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【改訂版】ギャンブル中毒者が挑む現代ダンジョン配信物【リメイク】  作者: パラレル・ゲーマー
E級編

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30/36

第30話 混沌の血脈、新たなる力

 神崎隼人の口元に、最高の不敵な笑みが浮かんだ。


「E級…? ウォーミングアップにはちょうどいい」


 そのあまりにも挑発的な一言。


 それは一万を超える彼のショーの観客たちと、そして目の前で彼を殺さんと憎悪のオーラを放つ二体の強力なモンスターへと同時に向けられた、開戦の狼煙だった。


「シャアアアアアッ!」


 先に動いたのは巨大蜘蛛ジャイアント・スパイダーだった。先ほどの理不尽なカウンター攻撃に、その少ない知能は恐怖と怒りで混乱している。ただ本能のままに、その鋭い八本の脚で床を蹴り、弾丸のような速度で隼人へと再び襲いかかってきた。


 同時に、気絶から回復したホブゴブリンもまた、地響きのような雄叫びを上げ、その巨大な鉄の棍棒を力任せに振りかぶる。


 前後からの挟み撃ち。

 速度の蜘蛛と、パワーのホブゴブリン。


 E級ダンジョンが誇る二体のエリートモンスターによる、完璧な必殺のコンビネーション。


 普通の探索者であれば、その絶望的な圧力の前に、なすすべもなく肉塊へと変えられていただろう。


 だが隼人は、もはや普通の探索者ではなかった。


 彼の心は不思議なほど静かに、そしてどこまでも冷徹に凪いでいた。


 彼のギャンブラーとしての「眼」は、二体のモンスターの全ての動きを完璧に捉えていた。


 蜘蛛の踏み込む足の角度。

 ホブゴブリンの棍棒を振りかぶる肩の筋肉の収縮。


 それら全てが、彼にはまるでスローモーションのように見えていた。


 彼はあえて動かない。

 ギリギリまで敵を引きつける。


 そして、蜘蛛の毒牙が自らの喉元を捉えるそのコンマ数秒手前。


 彼は動いた。


 それは、芸術的なまでの最小限の動き。


 彼はその場から、一歩だけ横にずれる。


 それだけで蜘蛛の突進は空しく空を切り、その勢いのまま、隼人のすぐそばを通り過ぎていく。


 そしてその蜘蛛がいた、まさにその場所に。


 ホブゴブリンが振り下ろした渾身の鉄の棍棒が、叩きつけられた。


 ゴッッッ!!! という凄まじい轟音。


「シャッ!?」


 味方の誤爆を受けた巨大蜘蛛が、困惑の声を上げる。


 隼人は、その千載一遇の好機を見逃さなかった。


 敵の力を利用し、敵を討つ。


 それこそが、ギャンブルの、そして戦いの極意。


「――お前の相手は俺だろ?」


 彼は体勢を崩した巨大蜘蛛の無防備な側面へと、滑り込むように移動すると、そこに流れるような剣戟を叩き込んだ。


 彼が昨夜構築したばかりの新たな主力技。


【通常技】無限斬撃インフィニット・スラッシュ


 シュイン、シュイン、シュインッ!


 彼の長剣が残像を描く。


 一撃、二撃、三撃。


 その一振り一振りが、的確に蜘蛛の脚の関節部分を捉え、その硬い外殻を切り裂いていく。


 そして斬りつけるたびに、蜘蛛の傷口から青白い魔力の光が隼人の体へと吸収されていく。彼のMPバーは、スキルを連発しているにもかかわらず、常に満タンの状態を維持し続けていた。


「シャアアアアアアッ!」


 巨大蜘蛛は、そのあまりにも一方的な終わらない連撃に、苦痛の絶叫を上げる。


 だが時すでに遅し。


 隼人の最後の一撃が、その頭部を正確に貫いた。


 巨大な蜘蛛の体は、ひときわ強い光を放ちながら、その存在を完全に消滅させた。


「さてと」


 隼人は振り返る。


 そこには、自らの一撃が味方を屠ったという現実に呆然と立ち尽くす、ホブゴブリンの姿があった。


 もはやそこに、指揮官としての威厳はない。


 ただ巨大なだけの的。


一対一サシなら、お前はもうただのカカシなんだよ」


 隼人は冷たく言い放った。


 ホブゴブリンが怒りの雄叫びを上げ、鉄の棍棒を振り回す。


 だがその大振りで単調な攻撃は、もはや隼人には当たる気配すらない。


 ゴウッ! と風を切る棍棒の一撃が床を砕き、その破片が隼人の頬を掠める。


(…掠っただけでこの威力か…!)


