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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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月の塔


ソルジュとレオンハルト様と一緒にガセボに足を踏み入れると……。


あっ……。


足元に描かれている魔方陣。それが、青い光を放っていた。あまりの美しさに私は息をのんだ。


前にも見たことがあるけれど、よく考えるとまじまじとしっかりと見たことはなかった。


神秘的で調和のとれた文字?と模様の羅列。


「これを起動させるには、『月を照らす道を開け』……。」


ソルジュが教えてくれると同時に、魔方陣が放っていた青い光がパーッ!と上に伸びて弾けた。


え?


一瞬、眩しさに目を閉じてしまう。

目を開くと……ガセボから見える景色が変わっていた。


「……って唱えるんだよ。と、言っている傍から魔方陣が反応したみたいだね。」


ソルジュが肩を竦めた。


「学園の転移門はかなり簡略化されているようだな。まあ、生徒が使うのだからこの程度で良いのだろう。」


レオンハルト様がソルジュの言葉に頷きながら言う。


「それに、呪文も月の塔がある別館に固定されているから間違いも起こらなそうだ。さすが王立ミカエリス学園といったところか。」


ソルジュとレオンハルト様が、どうやらこの転移門について意見を述べているらしいけれど、魔法を知らない私には何が何だかさっぱりでキョトンとしてしまう。


「まあ、こんな感じに使うんだよ。此方へ来るときはガセボの魔方陣に入ってさっきの呪文を唱える。逆に戻るときは『帰路を照らせ』……。」


ふえっ!


再び青い光が弾けた。


「ごめん。呪文に魔方陣が反応した。」


えええ!


見渡せばさっきの場所に戻っていた。


「軽いな。ここの魔方陣は……。」


レオンハルト様が呆れたように言った。


「本当に。魔力関係なく使えるようにできているからだと思うけど軽すぎるね。ティアーナ、そう言うわけで、さっきの呪文を唱えると魔方陣の中にいる人が全員移動するんだ。」


ソルジュが丁寧に教えててくれる。


「それじゃあ、ティアーナやってみて! 」


ソルジュ……先生みたいだ。


レオンハルト様は面白そうに私を見ていた。


それにしても、ソルジュ……物怖じしなさすぎ! レオンハルト様と普通に話している。そして、レオンハルト様も何時もの威圧的な雰囲気は引っ込めているのか今は恐くない。獰猛な気配も消えている。


「ほら、授業に遅れるよ。」


私はソルジュに言われて急いで呪文を唱えた。


『月を照らす道を開け』


青い光がパーッと上へ伸びて弾けた。


成功したのかな?


景色が変わって少し向こうに月の塔のある別館が見えた。






別館の中はA~Eまでのクラスの教室があった。一階がEクラス、二階がDクラスというようにワンフロア全体が一クラスになっていた。私たちのAクラスは五階だった。


「ねぇ、これを上るの? 」


入り口からはいったホールに立って上へと続く長い螺旋階段を見上げて気が遠くなりそうになる。


見ただけで、五階まで上るのは大変そう。


皆、これ上れるの? 前世ではこのくらい普通に上れたよ? でも公爵令嬢の私は……上れるかなあ? なにせ体力がない。


「そうだよ。これはねティアーナ、体力作りも兼ねているんだよ。」


ソルジュは心配気に階段を眺めている私を見てクスリと笑った。


「途中、無理そうだったら私が運んであげるよ。」


「ティアーナ、私が抱っこして連れていってやろう。」


ソルジュとレオンハルト様が恥ずかしいことを提案してくる。


ひええ。

それは、遠慮したい。ぐすん。何としても上りきろう!


「私、頑張る。大丈夫だから。」


そして……

私は、頑張った。

最後辺りはヨロヨロだったけれど何とか上りきった。

絶対抱っこは嫌だという私は、二人から呆れられ……気がついたら、ソルジュに背中を押されレオンハルト様からは手を引かれて上っていた。

情けなすぎて、あまりの体力の無さにちょっと泣きそうになった。


「他の女子は上れているの? 」


階段を上りきったところで息を整えながら聞くと……。


「エスコートしてもらった相手に抱っこされて上っているぞ。」


そう言った後、レオンハルト様は「だからエスコートしてやると言ったのに。」とボソボソと呟いていた。


うわー。あれって、学園では普通のことだったの? 信じられない! 抱っことか恥ずかしすぎるのに皆やっているの?


嘘みたいな話しに動揺していると、誰かが階段を上ってきた気配がして、何とはなしに目をやると……。


うわあー!


私は目を見開いて凝視してしまった。


階段を上ってくるリュミエール殿下の後ろをツヴァイトさんがロベールさんを抱っこして上ってきていた。


本当に抱っこだあ……。

無理、無理、無理! 私には無理。

もっと体力つけよう。 そして、前世みたいに普通に階段を上れるようになろうと密かに心に決めた。




「……君は?」


不意に、リュミエール殿下が表情のない硝子のような黄金の瞳を私に向けた。

読んでくださりありがとうございます(*´▽`)


いいね、ブックマーク、評価をありがとうございます。とても励みになります。


執筆が遅めではありますが皆さまが楽しんでくださるよう頑張ります。

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