青のターニングポイント
あれから毎日サーフィンをしたり、チカ達と無駄話したりしながら過した。
あの手紙が来るまで、俺は人生最大の大事件に気付く余地もなかった
「カイ、何かカイ宛に封筒来てるぞ」
「俺に?」
「あぁ」
いつも通りにサーフィンして、いつも通りに話して、いつも通りに笑った一日の夜だった
「何だろ?」
「知らない、開けてみろよ」
封筒は割と重みがあった、開けると俺は愕然とした
「おい、どうしたんだよ?」
「こ、これ…」
中には通帳が入ってた
「通帳?」
「あぁ、何で通帳なんかが」
中には手紙も入ってた、この手紙が俺の人生を大きく狂わせるとは知らずに
‘カイへ
突然ごめんなさい、人として間違ってるのは分かります、でももう貴方を育てていく自信がありません、これからはお父さんと二人で暮らしていきます。
通帳は貴方のお金です、これで生活してください。
本当にごめんなさい
母より’
おい、嘘だろ?ありえないだろ、俺、親に捨てられたのかよ。
あまりの絶望感で俺はその場に崩れた
「カイ!どうしたの!?」
俺は無言でチカ手紙を渡した、チカは無言で手紙を読んでる、だんだんと顔が険しくなってきた
「な、何これ?」
「捨てられた」
「嘘、ホントに?」
「あぁ」
「電話は?」
「チカ、ナイス!」
俺に一筋の光が見えた、電話が繋がれば何とかなるかもしれない
“この電話番号は現在…”
携帯は繋がらない、でもまだ家の電話が
“この電話番号は現在…”
嘘だろ、家も繋がらない、しょうがない最後の砦だ、電話したくないけど
“はい、もしもし”
「井上か?俺の家どうなってる?」
井上の家は俺の家の隣だ、世間一般では俺達の関係を幼馴染みって言うのかもな、小さいころから何となく嫌いだったけど
“おう、カイか!久しぶり。お前の家って、引越したんじゃないの?”
「引越した?」
“あぁ、だって無いよ”
「分かった」
その時完璧に理解した、俺は完全に親に捨てられた、俺に帰る場所が無くなった
「どうだった?」
「家が…、無い」
「えっ?家が無いって、ホントかよ…」
親が死ぬのは納得できる、でも俺に捨てられるのは納得できないし、理解できない
「カイ、大丈夫か?」
虚ろだったと思う、目が死んでたし、目の前は真っ白だった。
俺の抑えてたものが、一気に溢れ出した、悲しいとかじゃない、絶望の涙だ
「カイ…」
その瞬間目の前が真っ暗になった、チカの胸に抱かれてた
「アタシはカイの胸で泣かしてもらった、だから今度はアタシが胸で泣かしてあげる」
「…ありがとう」
暫くの間泣き続けた、子供の頃から滅多に泣かなかったのに、こんなに泣いたのは始めてだった
やっと泣き止んでチカから離れた
「もう大丈夫か?」
「ありがとな、チカのお陰で楽になった」
泣いた事で全部を出せた気がした、頭の整理がついて冷静になれた。
手紙が気になって通帳があるのに気づいた、その通帳を見てビックリした
「えっ、うっ、えぁ?」
言葉にならない言葉が出てきた
「どうした?」
「金が…、いっぱい」
「はっ?」
「1000万も…」
「嘘だろ!?数え間違いじゃないのかよ?」
1000万が入ってた、俺が一歳の時から毎月5万づつ、それと俺がココに来たのと同時に金を入れたらしく、調度1000万、最初のは積立てだろう、でも後の大きいのは恐らく捨てるタメの金だろう
「どうするんだよ?これから」
「分かんない、一晩考えてみる」
「分かった、おやすみ」
「おやすみ」
今後の事を考えたけど、何も思い浮かばなかった、この日はいろいろ疲れてすぐに寝た