青の自信
チカと話をしながら、歩いてるとサーフボードがいっぱい並んだ、家が目の前にある
「もしかしてあれ?」
「そうだよ」
いかにもって感じだな
「ジョニー!!」
また叫んでるよ
「あのさぁ、それ絶対におかしいよな、マミ姉も嫌がってたじゃん」
「あはっ、バレた」
「いや、バレバレだから」
中から金髪の長い髪を後ろでオールバックにして結んだ、いかにもサーファーっぽいおっさんが出てきた
「おう!チカちゃんじゃねぇか!ボード取りに来たのか!?ユキはもう海に出てるぞ!」
声デカっ!しかもかなり豪快な喋り方、ユキとは真逆だ
「そうだよ。カイ、これがジョニー」
「あ、どうもはじめまして、四色海です」
「ジョニー、コイツが東京でアタシを助けてくれた人」
「そうか!お前がチカちゃんを助けてくれたのか!礼を言う!でもチカちゃん!良い男ゲットしたな!」
「変なこと言うなよ、ジョニー!」
ジョニーの勢いについていけない、しかも耳がキンキンする
「カイ!」
「はい!?」
思わずピンッと、背筋を伸ばした、そりゃこの声のボリュームで呼ばれたら、当然でしょ
「チカちゃんを頼んだぞ、あの子あぁ見えて弱いから、誰かが守ってやらねぇと」
肩に腕を掛けて、耳元で小声でチカに聞こえないように、言ってきた
「女を守るのが男の当然の義務ですから」
「ブハッ!気に入った!カイ!お前は最高の男だ!これやるよ!」
耳元で大声張り上げないでくれよ、鼓膜が破けるだろ
「じ、ジョニー!そんな大事なものあげて良いのかよ!?」
ジョニーが持ってきたのは一枚のサーフボードだった、チカは異様に驚いてたけど、俺にはその理由がサッパリ分からない、沢山あるボードの内の一枚だろ
「あれ、何かスゴいの?」
「これはな、儂がハワイの大会で優勝した時の副賞だ!使わないからカイにやる!」
まだそのスゴさの実感が、まったく湧かない
「ふ〜ん」
「ふ〜ん、じゃねぇよ!これは日本人で持ってるのは、ジョニーだけなんだぞ!」
「どういう意味?」
「日本人で、この世界大会で優勝したのはジョニーだけなんだよ、しかも3連覇で前代未聞の大記録まで作ったんだぞ」
……
「はぁ!?いや、そんなもの受け取れないですよ!」
「良いんだよ!あと一枚あるし!一人で何枚もいらないだろ!?それに一目見たときからお前に才能を感じてたんだ!」
「いやでも俺サーフィンやったことないですから」
「ならユキに教えてもらえ!あいつはこの島で儂の次に上手いからな!」
へぇ〜、ユキってすごいんだ、でも島って言っても狭いし、期待しなくてもいいだろ
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「おう!持ってけ持ってけ!」
「あの、一つ聞きたい事があるんですけど」
「何だ!?」
「俺が一枚、ジョニーが一枚、後一枚はどこにあるんですか?」
「ユキの奴が使ってる!」
「へぇ〜、ユキが」
自惚れじゃ無いけど、俺は出来ないスポーツはない、大体最近のスポーツは簡単過ぎてつまんない、サーフィンはやったこと無いけど、波に乗って上に立つだけなら一発でいけるだろ
「ユキは無理だと思うけど、この島で3番目くらいになってくれれば、儂の見る目も確かなんだか!ま、とりあえず頑張れや!」
俺は慣れない手付きでボードを持って、チカと海に向かった。
内心、ジョニーには勝てないけど、ユキには勝てるそういう出処の分からない自信があった、
その自信が砂上の如く崩れ、俺のプライドごと消し去ってしまうとも知らずに……