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学校最強のヤンキーは魔法少女のオレに恋してる。  作者: ゆあ


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10/15

9.

 昨日は、結局あまり眠れなかった。

 別に衣装を作ってたり、アニメを見たりしてたからじゃない。

 いや、結局色々考えこんじゃって眠れないからって、【まじ☆プリ】の1話から見直してしまったんだけど……

 原因はそれじゃない。


 教室の机でうつ伏せになってボーっと黒板を眺める。

 まだ朝礼は始まっていないから、こんな状態でも怒られることはない。

 友だちが居たら話しかけられるんだろうけど、そこまで仲の良い相手なんてオレには居ないから、いつも通りっちゃいつも通りだ。

 当然、後ろの席のヤツはまだ来ていない。

 昨日、朝礼に出ていたこと自体が珍しいわけで、広瀬が遅刻魔なのは周知の事実だ。


「お、広瀬珍しく連チャンで来てるじゃん」

「は~、マジ珍しいな。雨降らすなよ~」

「え?雪降るなら明日にしてくれ!今日の放課後デートすっから」

 一部の男子生徒が騒いでいるのを聞いて、広瀬が来たのを察する。

 でも、オレはなぜか顔を上げること自体できなかった。

 今、アイツの顔を見たところでどんな顔をしろって言うんだよ……


「七瀬、はよ」

 うつ伏せになっているオレの頭をぽんっと優しく撫で、そのまま何事もなかったように後ろの席に着く広瀬。

 ただ頭をひと撫でされただけなのに、昨日と同じくらい心臓がドキドキする。

 今、絶対耳まで真っ赤になってる自覚がある。

 こんな状態で、顔なんて上げれるわけない。

「……ぉはよ」

 消え入りそうな声で、たった一言挨拶するのが精一杯だった。

 そんなオレを見て、広瀬がどんな顔をしていたのかなんてわからない。

 でも、前と違って広瀬はオレのことを見てくれている気がする。


「……なぁ、またうち来ねー?ちび共も会いたがってるから」

 授業中だっていうのに、誰にも聞こえないような小さな声で、話しかけてくる。

 時々、背中を突かれたり、消しゴムや小さな紙のゴミが机の上に飛んでくる。

 紙には『マリリンの話しようぜ』『もっと話したい』『今日も来ないか?』って、どこの小学生の女子なんだってことが書かれていた。


「小テストすっから回せ~。それ終わったら今日の授業は終わりだから、ちゃんとしろよー。オイ、広瀬、お前名前だけ書いて終わるなよ!」

 理科の担当教師が冗談交じりに声を掛けるも、広瀬は中指を立てて舌をべぇ~っと出すだけだった。

 広瀬 雄大という人間は、学校ではいつもこうだ。

 ヤンチャっぽいクラスメイトには人気で、ヤンキーのくせに教師とはそこそこ仲が良い。

 オレみたいな陰キャにとっては怖いだけの存在だったのに……


「なぁ、七瀬……今日も来いよ」

 誰にも聞こえないくらいの小声がオレの後ろから聞こえる。

「放課後、相談したいこともあっから」

 小テストを後ろに回した瞬間、手を握られボソッと耳元で囁かれる。

 慌てて手を引っ込めて広瀬を睨み付けるも、フッと余裕のある笑みを浮かべるだけでオレのことなんて怖がってもいない。

 アイツに触れられた部分が熱くて、さっきからドキドキが止まらない。

 10分間の小テストのはずなのに、頭の中は広瀬のことでいっぱいで、問題が何も入ってこない。


 全部、全部、広瀬のせいだ。

 広瀬のせいで、さっき覚えたばかりの授業の内容は一気に飛んでしまった。

 当然、小テストはボロボロで、先生にはお小言をもらうことになってしまった。

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