赤の才能
中間テストも終わってみんな一喜一憂してる、っていうよりも、ミッチー以外は晴れ晴れしてる、ミッチーは玉砕
「だから教えてやるって言ったのに」
「いや、僕の美学が…」
「でもその美学とやらは、俺に頼った方が正解だったんじゃないの?」
「クヨクヨしててもしょうがない!期末テストで頑張れば…」
先を見て粉砕、期末は更に力入れて教えてやるか。
テストがやっと帰ってきた、大体満点だった、最後はどちらかと言えば苦手の英語…、ってかフウちゃんのテスト難し過ぎ!高校レベルの問題だし
「サエ何点?」
「93。カイは?」
「85だからサエが一番か」
「いや、一番は私じゃないよ」
そういってサエが向いた先には…、チカ?他の教科は平均くらいだし、第一ダイチと一緒に補習サボってたから、てっきり出来ないものかと
「チカ、いくつ?」
「100」
「100点!?スゲェ!何でそんなに取れんの!?」「チカはバウリンガルだから」
バウリンガル?2カ国語喋れる人か、意外だなチカがそんなにすごいなんて
「悔しい!絶対に100点取らせないつもりだったのに」
フウちゃん、それは違うだろ、テストは先生と生徒の勝負じゃないから
「フウちゃん!俺57点だよ!フウちゃんのお陰だよ、ありがとう」
ダイチがフウちゃんの手を持って腕を振り回してる、ミッチーは0点、ユメちゃんは20点、二人共居残りらしい、可哀想に
「フウちゃん、次からは楽にしてよ、こんなの中学生には無理だよ」
「カイ君、世の中おかしな事もあるものよ、授業が全てじゃないの」
この先生ずれてるだろ、授業が全てだよ、しかも勝ち誇ったこの顔、チカがいなかったら完敗してるところだった。
テストは1番がサエ(英語以外全て満点)、二2俺(英語以外全て満点)、3番ユメちゃん(英語以外全て3番目)、4番チカ(理系でユメちゃんに離されてる)、5番ダイチ(ミッチーのお陰)、ビリはミッチー(断トツビリ)、何となく予想のつく順位だけど、ミッチーの馬鹿さには脱帽だよ。
放課後はチカと一緒に帰って、その後散歩しながら話をしてた
「何で英語喋れるの?」
「元々それなりにできたンだけど、去年の夏にアメリカ人サーファーがジョニーに会いに一ヶ月うちに宿泊してて、その時に教えてもらった」
「カッコイイな」
俺もそういう機会があったら喋れるようになったかな、でもいらないもんな、英語なんて
「カイは何でそんなに勉強できるの?」
「寝るために一学期に全部頭に叩き込んだ」
「じゃあ何で高校レベルまで知ってるの?」
「勢い余って」
チカは呆れてる、っていうか考えられないみたいな感じの顔をしてる、自分でもビックリだよ、いつの間にか高校の勉強まで
「カイは高校どこ行くの?」
そういえば決めてなかった、行きたい所もないし、高校も行くきもそこまでなかったし
「ユキとかと同じ所でいいや」
「実はアタシもそこなんだよね」
何となく想像はついたけど、ホントに行くとは
「頭良い学校なの?」
「中堅だよ。カイならもっと良い所行けるだろ」
「チカが行く。それだけの理由で良いだろ」
「サエとは対象的だな」
「何で?」
「サエは学校で人生が決まるって考えだから」
俺的にはその考えも間違っちゃいないと思うけど、悲しいよな、学校を将来への糧としか考えられないなんて、“誰かがいる”それだけでも立派な理由だと思うよ
「チカ」
「何?」
チカが振り向いた時に、触れる程度のキスをした、これだけでもチカの顔は真っ赤になってるし
「何すんだよ!?」
「したかったから。最近してないじゃん」
動かないチカの手を引っ張って、歩き続けた。
あぁ、ヤベェ、どんどんチカにハマっていく俺がいる、会えない時間の方が少ないくらいなのに、会えない時間が苦しい