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赤との別れ

「飯食ったら支度しろよ」

「支度することも無いだろ、盗られたんだから」

「確かに。9時に家出るからな」

「お前も来んの!?」

芸人バリのオーバーリアクションで、驚いてた

「送るだけだよ」

「着いて来んなよ!大丈夫だから」

「またどっかで泣かれたら困るから」

「何で、お前が困るんだよ?」

不思議そうな顔で見てきた

「いいだろ別に。お前が何と言おうが、送るからな」

「勝手にしろ」

呆れた感じだった。

何だろこの感じ、ほっとけない感じ……


港に着いてしばらく時間があった

「ってかさぁ、お前みたいな奴が何で、あんなに泣いてたの?」

「“あんなに”って、そんなに泣いてねぇよ!」

「分かった分かった。で、何で?」

顔を真っ赤にしてる、あれ何か悪い事言った?

「…恐かった」

目を潤ましてうつ向いてしまった

「ゴメンゴメン。悪い事聞いたな、忘れてくれ」

「いいよ別に。しかもアタシこれでも、お前に感謝してるから」

「へっ?」

変な声だしてるし俺、でも始めて、面と向かってお礼言われたかも、相手が相手だから嬉しいな

「お前が来てくれなかったら、どうなったか考えるだけでも、怖い」

「でも、どんな奴でも、見ず知らずの奴の家にあがったのは最悪だぞ」

「分かってるよ、でもお前の目が、嘘つくような目じゃなかったから」

「おだてても、今後は何言われても着いてくな、他人を信じるな!」

柄にもなく説教してる俺がいた、でも始めて心の奥底から、人の心配をしたかも

「…分かったよ」

ヤベッ、言い過ぎた、また泣きそうだよ

「泣くな!もう泣くなよ」

「泣かねぇよ!」

涙声で言われてもなぁ、女の涙は最大の武器か

「でも良かったな、俺が拾って」

泣いてるのを見たくなかったから、顔を覗き込んで、滅多にしない笑顔をみした

「気持悪い」

「ヒド!せっかく頑張ったのに」

「慣れないことするな、無愛想」

「うるせぇよ」

『ハハハ!』

やっと笑ってくれた、しかも俺も笑ってる、相手が笑ってくれたのも始めてだし、俺も何年ぶりに笑ったかな

「おっ、もうそろそろフェリー来るよ」

「もうこんなに。ホントにありがとな」

「はい、これ」

紙を差し出した

「なにこれ?」

「携帯番号とアドレス、携帯買ったらメールして」

「分かった、絶対するから」

「後金も絶対返しに来いよ」

「ケチだな」

「郵送とか卑怯な事するなよ、そんで泣いて感謝しろ」

「上等だ、覚悟しとけよ」

何かスゴい悪い事した気分、でも今の照れ隠しでもあるかな、だって真っ直ぐ言えないだろ。

フェリーに乗って行った、手を振って見送った、出港した後気付いた

「ヤベェ!名前と島の名前聞いてねぇ!」

周りの人がみんな向いたのに気付いた、その後軽く涙腺が緩んだ

「辛い一年になりそうだな」


その日始めて学校をサボった、胸がいっぱいってこういう事?

苦しい、辛い、切ない、愛しい

俺、変われるかな?

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