 圧倒的なパワーの差を実感しながらも、彼は冷静だった。


 彼はその全ての攻撃を紙一重で見切り、まるで戯れるかのように、その巨体の周囲を舞い踊る。


 そしてその隙だらけの体に、的確に、そして容赦なく、無限の斬撃を叩き込んでいく。


 もはやそれは戦闘ではなかった。


 ただ極限の集中力を強いられる紙一重の蹂躙。

 ただ淡々とこなされる「作業」。


 やがてホブゴブリンの巨体もまた、夥しい数の斬撃を受け、その生命活動を停止させ、満足げな光の粒子となって消えていった。


 しんと。


 あれほど喧騒と狂気に満ちていた巨大な広間に、絶対的な静寂が戻ってきた。


 後に残されたのは、夥しい数の光の粒子がキラキラと舞い散る幻想的な光景と、そしてその中心で静かに剣を納める、一人の勝利者の姿だけだった。


 隼人は、ふぅと一つ息を吐いた。


 さすがにE級の軍勢と、エリートモンスター二体との連戦は骨が折れた。


 だが彼のHPもMPも、ほとんど減ってはいない。


 新たに構築したスキルコンボとフラスコによる、完璧なリソース管理がそれを可能にしていた。


 彼はARカメラの向こうで熱狂し言葉を失っている一万人の観客たちに、語りかける。


「さてと。後片付けの時間だな」


 彼は広間に散らばった無数のドロップアイテムを、一つまた一つと拾い集めていく。


 ほとんどは、ゴブリン兵たちが落とした換金価値のほとんどないガラクタばかりだ。


 だが、その中に時折、魔石が混じっている。


 彼はそれらを手早く鑑定していく。


「雑魚の魔石が十数個。ホブゴブリンと蜘蛛の魔石が一つずつか」


 彼はその場でARシステムを使い、それらの市場価格を計算する。


 表示された金額。


『推定合計価格: ¥101,500』


「…今日の時給は悪くない」


 彼がそう呟いた瞬間。


 コメント欄が再び爆発した。


 視聴者A: 時給10万wwwwww

 視聴者B: 俺のバイトの10日分なんだが…

 視聴者C: E級夢がありすぎる…!


 その金銭的な成功に沸き立つコメント欄。


 だが隼人の目は、もはやその数字には向いていなかった。


 彼の視線は、ホブゴブリンが消え去ったその瓦礫の山の中心で、ひときわ強い輝きを放つ一つのアイテムに釘付けになっていた。


 それは、魔石が放つ紫色の光ではない。


 ユニークアイテムが放つ、橙色の光だ。


 視聴者D: おい…!光ってるぞ!


 隼人の心臓が、ドクンと大きく高鳴った。


 今日の最高の「配当」は現金ではなかった。


 この次なる奇跡への挑戦権。


 それこそが、彼にとっての最高の報酬だった。


 それは黒く燻された銀の指輪だった。


 何の装飾もないシンプルなフォルム。だがその指輪の表面には、まるで闇そのものが脈打っているかのように、ごく微かなしかし確かな紫色の魔力のオーラが渦巻いていた。


 隼人がそれを手に取った瞬間、ARシステムがその詳細な性能を表示する。


 ====================================

 アイテム名: 混沌の血脈ケイオス・ブラッドライン

 種別: 指輪

 レアリティ: ユニーク

 装備レベル: 5

 効果:

 攻撃に15~30の混沌ダメージを追加する。

 毎秒15のHPが自動で回復する。

 フレーバーテキスト:

 傷は意味をなさない。

 我が血流に宿る古の混沌がその全てを癒やしそして喰らう。

 この身に刻まれる全ての痛みは

 次なる破壊へのただの糧となるのだから。

 ====================================


『攻撃に15~30の混沌ダメージを追加する』


 混沌ダメージ。カオス属性。


 それは、火・氷・雷といった主要な元素とは全く違う特殊な属性。物理防御も元素耐性も通用しない、防御不能のダメージ属性だと、彼はSeekerNetのどこかの記事で読んだことがあった。


