青のケジメ
俺はある場所に向かってた、過去にお別れと報告をするために。
その途中、見慣れた奴がいた、あの時はうるさい奴だったけど、今は幼馴染みと思える
「井上」
「おうカイ、来てるなら連絡くれよ」
俺は井上に夏休みにあった事を全部話した、島に済むことも、チカの事も
「ウルマさん、カイをよろしくな」
「任せろ」
「何かミナに似てるな、この子」
「そうか?似てないだろ」
「で、何しにココに?」
「ミナと話に」
今、俺はミナの家の前にいる、今なら手を合わせることも出来るような気がした
「頑張れよ」
井上は帰って行った、コイツと会うのもこれで最後かもな
“ピンポーン”
「はい!」
中からミナのお母さんが出てきた、何も変わってない。
あの時の事がフラッシュバックのように頭を駆け抜けて行った、でも今ならその事実を受け止められる
「どうも久しぶりです」
「シシキ君?」
「すみませんでした!ミナの葬式も何も行かないで、自分一人が逃げてて!良ければお線香をあげたいんですが…」
ミナのお母さんが泣いてる、虫のいい話だってのは分かってる、遅いのも分かってるでも
「ありがとう、ミナも喜ぶわ、さぁどうぞ」
俺が通された部屋には、ミナ仏壇があった、お線香をあげて、手を合わした
「ミナ、遅くなってゴメンな、守れなくてゴメンな。だからミナの分まで俺は幸せになる、俺がミナと同じところ行ったら、最高の思い出話してやるから、少し待っててくれ」
胸に引っかかってた物が、無くなった気がした、楽になった
「カイ、もう良いの?」
「まだある」
「何?」
「ミナ、これ俺の彼女、ミナに言うのは筋違いだと思う、でもチカをミナみたいにはさせない、ミナとチカに誓うよ」
これで俺は一歩前に進めた気がした
「シシキ君、お茶飲んで、そちらのお嬢さん…」
あれ黙っちゃった、チカが何かしたのかな、それともチカを連れてくるのはまずかったかな
「ミナにそっくり」
『へっ?』
「顔とかじゃないわよ」
性格もな
「雰囲気が何となくだけど、ミナに似てる」
実の親が言うんだから確かなんだと思う、井上も同じような事言ってたし。
その後長々とミナの思い出話をして、帰った
「じゃあ帰るか」
「その前にお腹空いたから何か食べよ」
「そうだな、まだ約束の時間まであるし」
俺達は近くにあったファミレスに行った、そのファミレスは中高生の溜り場みたいなもので、何人か知り合いがいたけど、あえて触れがたい雰囲気を出して席に着いた
「何頼む?」
「アタシはね、ミックスグリルとポテトとリゾット」
呆れた、普通男の前では守りたくなる女を演じるだろ、少なくとも俺の中ではそうだけど
「じゃあミックスグリルとライスで」
「少食だな」
「チカが大食過ぎるんだよ」
こんな大食だとは知らなかったけど、チカらしいって言ったらチカらしい
「ユキとマミ姉は今頃、必死に宿題やってるんだろうな。チカはやったの?」
「無いもん」
気楽で良いよな、あの二人は徹夜覚悟なのに
「ユキとマミ姉がいなくなるのは、やっぱ悲しいよな」
「でもアタシは一人じゃないもん」
「学校の友達もいるだろ」
「あ!そっか!」
馬鹿だ、本物の馬鹿だ、今頃気付くな、でも一人だったのは確かだと思うな
「クラス何人?」
「アタシ入れて5人」
そんなものだろうな、逆に30人です、って言われた方がビックリだよ
「どんな奴ら?」
「うるさいのに、ホモに、ガリベンに、ガキ」
濃い、何か物凄く濃いクラスだな、俺、ついていけるの?