プロローグ
初見の方へ
この作品は私の投稿している作品の主人公の性別を変更し、その他諸々少しずついじった作品となっております。
なお、投稿していた作品は途中で終わっているのですが、この作品は最後まで突っ切ろうと思っているのでよろしくお願いします。
朝というのはとても憂鬱なものである。
起きるのしんどいというのと、これから特に楽しくもない一日が始まると考えたら...気分がどんよりしてくるからだ。
しかも昨日のニュースでは大寒波が来てるらしい。
この寒さで布団に出ろなんて命令された暁には人殺し!と言いたくなるものだ。
そのような気持ちは自分には痛いほど分かる。
だからといって...これは...無いでしょ!
私は今、全然目を覚まそうとしない自分に腹が立っていた。
まさかまさか、自分で自分のことをツッコむ日が来るとは思わなかったよ?
いくら会社に行きたくないからってそれはないじゃん!
おーい、私!
早く起きてくださいね!
電車に遅れたらあなたの責任なんですよ!
ていうかあなたが昨日やらかしたせいで1時寝5時起きなんですよ〜。
どう責任取ってくれるんですかね?
え?自分のせいだって?
お前が自分に責任転嫁したって?
ははは、その通りです。
まあ、あれもこれも明日提出のファイルを誤って消してしまったのが悪いんだと言えばそうだ。
でも!
ファイルを誤って消すぐらい疲れてたというのも事実だから!
もっとクソなの存在しているから!
はあ...(クソでかため息)、もう一回、やり直せたらな...。
まあ私にも色々あったんですよ!
そりゃもう涙がちょちょ切れるぐらい...。
あー!
思い出すだけで血管切れそう!
もう仕事とか放り出して自分語りしたい気分だわ!
私の話を聞けー!
え?そんな朝早くから出勤し無いといけないぐらい切羽詰まってんじゃないのって?
何故かこのバカ(自分)が全然起きないしいっしょ。
それじゃあ、私の愚痴を、聞いて下さい。
といっても私自身、正直な話これといって特に得意なことはなくて、平凡な道を歩いていたはずだった。
普通に大学卒業して就職してOLしながら婚活でもしようかな?なんて呑気なただの一般的な妄想を出来る時代もあったんですよ!
正直な話、だいぶほわ~っとした感じではあったね。
どうせこの後の人生適当にしていても生きていけるという謎の自信があったんですよ。
多分高校受験も大学受験もろくに勉強して無かった癖に落ちることもなかったといいますか、なんというか。
失敗をしたことがなかったんでしょうね。
まさしく、その油断こそが、私の人生を狂わせてしまったというか...。
無知は罪と言いますが、私は脳天気も罪だと思います。
と、今、脳天気でいていたら死ぬ私が昔の私に向かって言いたいです。
そんなことを私自身が言えるぐらい本当にヤバいと思う。
だって、この人まさかまさかの他の人達が三年の始め頃から準備し始めているのにも関わらず、一人だけ四年になったら本気だーすみたいな感じで就活舐めてたんだよ!
流石にバカでも就活はサボらんでしょ?
あー!これもあれも全部底抜けの脳天気が招いた災難だ!
サボってしまったらあら不思議、全然内定がもらえない。
あんときゃすっごくビビったね。
本当にニートになるかと思った。
そんで最後の最後で内定をもらえた会社の内容を見ずに入ったらまさかまさかのブラック。
気付いたときには既に遅し。
拘束時間が長すぎてフリーな時間は出来ず彼氏どころか飲み会や合コンにすら行けない。
ああ、思い出すだけで涙が。
今なら絶対後悔するから就活をしとけよ!と過去の自分に反省しろパンチを食らわせてやりたいのだが。
いや確かに動き出すのは遅かったけどまさかグレーとかじゃなくてこのご時世にブラックって、本当におかしいじゃん!
まあ責任転嫁をしても意味はない。
実際自分のせいだし。
ただ、あの会社のゴミさも問題だと思うんですよ!
あれについては完全にネタが尽きることは一生ないだろうと踏んでいる。
実際未だにネタを作り続けている。
一日五時間以上の残業は当たり前。
新入社員のときに定時で帰ろうとしたら、は?お前何でそんな時間に帰ろうとしているの?って顔で見られました。
そのまま帰ってみたら、次の日。
あら不思議。
仕事のメモがすっげー枚数自分の机の上に貼ってあった。
何でこんな量?とかばんを机の上にも置かずに困惑していた私に、追い打ちをかけるように、
「はい、これが昨日の分で、今から置くのが今日の仕事ね。
絶対に、今回の出勤中に終わらせてね。」
うわ~ってなったわ!
