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学校最強のヤンキーは魔法少女のオレに恋してる。  作者: ゆあ


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13/15

12.

「できたー!」

 広瀬の末っ子の妹であるみきちゃんの誕生日前日。

 やっとみきちゃんのために、広瀬とコツコツ作り続けていた衣装が完成した。

 市販の変身キットだと生地が硬かったりするから、市販のTシャツを改造して作ってみた。

 スカートにも沢山のリボンとフリル、オーガンジーを使って、ふわふわに作ったから通常よりも豪華だ。

 黒のスパッツは持ってるのを使ってもらえれば大丈夫。

「うんうん、いい出来だと思う!みきちゃん喜んでくれるといいな~」

 出来上がった衣装を見て、満足気にうなずいていると、不意にギュッと抱きしめられた。

(うみ)ホントにサンキュー!」

 嬉しそうに笑う広瀬に、つい笑みが零れてしまう。


「なぁ、サニーにはまだ1番大切な小物があるんじゃね?」

「え?あっ!?ヤバっ!マジで忘れてた!えっ!?今から準備して間に合うのか?」

 焦り出す広瀬を見てクスッと笑う。

 オレはずっと気付いてたけど、あえて広瀬には指摘しなかったパーツがひとつだけある。

 プリティエンジェルのリーダーであるサニーは明るいピンク色の髪をツインテールにしているキャラだ。

 ツインテールには、トレードマークであるオレンジ色の大きなリボンを付けている。

 最初に広瀬がツインテールの存在を忘れていることに気付いた時、すぐに教えてやろうと思ったけど、思い直した。


 みきちゃんの髪は伸ばしているといっても、肩に着く程度だ。

 一応ツインテールはできると思うけど、トレードマークのリボンを付けてしまうと、せっかくのツインテールも隠れてしまう。

 せっかく広瀬がこんなに頑張って作ったんだから、みきちゃんにはとびっきりの笑顔を広瀬には見せてやってほしい。

 そんな理由で、オレは広瀬にも秘密でとあるものを用意してみた。

 サニーのトレードマークであるオレンジ色の大きなリボンが付いた髪留め。

 ウィッグを被るのは子どもにはむずかしいだろうから、ピンクの三つ編みとリボンをトレードマークのリボンに縫い付け、髪飾りを付けるだけでツインテールっぽく見えるようにしてみた。

「じゃじゃーん!オレからのみきちゃんへのプレゼント」

 こんな時に何言ってんだ?って表情を浮かべる広瀬に、カバンにこっそりと隠していた紙袋を取り出して渡す。

 明らかに不満そうな表情だった広瀬が、オレの渡した紙袋の中身を確認した瞬間、目を大きく見開き、何度もオレの顔と紙袋の中身を交互に見てくる。

「広瀬が頑張ってたから、オレもみきちゃんに喜んで欲しくて、色々考えてみた」

 ブイっとピースした手を広瀬に突き出すと、その手をガッと両手で握られる。

「……(うみ)、マジでサンキュー。ホント、お前って最高のマリリンだぜっ!」

 切れ長の目の端に涙を溜め、本当に嬉しそうに笑う広瀬。

 この笑顔を見たかったから、オレはサプライズでコレを用意したんだ。


 ほぼ毎日、広瀬の家に来て衣装づくりの手伝いをしてたから、いつの間にか苗字じゃなくて名前で呼んでくれるようになった。

 でも、オレの名前は『(うみ)』じゃない。

(うみ)』は、オレのコスプレネームで、マリリンの変身前の姿の名前だ。

 だから……本当のオレのことは、一度も呼んでもらえていない……


「広瀬、お疲れ様。あ~、これでオレもやっとコスイベ参加に復帰できる!」

 ぐぅーっと腕を天井に伸ばし、伸びをして広瀬から離れる。

 多分、もうここに来ることはないから、今日が最後になると思う。

 そう思うと、胸がギュッと締め付けられて、涙がこぼれ落ちそうになった。

「あぁ……悪かったな、色々付き合わせちまって……。でも、俺はお前と一緒にいるの楽しかったぜ?」

 ニッコリと笑みを向けてくる広瀬に、なんとか笑顔を作って向き直る。

「オレも……楽しかった。みきちゃん、喜んでくれるといいな」

「喜ぶに決まってる!俺だってこんなの貰ったら嬉しいからな!」

 出来上がった衣装を見て、何度も嬉しそうな声を上げる広瀬を見て、フッと笑みがあふれる。

 オレの仕事はここで終わり。

 持ってきていた荷物を片付け、コートを羽織って帰り支度を済ませる。


「じゃあ、な……」

 寂しいって気持ちに蓋をして、いつもと変わらない様子で広瀬の家を後にした。

 広瀬も、いつも通りの笑顔だったから、これで本当に最後なんだって実感が全然わかなかった。

 1ヶ月……。

 たった、1ヶ月だったけど、広瀬の色んな顔を見られた気がする。


 でも、元々オレと広瀬では、生きてる世界が違ったんだ。

 何かの間違いで、ほんの少しだけ一緒にいることができただけで……

 ホントに、ほんと……楽しかった、な……

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