青とサーフィン
「着いたぞ」
そこは誰もいない浜辺だった、誰もいないって言っても、マミ姉とユキがいるけど
「穴場?」
「そう、アタシ達しかしらない場所」
水も砂浜も綺麗だった
「悪い、カイこれ持ってて!」
チカがボードを俺に渡してユキ達の方に走って行った、ユキの後ろに行って思いっきり蹴りを入れてた
「意味わかんねぇ」
「痛ぁ!何するんだよチカぁ!」
「イチャイチャしてねぇで、サーフィンしろ」
更に意味が分からねぇ、チカは何かとユキをイジリたいのかもな
「チカ、これ持てよ」
チカの側に行って、ボードを渡した
「おう、カイ。あれぇ、ボード持ってるけど、カイもサーフィンやるのぉ?」
「いや、ジョニーに無理矢理持たされた」
そう言ってボードをみした、ユキはニカッと笑って自分のボードを俺に見せてくれた
「俺と一緒ぉ、あの人の才能センサーはスゴいぞぉ。チカもこんなだけどぉ、チカのボードはハワイの別の大会で優勝した時の物を、少し加工してチカに合わして作ったんだぞぉ」
何か分からないけど、チカにも才能があるって事が分かった
「いや、でも俺初心者だし、貰ってもな」
「じゃあ、俺が教えてやるよぉ」
「お願いします、先生」
ユキは照れてる
「先生なんてやめろぉ。一時間で完璧に乗れるようにしてやるよぉ」
チカが大笑いしてる、何がおかしいんだよ
「ユキはやっぱり馬鹿だ!一時間は無理、アタシでも半日かかったんだぞ」
「俺は一時間だぞぉ」
「ユキは天才だからだよ、普通は1日以上かかるもんなんだよ」
何か二人の話を聞いてると、二人が凄い事は何となく分かった
「でもボード貰ってるから大丈夫ぅ」
「一時間は長い、30分で乗れるね」
ユキの表情が変わった、背筋が凍るような目をしてる
「カイ、サーフィンなめるな」
静かだけど怖かった、俺は何となくその理由が分かった
「悪い悪い。これから俺が一回やるからそしたら海でるぞぉ」
「はい、先生」
ユキは慣れた感じで、海に出ていった
「カイ君、ユキ君はね、あんなヘラヘラしてるけど、サーフィンにへの情熱は誰よりもあるんだよ」
何か、物凄くユキに悪い事をしたと思った。
ユキは波に乗ってる時は、満面の笑顔だけど真剣さが伝わって来た。
ユキが海からあがってきた、俺はココに来る前に海パンを履いてた
「じゃあ、カイ行くかぁ」
海はの中は気持ち良かった、この後海と格闘するとも知らずに…
「じゃあ、最初は俺が合図するからぁ、それに合わしてぇ」
「分かった」
ユキのを見てて何となく一連の動きを把握してた
「おっ、波来るぞぉ」
俺には全然分からなかった
「準備しろぉ」
何かだんだんと緊張してきた、スポーツで緊張したのは、フリークライミングを始めてやった時以来だ
「今だぁ!」
ユキの合図と同時に、パドリング(クロールの腕だけ)で進むような感じで、何となく波を捕えた感じがした
「立てぇ!」
ユキの合図で、腕を突っ張って立った…、と思った瞬間、足をすくわれてそのまま転んだ
「クソが!」
「何でぇ?凄いよ、最初から波を捕えられるなんてぇ」
「立てなきゃサーフィンじゃない」
「ハハッ!確かにぃ、なら立てるまでやるかぁ」
燃えてきた、難しくて、スリリングで、新しい、乗れなかったけど、サーフィンに魅了された俺がいた
「ユキ、試しに一人でやってみるから、合図はいらないから」
「頑張れぇ、カイは俺が思ってた以上だよぉ」
俺は集中して沖を見た、さっきの感じを始終忘れないようにして
「…キタ」
さっきとまったく同じように、スタートして、さっきと同じように立とうとした、でもまた転んだ
「何でだよ!」
「カイ、凄いよぉ、二回目でここまでなんてぇ」
「でも…」
「大丈夫、カイは才能あるからぁ、すぐに乗れるようになるよぉ」
その後、ずっとやり続けたけど、でも一回もまともに乗れなかった、最初の自信はもう無いよ、悔しい、だって簡単そうだから甘く見てたら、この様だ、諦めはない、むしろ挑戦の気持ちが強かった
「カイ、少し休んだらぁ?疲れたでしょ」
「大丈夫、あと少しで何か掴めそうなんだ」
「熱心だなぁ、カイがそんなに熱かったなんてぇ…」
「サーフィンの魔力ってやつ?」
「頑張れぇ」
今までスポーツはいろいろやってきたけど、どれも少しやれば出来るレベルだった、だからどれも興味が湧いてこないんだ、でもサーフィンは何度やっても出来ない難しさ、こんなの始めてだった、よく分からないけどそこに惹かれた。
波が来て、パドリング、波を捕えたところで立つ!何かいつもと違う、スムーズだ。
気付いたら波に乗って、立ってた、普通に波乗りしてる
「ヨッシャー!!」
少し調子に乗りすぎて転んだけど、確かに乗れた、嬉しかった、最高の気分
「ユキ!今乗れたよな」
「スゲェよ、乗れてるよぉ、カイにはやっぱり才能があったのかぁ」
俺は興奮した足で、チカとマミ姉の方に走った
「見た!?俺、乗れてたよな?」
「スゲェじゃん」
「カイ君、凄いね、まだ40分ちょっとしかたってないよ」
俺はユキの肩に、ポンッと手をのせて
「ゴメンな、ユキ」
「何がぁ?」
「あっという間に抜いちゃうかもな」
「ムリムリ、急速成長してぇ、来年には3番目かなぁ」
「島で?」
「日本でぇ」
「…日本?」
「うん」
俺は一瞬フリーズした
「一位はジョニー後は?」
「二位は俺、三位はカイだったら良いなぁ」
「妄想?」
「ユキ君は日本人で二番目なんだよ」
マミ姉の言った事にビックリした、ユキが凄いのは何となく分かってたけど、そんなにとは…
「ホントに?」
「そうだよぉ」
「なら3番目は無理だろ」
「大丈夫だよぉ、俺以降はヘッポコだからぁ」
「いや、でも日本でだろ、無理だって」
「チカでも3番目くらいは行ってるよぉ」
「バ〜カ、準優勝だよ」
コイツら、化け物だ、俺はこんな奴らを相手にサーフィン余裕とか言ってたんだ、馬鹿だな
「来年には最低でも、5本指に入ると思うよ」
「でも帰ったら、サーフィンを出来る環境がないし」
「そっかぁ、ココに住んじゃえばぁ」
「出来たら良いよな」
俺も住めるんならココに住みたい、でもまだガキだ、そんな行動力も勇気も悔しいけど持ち合わせてない。
そうか、俺、この島も、チカもユキもマミ姉も全部夏休みだけなんだよな、離れたくない