 彼の物理攻撃に、この防御不能の追加ダメージが乗る。


 それは、彼の火力を純粋に、そして確実に底上げしてくれることを意味していた。


 そしてもう一つの効果。


『毎秒15のHPが自動で回復する』


 毎秒15。


 その数字の持つ意味を、彼は瞬時に理解した。


 彼の現在の最大HPは、装備によって110を超えている。


 1分間戦闘を続ければ、900ものHPが自動で回復する計算だ。


 それは、低級のライフフラスコを一本、常に飲み続けているのとほぼ同義。


 戦闘中の安定感が劇的に向上する。


 攻撃力アップとHP自動回復。


 攻撃と防御、その二つを同時に高いレベルで実現する、二段構えの指輪。


「…なるほどな。悪くない」


 彼は、そのシンプルながらも極めて強力な効果に、満足げに頷いた。


 その瞬間、彼の配信のコメント欄が再び活気づく。


 先ほどの神の御業のようなクラフトへの狂乱とは違う。

 もっと冷静で、しかし確かな熱意を持ったベテラン探索者たちの声だった。


 ハクスラ廃人: おいおいおいおい!混沌の血脈じゃねえか!これも有名なユニークだぞ!

 元ギルドマン@戦士一筋: うむ。これも決して超絶レアというわけではない。市場でも時々見かける品だ。だがその有用性は折り紙付き。特にJOKERのようなライフを重視した近接ビルドにとっては、最高の相棒となる。

 ベテランシーカ―: そうですね。混沌ダメージは物理耐性が高い重装甲の敵や、エナジーシールドを持つ魔術師タイプの敵に対して絶大な効果を発揮します。あなたの攻撃の幅が、これで大きく広がりますよ。

 ハクスラ廃人: そして何よりヤバいのがそのリジェネ能力だ!毎秒15回復は、このレベル帯では破格中の破格!戦闘中にフラスコを飲むあの致命的な隙を大幅に減らすことができる。まさに攻防一体の完成されたデザインだ。

 元ギルドマン@戦士一筋: その通りだ。その価値は珍しさよりも「需要」が支えている。おそらくこれも10万円は下らないだろう。


 十万円。


 またしても彼の目の前に現れた、現実的なしかしあまりにも大きな金額。


 だが隼人は、今度はそれを売る気にはならなかった。


 この指輪は、今の彼にとって金銭的な価値以上に、「戦略的な価値」を持っていた。


「…決めた」


 隼人は短く呟いた。


 そして彼は、自らの右手の指にはめられていた古びた指輪を外した。


 アメ横のガラクタ市で手に入れた【氷結した指輪(劣化版)】。氷耐性をわずか4%だけ上げてくれる、彼の最初の冒険の仲間。


「…お前には世話になったな」


 彼はその小さな指輪に一瞬だけ別れを告げると、それをインベントリの奥深くへとしまい込んだ。


 そして空いたその指に、新たに手に入れた黒銀の指輪…【混沌の血脈ケイオス・ブラッドライン】をはめた。


 その瞬間、彼の全身を、微かなしかし力強い生命のオーラが包み込んでいく。


 彼のHPバーの横に、緑色のプラスの数字がチカチカと点滅を始めた。


『+15 HP / sec』


 確かな回復の実感。


 そして、彼の右手に握られた長剣の刀身に、ごく微かな紫色の混沌のオーラが、渦巻くように纏わりついた。



## ステータス (無職ビルド)

- **レベル:** 5

- **クラス:** 無職レベル1

- **HP:** 140 / 140 `((基礎60 + 傷だらけの鉄兜+20 + 革のベルト+20 + 清純の元素+40)`

- **MP:** 50 / 50 `((基礎50)`

- **筋力 (Strength):** 10 `((基礎5 + ステ振り5)`

- **体力 (Constitution):** 10

- **敏捷 (Dexterity):** 12 `((基礎12)`

- **知性 (Intelligence):** 8`((基礎8)` 

- **幸運 (Luck):** ??

