【ケメ子第9話】勝負服はアフロ 嵐を呼ぶ ビューティー 計画
【ケメ子:第9話】勝負服はアフロ? 嵐を呼ぶビューティー計画
2020年代半ば。東京。
新宿歌舞伎町でミラーボールを回し、若造たちを「ババア最高!」と心酔させたケメ子は、今、アトリエで戦慄していた。
「……嘘でしょ? 鏡が割れてるんじゃないの?」
手元には、地元で開催される「57歳の同窓会」の案内状。
彼女が恐れているのは、老いではない。**「あの頃の仲間たちに、今の私が『普通のおばさん』だと思われること」**だ。それだけは、クリエイターとしてのプライドが、そして1982年のアフロ魂が許さない。
「いい? 最終決戦よ。ターゲットは地元の市民会館! 私はあいつらに『ケメ子は時空を超えた』と言わせなきゃいけないの!」
彼女の「同窓会必勝プロジェクト」が始まった。
まず着手したのは、衣装。
「令和のモード」と「昭和のディスコ」を融合させた、金糸銀糸がのたうつ特注のボディコンスーツ(特注:お腹周りには最新の形状記憶合金入り)。さらに、第8話で味をしめた「シルバーのアフロ・ウィッグ」をさらに巨大化させ、もはや歩くミラーボールと化した。
「ケメ子さん、それ……会場の入り口を通れますか?」
怯えるアシスタントを無視し、彼女は美顔器を顔面に4台同時に当てながら叫ぶ。
「入り口が狭いなら、私が建物をリノベーションして広げてやるわよ!」
そんな中、彼女のスマホに一件の通知が届く。
差出人は、例の「サクサク男子」の姉……ではなく、なんと**「あのサクサク本人」**からの謎のDMだった。
『サクサク。ケメ子、同窓会にモンスターボール持ってくるの忘れないでね。サクサク』
「……誰が妖怪よ! そもそもあんた、同級生じゃないでしょ!」
スマホを投げ飛ばしつつも、ケメ子の心は躍っていた。
きよぴこ、やおた、ちく……。あのバカ共は、一体どんなツラで現れるのか。
ケメ子は、特大のサングラスをかけ、荷造りを始めた。
トランクの中身は、9割が予備のウィッグと、57歳の大人の余裕を演出するための高級シャンパン(自作ラベル:『1982年の涙』)。
「待ってなさい、地元! 嵐を連れて帰ってあげるわ!」