あの後休憩も返上して働く羽目になったのは、苦い思い出である。
その後も、何度か泊まり込みも経験はしたし、その癖給料は一般の平社員と同じ位。
しかもボロい会社だったので空調も効きにくいしたまーに虫も出てくるし。
今のクソみたいな仕事量はなあなあで生きていた学生の頃の自分に見せてやりたいものである。
まじで許さん!
グチグチ文句を言っていたら何でこんなに働かないといけないのか分かんなくなって来たわ!
そうだ!
朝起きたら思いっきり遅刻してやろう!
そうすれば今日はゆっくり過ごすことが出来るし。
このご時世転職すれば問題ないし!
そうと決まれば早く起きたいのだが、全然目を覚まそうとしない。
本当にお往生際の悪い奴だと思うんですけど〜?
いつまでも夢の中へいてても意味ないんだからさー。
夢の国じゃなくて現実で現実逃避して、ブラック企業からバックレて楽しい日々を過ごしましょ!
だからさー、起きてくんない?
全然目の前が白いまんまから変わらないんじゃ無いですか〜。
取り敢えず起きないと...あれ?
自分今白いのを見ていたから白いまんまって感想が出たんじゃないの?
完全に愚痴りまくったのが楽しかったので気付かなかったが、目はバリバリ見えていた。
目の前の光景が妙であることを除けば。
何ここ?
どこなんだよ!?
いや、まだ夢の中という可能性も...。
そう思い、 顔をペタペタ触るが、現実のように感覚がある。
ジャンプもいつもと変わらぬ感じで出来てしまう。
いや、こういう時はほっぺをつねって目を覚ますってよく言うから!
思いっきり自分の頬をつねれ!...痛い。
あれあれあれ?
目の前の状況を除けば普通の自分なのでは?
もしかしてっていうかもしかしなくても現実が見えてなかったのって私の方?
いやまあどっちも私だけどさ。
いやその目の前にある状況が一番意味がわからないんだよ!
だって、目の前にあるのは、一面ワケが分からないレベルで真っ白だった場所なんだもん!
まぶたは開いているはずなのに真っ白い場所しか無いから目がチカチカして気持ち悪い。
いつもの掛け布団とベッドは勿論存在しない。
くっそー!
出社前に入れるはずの枕元のお守りことエナドリ様はどこへ行ってしまったんだよ〜?
まじであれ無いと徹夜の作業間に合わねえんだから!
今日は久しぶりに会社のためじゃなくて自分のために徹夜しようと思ってたのに!
弁償じゃ弁償!
誰もいないのに、誰に弁償する気なのかは分からないが。
でも、よりによって会社をサボると決意した日にこんな場所に来るとは思わんじゃん!
でも、そもそもなんだけど、なんでこの場所にいるんだろう?
なんかすればここから出られるのかな?
こういうときは助けを呼んだら誰か来てくれるってパターンじゃないの?
という訳で、大声で叫んでみましょう。
ヘルプ・ミー!
うん。
声になってるけど声になっていない感じがするし、神様みたいな人も全然出てこないんですけど。
これどうなってるんですか?
おーい。
せめてここでどうすればいいか教えて欲しいんですけど?
誰か!本当に頼むって!
私に救いの手を〜!
もしかして、これ死んじゃったパターンなのでは?
そういえば完全に意識していなかったけど、死んで助けを呼んだら神様が出てくるって思考って完全に死語の世界じゃん。
まあ、自慢じゃないけど過労死ライン超えまくりの三十連勤だった訳だったし、なんか前日体めちゃくちゃだるかったし。
ていうか入社一年目から調子がいい日がひとつもなかったんだよね〜。
あ、それが原因か。
休みたかったけどこういう時に休みたいって言ったら言い争いになった挙げ句逆に残業増やされたりするから全然休み無かったし。
あんな会社に勤めてるとかほんと終わってるよな〜。
まあバックレるって心に決めたし...って、ん?
待てよ、死んだってことはもうあの真っ黒企業に勤めなくても済むってことか!?
なんかめちゃくちゃテンション上がってきたわ!
どの道バックレるって決めていたけど途中で折れてまたあの会社の残業デスマーチの中に組み込まれるような気がしていたけれど、もうそれも受けなくていいんだ!
最高じゃん!
ガチで生きてるって感じがするぜ!
ん?現実が見えている方のもう一人の私?
どうしたの?
