赤の不安
テスト前日、補習はしないで家でお勉強、でもダイチはフウちゃん目当てで補習を受けに行ってる、英語の補習だけいつも抜けてたし、みんなも何となく気付いてるだろ、フウちゃんも頼ってもらって喜んでるし、一石二鳥だな。
今日はチカとマンツーマンで勉強に手伝ってる、中3の二学期は大事だからみんな必死だよな
「分かった?」
「頭良いな」
「感心してないで、分かったの?」
「当たり前だろ」
頑張ってないのは、俺とミッチーだけだな、ミッチーは半ば諦めなモード。
勉強も終わって、チカと散歩がてらに夕日を見に行った、久しぶりだし、二人になることがそんなに無かったから、テンションが無駄に上がってる
「久しぶりだな」
「カイが先生やってて暇が無かったしな」
「ごめんなさい」
「別に良いって」
着いた頃に調度日が沈んでた、海にはいつも通りにレッドカーペットが出来てた
「ギリギリセーフ。やっぱり綺麗だな」
「最高に綺麗」
ココに来ると、二人だけの空間みたいな感じで、色んな意味で最高な時間
「一つ聞きたい事があるんだけど」
「何?」
チカが何時になく真剣な顔をしてるし
「サエと何してたの?」
「勉強教えてただけだよ」
「ホントに?」
「チカには嘘付かない」
チカはまだ疑ってるっぽいけど、チカに嘘付かないのは本当の事だし
「でもサエが他人を誘うなんて、始めてなんだぞ」
「勉強教わる相手がいなかったんだろ」
「そうだけど…」
何で信じてくれないのかな
「頼む!信じてくれよ」
チカの前で手を合わせて懇願した、チカだけには信じて欲しいのに
「でも…」
じれったいし、俺もだんだん悲しくなってきて、目頭が熱くなってきたから、見られないように抱きしめた
「頼むよ、信じてくれよ、俺はチカだけには信じて欲しいんだ」
涙声だし、我ながら脆いと思うけど、辛かった
「カイ…」
「チカには嘘付かないし、嘘付けないんだよ」
「信じるよ。ゴメン」
その後チカに見せたく無かったから、無言で泣き続けた、情けないな。
二人で手を繋いで帰ってる途中の事だった、前から人形を抱いた子供…、じゃなくて、ユメちゃんが歩いてきた
「ユメちゃん、何してんの?」
「そっちこそ」
「デートだよ」
思いっきり笑顔を作って、自慢してやったけど、ユメちゃんには通じないな
「ゴルゴネス、どう思う?」
「…ゴルゴネス?」
「この子」
人形の名前か、かなりアグレッシブな名前だな、モンスターみたいな名前だし、カワイイ亀の人形なのに
「それ、ユメちゃんが作ったの」
ユメちゃんは無言で首を縦に振った
「凄いな!見せてよ」
「ゴルゴネス、良い?」
“良いですよ”
ユメちゃんの一人二役、中身もまだ子供だな
「はい、大事に、扱ってあげて」
「ありがと。ゴルゴネス始めまして、ユメちゃんのお友達のカイ」“ヨロシク”
楽しいなこれ、にしてもこの人形、メチャメチャキレイに出来てるし
「で、ユメちゃん何してんの?」
ゴルゴネスを返しなが、ユメちゃんに聞いた
「散歩」
「変質者に襲われるよ」
「そんなの、いない」
「俺とかさ!」
その瞬間黙ってたチカのヘッドロックが入った
「馬鹿な事してんじゃねぇよ」
必死にチカの腕を叩いた、コイツの力は異常だよ
「あぁ、死ぬ」
「ゴメンな、ユメちゃん」
「お似合い」
ユメちゃんは呆れて発した言葉だけど、チカが顔を真っ赤にしてる、俺も顔が熱い
「後は、二人で」
ユメちゃんは俺達の横を通って行った、俺とチカは立ったまんま動けなかった