アクセサリーも独特な物ばっかりでそこがまた俺を惹き付ける
「ココ、俺のツボだ」
「だろぉ、絶対カイも気に入ってくれると思ったんだぁ」
流石ユキ、分かってるじゃん、誕生日プレゼントの方を買うのはココに決定だな、でも何買えば良いのかな
「ユキはどれ買うの?」
「これぇ」
指輪に模様が彫ってあって、模様が白と黒に塗られてる
「スゲェ、ユキとマミ姉にぴったりじゃん」
「だろぉ」
ユキも指輪か、色んな物があるし何か良いのが見つかるだろ…、ってあった
「コレ良い」
「ブレスレット?」
「チカに似合うと思う」
「チカ、喜ぶよぉ」
決めた、コレにしよ、プレゼントは衝動でしょ、チェーンをにいろいろ付いてる、赤いハートが可愛いくて良いじゃん、少しはチカも可愛い物付けないとな。
みんなプレゼントを買い終って日も暮れかけてきた、帰んないとな
「ユキ、帰るから」
「うん、お正月には帰るからぁ」
「分かった。マミ姉によろしくね」
「チカにもなぁ」
ユキと別れていつもの港に向かった、島の漁師さんが迎えに来てくれてた。
チカが喜んでくれれば良いんだけどな