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【間話】2年 B 組金ちく先生

【間話】2年B組金ちく先生 〜最狂の転校生〜

 1982年。市内でも「荒らしてないのは校門の表札くらい」と言われるほど不良がひしめく中学校。

 2年B組の担任、亀頭先生が、あまりのクラスの荒れっぷりに胃に穴が開いて入院。代わって教壇に立ったのは、長髪にヨレたジャケットがトレードマークの金ちく先生だ。

「えー、今日から担任になる金ちくだ。いいかお前ら、俺は『人』という字が支え合ってるなんて綺麗事は言わねえ。柱一本、釘一本がしっかりしてなきゃ家は建たねえんだ。お前らも腐った釘になんじゃねえぞ」

 教室内には、金ちくの熱い説教を鼻で笑う空気が充満していた。

 窓際で、学ランの下に真っ赤なTシャツを覗かせ、威圧感を放っているのは番長のきよぴこ。

「ヘッ、熱血先生かよ。金ちく、俺たちのクラスを甘く見ないほうがいいぜ」

 その隣で、ガムを噛みながら足を机に乗せているのが女番長のケメ子だ。

「ちょっとアンタ、そのジャケット、寸法合ってないんじゃない? 直してあげようか、ハサミでさ」

 金ちくは二人を睨みつけ、教壇を拳で叩いた。

「静かにしろ! ……今日は転校生を紹介する。新屋二中で数々の問題を起こし、ここへ飛ばされてきた男だ。入ってこい、やおた!」

 教室の扉が、壊れそうな勢いでガラガラと開く。

 入ってきたやおたの姿に、教室中が凍りついた。鋭い眼光、返り血(に見える赤い塗料)がついたままの袖口、そして何より、人を人とも思わないような冷徹なオーラ。

 きよぴことケメ子も、これまでの転校生とは違う「本物のヤバさ」を察知し、敵対的な視線を向ける。

「やおた……だ。……文句あるか」

 低い声が教室に響く。金ちくは咳払いを一つして言った。

「……おし。やおた、一番後ろの空いてる席に座れ」

 やおたがゆっくりと通路を歩き出す。クラス全員が固唾を飲んで見守る中、番長のきよぴこがニヤリと笑い、わざと足を通路に突き出した。

 やおたが、派手に地面に転がる。

「アハハハ! 転校生、足元がお留守だぜ!」

 きよぴこの笑い声が静寂を破った。

 ……が、その瞬間、やおたのスイッチが入った。

 倒れた体勢のまま、隣の席の椅子を掴むと、それをきよぴこの顔面めがけて弾丸のように投げ飛ばしたのだ!

「ガシャーン!!」

 椅子が黒板に当たり、粉々になる。

「あああああ! やってやんぞコラァ!!」

 やおたは雄叫びを上げながら立ち上がると、今度は近くの机を軽々と持ち上げ、教室の窓ガラスに向かって豪快に放り投げた。

「おい、やおた! 止めろ! 初日から何してんだ!」

 金ちく先生が叫び、飛びかかろうとするが、やおたの暴走は止まらない。椅子、カバン、教卓の上にあるものすべてが宙を舞い、2年B組は瞬く間に地獄絵図と化した。続く

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