えっ、この後どうなるのって?
そりゃ死んだんだから...そこが問題?
死んだらもしかしたら消えるかもしれないってこと!?
いやいやいや、今じゃあ私は何なの?
まさか、ね?
でも何で体が少し透けてるような気がするんですかね?
やばいやばい!
休みがもらえて嬉しいとか浮かれてる場合じゃなかったじゃん!?
そもそも存在が消えてしまったら元も子もないってことに今更気付いてしまった。
うっわあの残業のせいで死んだじゃん...。
最後ぐらいあのブラック企業を恨まずに逝かせてくれよ...。
あ、もう死んでるから大丈夫か。
いやいやいやだいじょばないけど?
めちゃくちゃピンチなんですけど?
まずいまずいまずい!
なんとか解決策を!
って何も無いか〜。
だって興奮してだいぶの距離走ったけど全然風景変わらなかったし...あれ、詰みじゃね?
どうやっても無駄じゃねえか!
こんな状況を作ったブラック企業は万死に値するべし!
でも、この機会が終わればもしかしたらこれが最後の感覚になるかもしれないってことか。
ということはなんか走馬灯みたいな奴が最後に流れてくるはず...。
最後に楽しい思い出で締めくくりたいから楽しかった思い出プリーズ!
...って思ってたんですけど、なんで平凡な日ばっか思い出すの?
しょうもない日々ばっか流さないでよ!
って走馬灯だから平凡な日を思い出すのか...ってそんな冷静になってる場合じゃなかった。
こんな時まで嫌がらせしてくるとは神様はいないわな。
神は死んでいる...んなアホなこと言っている場合ですかね?
しかしこう見ると何も無かったのか...私の人生。
私が死んだことで悲しむ人がいるかも怪しいか。
後世に何も残すものがあれば...あっ、死んだことであのブラック企業は潰れるか。
いやそんなのは残した内に入らないだろ!
実際消えただけだし。
でも、他にも死ぬまでにしてみたいことは沢山あったんだけど、それが何も叶わないまま死ぬのは辛いもんだ!
だからどうしようもないやるせなさに駆られると思っていたんだけどね。
なんだけど、不思議となんにも悔しさは残らないんもんなんだ。
いやブラ...以下略には恨みは募らすけど。
所詮人生はこんなものだろうと諦めをつけれるぐらいの理不尽にあってしまったのかな?
それがなんだかんだ言って一番悔しくてやるせなかったのかもしれない。
まあ良いが。
それにしてもいやな走馬灯を見せてくるもんである。
もしかしたら来世ではもっと自分の将来に向き合って頑張れよというお達しなのかもしれない。
まあ、もしかしたら全然関係なくてこのまま消える可能性もあるけど。
でも、少なくとも真剣に普通の道を歩むために勉強に打ち込んでいれば、少なくとも社会の歯車となって生きることはなかったのかもしれない。
だとしても、そんなことを悔やもうがもう遅いか...。
いやしんみりしてる場合か!?
悔しいとかやるせないとかあるかもしれないが、それもこれも消えてしまうのかもしれないことに比べたら屁でもないじゃん!
消えたら自分の意識もないから生物でもないじゃん!
それは解せないって!
そう考えてみると、不意に涙が出てきた。
はあ、何泣いてんだろ。
もうこうなりゃやけだ!
神様。助けて下さい!
苦しい時の神頼みというのだが、これはもはや瀬戸際の消えかけギリギリの神頼みであろう。
そんな願いを嘲笑うかのように今まゆっくり進行していた自分の体の消え方が早くなった。
いや、私の神頼みは!?
なんかせめてもうちょっと余韻に浸らせてくれても良かったじゃん。
もう何か考えるだけ無駄なのだろうか。
でも...。
諦めながら薄くなる体と途切れかける意識の中でもう一度だけ願う。
「お願いします。今度は真面目に生きてみせるんで!」
そう、誰かに願った思いが伝わったのかは定かではない。
ただ、この後、疲れていたり睡魔に襲われたわけでもないのに意識が落ちた。
何が起きてどうなったかは私には到底理解出来ない。
部屋は、また静かになった。
男混ざりが激しい女性になっていますが、正直な話女主人公の話って書いたこと無かったしあんまり悪役令嬢とかの女主人公の転生系はあっても男主人公がやってそうな系はあんまり見たことが無かったのでだいぶ試行錯誤です。
喋り方が女の人のそれっぽいような気がするな?と思って始めたというのが理由の一つなので。
そこのところ気を付けてもらったら嬉しいです。