雪の下の春
夢を追うことは、ときに孤独で、怖くて、言葉にならないほど不安だ。
けれど、それでもなお「好き」を信じ続ける者だけが、春の訪れに気づくのかもしれない。
この物語は、ひとりの青年が、誰にも見えない場所で抱え続けた夢を、そっと音に乗せて世界に向けて解き放つまでの、小さな軌跡。
比べず、急がず、自分だけのリズムで進んだ先に、確かに光が差していた。
大学を中退した青年・新堂遥斗は、実家の一室で音楽を作り続けていた。
周囲からは「夢ばかり見ていないで働け」と言われる日々。友人は社会人になり、自分だけが取り残されているような焦燥感に、心が押し潰されそうだった。
「言葉にならない思いが増えるほど、なぜかメロディが浮かぶんだ…」
昼夜逆転の生活。部屋の中だけが、自分の世界だった。
でも、それは逃げじゃなかった。
その孤独な時間が、彼にとって“未来へ向かう静かな助走”だった。
ある日、ネットで見つけたインディーズ音楽フェスの応募要項。
完成したばかりの楽曲「Kagayaku Yume」を、躊躇いながら送信ボタンに指を伸ばした。
それから数週間。
何の音沙汰もないまま、冬が深まっていった。
白い雪が町を覆う日、遥斗は散歩の途中で、凍った地面から小さく芽を出す草花を見つけた。
その瞬間、スマホが震える。
「最終審査に進出が決まりました。あなたの音楽には、人を動かす力があります。」
胸の奥で、音楽がまた鳴り始めた。
「雪の下で、花は準備をしてたんだ」
焦らず、比べず、自分の歩幅で。
遥斗は、ゆっくりと歩き出した。
“夢”は、誰かに認められて初めて現実になると思っていた。
でも、そうじゃない。
たとえ誰にも届かなくても、信じ続けたその時間こそが、もう始まりだった。
遥斗の物語は、きっと誰かの現実でもある。
心の中にある小さな希望が、雪の下で息をしているのだと、気づけたあなたももう、春を迎える準備ができている。
※関連動画になります。良かったらご視聴頂けましたら幸いてせす。
https://youtube.com/shorts/ivUTRiqsZhA?feature=share




