表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/50

煩悩のバブルとエロ変換の落とし穴


きよぴこのその後・第1話:煩悩のバブルと「エロ変換」の落とし穴

1980年代後半。かつて「エロ変換術」でテストを乗り切ろうとしたきよぴこは、地元の愛知を離れ、大阪の三流大学に通っていた。

周囲に、冷静にツッコミを入れてくれる「ちく」も、物理的に投げ飛ばしてくる「ケメ子」もいない。きよぴこは、ブレーキの壊れたダンプカーのように、大阪の街を暴走していた。

「大阪はいい。街全体が『笑い』という名のエロに満ちている……!」

ダブルの肩パッドが尖ったスーツに身を包み、前髪をトサカのように立てたきよぴこは、心斎橋のカフェバーにいた。

当時のきよぴこの目標は、女子大生の「アッシー君(車で送迎する係)」になることだった。しかし、彼が持っているのは中古の原付。しかも、なぜかフロントに「カッパのステッカー」が貼ってある代物だ。

「ねぇ、君。君の着ているボディコンの面積を、エロ単語に変換して脳内保存してもいいかな?」

声をかけた相手は、派手なソバージュヘアの女性だった。当然、返ってきたのは熱いビンタ……ではなく、大阪ならではの鋭いツッコミだった。

「あんた、頭沸いてんの? そのトサカ、むしり取って焼き鳥にしたろか!」

その瞬間、きよぴこの脳内に、中学時代のあの光景がフラッシュバックした。

リレーのゴール裏で、ちくにスカートをめくられ、般若のような形相で迫ってきたケメ子の姿だ。

「……これだ。この殺気、懐かしい……」

きよぴこは、冷たくあしらわれることに快感を覚えるという、中学時代から一歩も進歩していない自分を再確認した。

その後、きよぴこは調子に乗って、バブルの象徴であるディスコへと繰り出した。

お立ち台で踊る女性たちを見ながら、彼は必死に「エロ変換暗記術」をアップデートしようとしたが、周囲にいるのは札束をチラつかせる本物のバブル紳士たち。

原付の鍵を指に回して踊るきよぴこは、あまりにも惨めだった。

「ちく……俺、今ならわかるぜ。バブルっていうのはさ、やおたが言ってた『ツチノコ』と同じなんだ。みんな追いかけてるけど、実体なんてどこにもねえんだよ……」

一人でカクテルを啜りながら、きよぴこはポツリと呟いた。

遠く離れた場所で、あいつらも今、このバカげた時代の風に吹かれているんだろうか。

帰り道。きよぴこは原付に跨り、御堂筋を爆走した。

ふと見上げたビルの屋上に、青いネオンが光っている。

「あおちゃん……あんたなら、このバブルの空に何を放つんだ?」

きよぴこは、誰もいない夜道で「サクサクサクサク!」と意味不明な叫び声を上げながら、トサカヘアを風に激しくなびかせ、安アパートへと帰っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ちく先生、面白すぎて仕事が手につかないんですけど、どうしてくれるんですか(笑 それぞれがそれぞれの場所で、また輝き出すんですね しかし、サクサク筆が進みますね ブラボー! やだぁ ええっ …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