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青と夢現

昼休み、教室の端でチカと二人でいつものように弁当を食ってる、最近は単調でなんとなくつまんないな、変わったところを強いてあげるとしたら、ダイチが頻繁にフウちゃんの所に行くくらいだな

「今日もダイチいないな」

「勉強熱心だな」

「アタシの勘からいくと、フウちゃんに惚れてるねあれは」

女の勘ってやつか、チカもなかなかだな、ダイチのためにも確信まで言わないつもりだけど。

いつも通りにチカと飯を食って、ミッチーは紅茶飲みながらたそがれて、ユメちゃんは人形作って、サエは勉強して、いつも通りに終わるはずだった、でも新キャラ登場

「ユメ!」

誰だこのガキ、子供みたいな無邪気な笑顔、チカより長い髪の毛、母性本能をMAXくすぐるタイプだな

「現ちゃん」

ゲンちゃん?兄弟、ではなさそうだな

「チカ、あのガキ誰?」

「ゲンちゃん、ユメちゃんの一個下の幼馴染み」

そういう事、ユメちゃんがガキっぽいからお似合いだな

「ユメ、今暇?」

「いや、人形…」

「暇だね!ちょっと来て」

手を引っ張って無理矢理連れてっちゃった、二人ともちっちゃいな、何かカワイイな、これは子供を見る目であって、女の子としてではないから

「ユメちゃんの彼氏なの?」

「違うんじゃない、いつも強引にゲンちゃんがユメちゃんを連れ回してるだけだよ」

ってかゲンだよな…

「サエ、ゲンって子の名前書ける?」

「書けるけど」

「黒板に書いて」

サエが目で勉強を邪魔するなと訴えて来たけど、気になったら自己チューな俺なので

「はい」

“百合野現”

「ユリノゲン?」

「そう」

「ビンゴ!」

この二人やっぱりお似合い!二人で一対か

「何が?」

「気付かないの?」

「うん」

「サエは分かるだろ」

またかよ、って目で見てきた

「馬鹿にしないで」「悪いけど、今度はユメちゃんの名前、黒板に書いて」

かなり怒ってる、勉強くらいいつでも出来るだろうに

「書いたよ、後は自分でやって」

「ありがとね」

やっぱり、名前を並べると、楽しい名前だな

「まだ分からない」

「…あぁ!ユメウツツ!」

そう、夢現、対象的な言葉だけど、一つの熟語、ユメちゃんとゲンの性格もそんな感じ

「サエ、何でこうなったか知ってる?」

「あぁ、もう!」

キレた、でもこっち来た、ピリピリしてるね、案外この状況を楽しんでたりする俺

「勉強は良いの?」

「集中できないし」

確かに、まぁいいや、ユメちゃん事情に詳しいサエなら、いろいろ知ってるだろ

「ユメちゃんとゲンの名前、何か意味あるの?」

「あるよ。もともと親同士が友達で、先にユメが産まれて、その後にゲンが産まれたの、それでお前の所が夢ならこっちは現だ、みたいな感じ、でもウツツ君ってキモイでしょ」

確かに、ウツツって友達になりたくないな

「だから現」

「ゲンって可哀想だな」

「そう?」

「ユメちゃんありきのゲンだろ、何か親の遊びに一生かけて付き合わされてるみたいじゃん」

二人とも頷いてる、よくまともに育ったよな、それをコンプレックスとも思ってないみたいだし。


チカを家に送って、気分で散歩をして帰る途中だった、前の方に子供…、じゃなくてユメちゃんとゲンか、何か話てる、ってかあれ?ユメちゃんが走ってどっか行っちゃった、ゲンは動かない。

近寄って、ゲンに話かけた

「どうした?」

「誰?」

涙目の上目使い、大概はこれで惚れるだろうな、これが自然体なんだから凄いよな

「ユメちゃんの友達、お前は幼馴染みのゲンだよな」

「そうだよ」

「どうしたの?」

「告白した」

告白か、ユメちゃんの事好きだったんだ、でもユメちゃんが逃げたって事は…

「フラレたの?」

「無言で逃げちゃった」

「どうするの?」

「待つよ」

ガキっぽく見えても、中身はしっかりしてるな、問題はユメちゃんか

「ユメちゃんと話してきていい?」

「何で僕に了承をとるの?」

「だって、ゲンの好きな人だ、迂濶に手を出せないだろ」

「わかんないけど、お願いします」

「どこにいるか分かるか?」

「多分公園」

俺はゲンを置いて公園に向かった、ゲンの初恋、叶えないとな。


公園で、ユメちゃんはベンチに座って、人形と話してた

「ユメちゃん、ちょっといい?」

「カイ、どうしたの?」

ユメちゃんはいつもと変わらない、冷静というか受け止められないというか

「ゲンから聞いたよ」

「で、何?」

「ユメちゃんはどうなの?」

下を向いて考えてる、こんな事は始めてだろうからな

“ユメちゃんは嬉しいんですよ”

ゴルゴネスか、これなら話してくれるだろ

「じゃあ何で、ユメちゃんは逃げたの?」

“ビックリして、訳が分からなくなって逃げちゃったんですって”

やっぱり

「ユメちゃんはゲンの事好きなの?」

“す、好きだと思います”

「付き合うつもりは?」

“あるらしいんですけど、逃げちゃったし、どう応えたら良いか分からないんですって”

「分かった、じゃあ本人同士で話してもらうか」

「えっ?」

「ゲン!出てこいよ!」

“ガサガサ!”

植え込みの中からゲンが出てきた、隠れるのが下手くそだな

「何で分かったの?」

「ずっと着いてきてたから」

「ゲンちゃん…」

「じゃあ俺帰るから」

俺はその場から離れた、後は二人とゴルゴネスがどうにかしてくれるだろ、俺もそこまで干渉するつもりもないし、邪魔だろ。


夜、ユキがいなくなって寂しい部屋で音楽を聞いてるとおかぁが入ってきた

「カイ、友達が来てるよ」

「下にいる?」

「うん」

下に降りるとゲンがいた、心なしか最高の笑顔をしてる、野次馬魂が結果を教えろとうるさい

「何?」

「カイさん、ありがとう!ユメ、付き合ってくれるって」

「良かったじゃん、ユメちゃんを泣かせるなよ」

ゲンの顔が曇ってきた、何か悪い事でも言っちゃったかな

「その事なんだけどぉ…」

「どうした?」

「僕、こんな小さいし、ユメを守るってより、守られる事の方が多いいんだよね」

それは悩むな、でも、コイツ何か履き違えてるな

「ゲン、力だけが守る事じゃないぞ、相手の笑顔を守る事が一番大事だからな、分かったか?」

「うん!頑張る」

柄にもなく、他人に自分の思想を押し付けてるし、少なくとも俺はそれが守る事だと思ってるけど

「頑張れよ、一応応援してるよ」

「カイさんとチカさんよりも絶対に幸せになるから」

「それは無理だ」

笑って帰って行った、ユメちゃんもガキじゃなくなったのか、明日はからかってやろ

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