赤が沈む
今日は休日、って事で朝からチカとサーフィン漬けけ、久しぶりに朝からサーフィンをした、いつも学校で午後からサーフィンしてたから、波もそこまで無かったから、体が鈍らないようにするくらいだったけど、今日は本気モードです
「今日は良い波来てるね」
「お先!」
チカがいきなり走って海に出た、長い間まともにやって無かったからしょうがないよな、でも
「少しはストレッチしないと怪我するぞ!」
「大丈夫!そんな馬鹿しないから」
行っちゃった、まぁいいや、チカなら怪我しないだろうし。
俺は軽くストレッチした後、海に出た、久しぶりさだし、今日は良い波があったからいつになくハイテンションだった
「カイ、上手くなったな」
「当たり前だろ、日に日に進化する男だからな」
チカが呆れて顔をしてる
「でも、まだまだだな」
俺は2時間ちょっとしてから、海をでた、でもチカは海に残ってる、ヤル気あるよな
「ほどほどにしろよ」
「大丈夫」
チカが波に乗った時だった、足元をすくわれてボードから落ちた、だから休めって言ったのに
「もう戻って…」
チカがもがいてる、まさかな
「ふざけてないで、早くあがれ!」
反応がない、嘘だろ、考える前に体が動いてた、無心で走って、無心で泳いだ、無心ってよりも考える余裕が無かった。
泳いでて気づいた、だんだん力が無くなってきて、そのうちもがく力も無くなったのか、沈んでいった、多分海の中だから気付かなかったけど、泣いてたと思う。
ついた頃にはボードだけが水中に引っ張られる感じに浮いてた、俺は潜って水中を見ると、チカがコードのせいで逆さまになってた、水面にあがってチカをボードに乗せた
「チカ!チカ!!」
反応がない、息もしてない、死なないでくれよ、チカに死なれたら…、ヤダ、考えたくもない、考えられない。浜に着いてもチカは息をしてない、息してくれよ、頼む、その時頭の中に一つの言葉が浮かんだ
「…ジンコウコキュウ」
否応も無く、気付いたら行動に移してた
「チカ!頼む!……、息してくれよ!……、チカ!」
反応が無い、死んだのか?チカが死んじゃったのかよ?頼むよ、俺ならどうなっても良いから、チカだけは持ってかないでくれよ
「チカァ!!」
「……ゲホッ!ゴホッ!ハァハァ…」
息した
「チカ、分かるか?」
チカが虚な目でコッチを見てる、生きてる、少なくとも生きてる
「か…、カイ?」
「良かった!生きてる」
チカを思いっきり抱きしめた、嬉しかった
「カイ…、痛!」
「どうした?」
「足が…」
チカの足を見ると足首が腫れてた、多分ボードから落ちた時に足首を捻ったんだと思う
「大丈夫…、じゃないよな。乗れよ」
背中を向けた
「な、何?」
「おぶってやるから医者まで案内しろ」
「大丈夫だよ、立て…、痛」
「無理するな、ほら早く」
渋々背中に乗ってきた。
チカに案内されるがまま医者に行った、中は静かだった
「誰かいないんですか!」
奥から子供が出てきた…、って子供じゃなくてユメちゃん?
「カイ、チカ?」
「ユメちゃん、何でココに?」
「ココ、私の家」
「まぁ、いいや、医者呼んで」
ユメちゃんが奥に入って行った、俺はチカをベンチに下ろして隣に座った
「まだ痛い?」
「少しな」
奥から白衣をきたボサボサのおっさんが出てきた
「どうした?」
「チカの足見てくれよ」
医者はチカの足を見て診察室に連れて行った、俺はチカが出てくるのをベンチに座って待ってた
「チカ、どうしたの?」
ユメちゃんか、ユメちゃんには一通りの事を説明した
「キス、どうだった?」
「キスじゃなくて人工呼吸」
「で、どうだった?」
「子供には分からないよ」
ユメちゃんが膨れ始めた
「子供じゃない」
「ならいつか分かるよ」
チカが足に包帯を巻いて出てきた
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ、軽い捻挫だから一日安静にしてれば良くなる」
医者に言われると説得力があるな
「チカ、帰ろう」
「うん、でも…」
「何?」
「松葉杖がないから、頼んだよ君」
松葉杖がない?頼んだよ君?もしかしてまたおぶるのかよ、しかもここからチカの家までかなりあるぞ
「カイ、男の、見せ処」
「しょうがないな、行くぞチカ」
チカを乗せて医者を出た、女の子って軽いな、しかもいつも気にしてなかったけど、胸って案外あるもんだな
「何か変な事考えてるだろ」
「か、考えてねぇよ」
「耳真っ赤だけど」
確かに顔が熱い
「Cだよ」
「馬鹿が!落とすぞ」
チカが後ろでキャイキャイ騒いでるし、鼻血が出そうなのを必死に抑えてる俺がいた
「そういえばボードはどうするんだよ」
「後で俺が取りに行く」
「ありがとう」
後ろでチカが泣いてるのが分かった、怖かっただろうし、辛かったんだろうな
アタシが休んでれば、こんな事にならなかったよな」
「生きてるんだから良いだろ、後の祭り」
「…ありがと」
最近、チカを泣かしてばっかだな、泣かさないって決めたのに、俺って小さいな、好きな人の笑顔も守れないなんて。
チカを守れるようになりたい、チカを泣かせたくない、チカの笑顔を作りたい、チカの側にいたい、それが俺の願い