2【レオ聖騎士団・古城生存戦】
◆生存者内訳◆
魔法無し :3人
鑑定:1人
⇒対象を人狼かどうか2回まで判別できる。
◆人狼内訳◆
狼化 :1人
⇒12秒間、素早く、力強く動ける
◆ルール◆
生存者の勝利条件は生き残ること
各エリア内に存在するタスクをこなすと
・参加者は両手に魔法の紋章が刻印されている
・右手はスキル用の「ナイフのマーク」があり、「魔法の使用」または「キル」ができる
・左手には招集用の「ホルンのマーク」があり、「招集」や「投票」ができる
⇒円卓、または死体に使うことで、「会議」を開くことができる
⇒会議中は「投票」ができ、過半数の投票が得られれば「魔法処刑」することができる
『貴方の役職は、サバイバーです。所持魔法は【鑑定士】です』
……と、ゲームが始まる前に、一通りルールの説明がウインドウに表示された。
やることは人狼ゲームに似ている。
だが、行動できるという点が大きく異なる。インポスター探すやつのほうが近いかもしれない。
ルールが表示された後に、俺たちは顔を隠したまま円卓に集められる。
ひとりひとり、一蘭のラーメン屋みたいに個室になってカーテンまで下りているので、中の様子は分からない。
『個人発言の時間です。残り30秒』
さっと俺の前のカーテンが上がる。
「なあ、これって今は定番となりつつある異世界転生か? これは。んで、転生した先は人狼ゲームでした、ってやつか?」
……。
問いかけるも、返事がない。
幕が下りているから、他のやつらの顔も名前も分からない。
個人発言の時間だから、他は喋れないってことか?
「……ちっ、まあいい。人狼ゲームなら心得がある。まず俺は人狼じゃない。役職もない。『グレラン』はまだ飲めない。以上だ」
さっと俺の前に幕が下ろされる。
外の景色はうっすらと見えるが、反対側からは見えないようになってるんだろう。
俺の左隣にいたやつの幕が上がり、頭上に『2』と書かれた長髪の女子高生が顔を出す。
目が大きく、鼻が高くて、利発そうな子だった。
その子の頭の上に、まるで管理番号のように『2』と青い数字が浮かんでいる。
2「……わ、私も、状況がわかっていません。ピアノ教室の途中、ふと顔を上げたらここにいました。ど、どういうことですか。それに、今の、1番? の人が言ってることも、よくわかりません。役職とか、グレランとか、なんなんですか」
1番、それは俺のことだろう。
どうやら、俺の頭上には『1』が浮かんでいるらしい。
続いて、3番のカーテンが開く。
ビールっ腹でガタいのいい男が出てきた。
3「っあーっ!」
と、男は急に叫んだ。
3「んだよ。幕が下がってる間は音も通さねえのか。ずっと叫んでたのに。俺も状況が分かってねえ。人狼ゲームなら誰か吊る必要あるがどうする? ん?」
次、4番。
細いスーツの男。
4「急に大きな声出さないでくださいよ、びっくりした。ええと、人狼を吊るか、脱出経路を作ることが、私たちの勝利条件、ということですよね」
次、5番。
煙草を吸っている、目力のあるメイド服の女性。
5「こんなしょーもないゲームで死ぬなんざ、まっぴら御免だよ。百歩譲って可愛い女の子相手ならまだしも、おっさんに殺されてたまるか」
最後、6番。
紫色の眼鏡をかけた、ロングヘアーの美青年。
女性と見違えるほどに中性的。睫毛が嘘みたいに長くて、肌が白い。鼻筋がしっかりしていて、輪郭も細すぎず中肉中背。20代前半だろう。
ついつい、ほほう、とか、声を出しそうになるくらい、イケメンだ。
6「4番さんに半分同意。円卓の中央に0%と表示されている砂時計があるけど、多分これがタスク進歩だと思う。まずは脱出経路のタスクを進めて、進歩を見つつ吊る必要があるかどうか判断したほうがいい。多分、積極的に吊るゲームではない」
机の上の砂時計を注視すると、ゲームのウインドウみたいに『0%』と表示されていた。
6番の発言が終わる。
『全体会議に入ります。残り1分』