- **ステータスポイント:** 残り: 15

- **パッシブスキルポイント:** 残り: 0

- **HP自動回復:** 15 / 秒 `(混沌の血脈15)`

- **MP自動回復:** 1 / 秒 `(基礎1)`

- **物理ダメージ軽減:** 0%`()`

- **精度 (Accuracy):** +24`(俊敏12*2)`

- **物理ブロック率:** +0%

- **魔法ブロック率:** +0%

- **アーマー:** +0

- **回避力:** +0

- **移動速度:** +8% `(俊足の革靴8%)`

- **攻撃速度:** +15% `(万象の守り15%)`

- **チャージ上限値:**

- **持久力チャージ:** 3

- **狂乱チャージ:** 3

- **パワーチャージ:** 3

- **耐性値:**

- **火耐性:** 74% (上限75%) `(万象の守り25% + 清純の元素+5% +元素の盾+26% +火耐性ノード+18%)`

- **氷耐性:** 74% (上限75%) `(万象の守り25% + 清純の元素+5% +元素の盾+26% +氷耐性ノード+18%)`

- **雷耐性:** 74% (上限75%) `(万象の守り25% + 清純の元素+5% +元素の盾+26% +雷耐性ノード+18%)`

- **混沌耐性:** 0% `()`



### キーストーン (大型パッシブ)


### 中ノード (Notable Passives)


### 通常パッシブ (小ノード)

- **【物理攻撃力筋力ノード】筋力+5、物理ダメージが10%増加する**

- **【火耐性ノード】火耐性+18%**

- **【氷耐性ノード】氷耐性+18%**

- **【雷耐性ノード】雷耐性+18%**



## スキル

- **ユニークスキル:**

- **【複数人の人生マルチアカウント】:** 複数のビルドを保存・切り替え可能。莫大なコストがかかるため、「有用度1」の大ハズレスキルとされているが、JOKERの【運命の天秤】がその常識を覆す可能性を秘める。

- **【運命の天秤フェイト・スケール】:** クラフトなどの確率が絡む事象に介入し、奇跡的な結果を生み出す。JOKERの伝説の根幹をなすスキル。

- **カスタムスキル:**

- **【通常技】無限斬撃 (消費MP: 8):** MPを自己回復しながら、無限に攻撃を続けることができる主力技。マナ・リーチの効果により、実質的な消費はほぼない。

- **ジェム構成:** (ヘビーストライク + マナ・リーチ + 近接物理ダメージ増加 + 速度増加)

- **【必殺技】衝撃波の一撃 (消費MP: 50):** 大ダメージと気絶効果、範囲攻撃を兼ね備えた切り札。

- **ジェム構成:** (スマイト + 衝撃波 + 残虐 + 気絶)

- **【パリィ技】鉄壁の報復 (消費MP: 5):** 防御を回復と反撃に転化させるカウンター技。

- **ジェム構成:** (パリィ + ガード時にライフ回復 + リポスト + クールダウン短縮)


- **発動中のオーラ/バフ:**

- **【元素の盾 Lv.10】(MP予約: MPの50% = 元素の円環で0):** 『プレイヤーおよび近くの味方は火、氷、雷属性耐性を追加で26%獲得する』


## 装備品

- **武器:** 長剣(ノーマル)

- **盾:**

- **頭:** 傷だらけの鉄兜(マジック)

- 効果: HP +20

- **胴:** 焼け焦げた胸当て(マジック)

- 効果: 火耐性 +5%

- **手:** 【万象の守り】 (ユニーク)

- 効果: 攻撃速度+15%、全属性耐性+25%

- **足:** 俊足の革靴(マジック)

- 効果: 移動速度 +8%

- **首輪:** 清純の元素 (ユニーク)

- 効果: 全耐性 +5% 最大HP +40 このアイテムに、Lv10の【元素の盾】スキルが付与される。【元素の盾】: 周囲の味方の火、氷、雷属性耐性を+26%するオーラ。

- **指輪 (左):** 混沌の血脈 (ユニーク)

- 効果: 攻撃に、15~30の混沌ダメージを追加する。毎秒、15のHPが自動で回復する。

- **指輪 (右):** 元素の円環 (ユニーク)

- 効果: スキル【元素の盾】のMP予約コストを100%減少させる。

- **ベルト:** 革のベルト (マジック)

- 効果: HP +20


## フラスコ

- **スロット1:** ライフフラスコ (小)

- 効果: HPを回復する。

- **スロット2:** ライフフラスコ (小)

- 効果: HPを回復する。

- **スロット3:** マナフラスコ (小)

- 効果: MPを回復する。

- **スロット4:** 水銀のフラスコ

- 効果: 使用後4秒間、移動速度が40%上昇する。

- **スロット5:** 解呪のフラスコ

- 効果: 使用時、自身にかかっている呪い(デバフ)を解除する。

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