白の過去
ユキとマミ姉を追って、道から外れた森の中に入って行った、緩やかな坂道だけど、道がしっかりしてないし走ってるから疲れる
「着いたよぉ」
そこは森が拓けた場所で、風も通って気持ちいい所だった
“ドォーン!”
「始まったぁ」
みんなでその場に座って花火を見た、近くで上がってるらしく花火がデカイ
「何でユキはこんな所知ってるの?」
「知りたい?」
「いや、別に」
「何でだよぉ、たまには俺にも語らせろよぉ」
「なら教えて」
―あれは俺とマミが小学校6年生だからぁ、5年前の事かなぁ、今は髪が短いけどマミみたいに長かった時、今はまだマシだけどあの時の俺は泣き虫の甘ったれだったんだぁ、いつもマミに守られてたんだぁ、島のジャ●アンがいつも俺をからかってくるんだよなぁ、その日もそうだった
「マミ、髪切ってよぉ」
「良いよ、じゃあハサミ持って来るから少し待ってて」
髪切ってもらうためにいつもは髪をゴムでまとめてるけどゴムを腕に付けてたんだぁ、その時にジャイ●ンこと雄二だっかなぁ、そいつが来たんだぁ
「あれ?ユキちゃん何してるの?」
イヤミな感じでつっかかって来たんだぁ、ちなみに“ユキちゃん”は雄二がからかうときに使う手、頭悪いよなぁ
「髪切って貰うだよぉ」
「またアララギかよ、ユキちゃんはアララギがいないと泣いちゃうもんな」
あう度にからかって来るから慣れてたんだよねぇ
「うるさいなぁ、どっか行けよぉ」
「何だと?ユキのくせに生意気なんだよ」
そういって腕を掴んで倒そうとしたらしい、でもゴムを掴んでゴムが切れちゃったんだぁ、そのゴムはマミに始めて貰ったものだったからぁ、お宝みたいなものだったんだよねぇ
「何するんだよ」
「ユキが悪いんだろ」
「ふざけるな!」
そういって雄二の顔を殴って走って逃げたんだよなぁ、人を殴るのは始めてだったんだぁ。
走って走ってぇ、いつの間にか森に入ってぇ、気付いたら拓けた所にいたんだぁ
「ユキ君!」
「マミィ?何でいるのぉ?」
「ユキ君が雄二君と喧嘩してて、声かけようと思ったらユキ君が走って行っちゃったから、追って行ったらココに」
何となく見られたくないところを見られてぇ、何か恥ずかしかったんだよなぁ
「マミィ、髪切ってぇ」
「良いよ、どれくらい?」
「思いっきりぃ」
「思いっきりって、これくらい?」
そういって指で髪を挟んだんだぁ、今までが長っかったからぁ、肩辺りだったかなぁ、でもかなり切って欲しかったんだぁ
「ハサミ貸してぇ」
「はい」
“バサッ”
「ユキ君!?そんなに切っちゃ…」
「これで良いんだぁ」
そういって大雑把に切ってぇ、後はマミに任したんだぁ
「男の子みたい」
「俺は男だよぉ」
「でも良いの?本当にこんなに切っちゃって?」
「良いの良いのぉ」
髪の間を風が通り抜けるのが分かったんだぁ、ゴムが無いのもあったけど、男っぽくなりたかったんだぁ。
その時にマミに守られるんじゃなくてぇ、マミを守るってきめたんだぁ―
「その時に逃げて来たのがココぉ」
昔からユキとマミ姉は一緒にいたんだ、髪が長いユキも見てみたいかも。
花火も連続で打ち上げられてクライマックスに近づいてきた、そういえばいつの間にかチカと手を繋いでた。
夏休みも終わり間近、ユキとマミもいなくなる、後少ししかないけど、この四人でいれば無条件で夏休みを楽しめそうだ