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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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特例試験一週間前


ホワイトナイト様から学園の特例試験に向けての勉強を教わるようになって一週間。

なかなかに飴と鞭がエグかった。

あれは、飴なの? 飴?


『さすがティアです。可愛らしい間違いをなさる。貴女のためなら一肌でも二肌でも脱ぎましょう。貴女が覚えられるように夜通し耳元で囁きましょうか? そうすると共寝しないといけませんね。』


いや、セクハラ?

あー、もしやこれは鞭のほう?


艶やかな微笑みと飴とも鞭ともつかない言葉を与えられ続けながら、知識を文字通り叩き込まれていく。


こんな先生は反則だと心の底から思う。

顔が綺麗な分たちがわるい。


今日も今日とて、さっきまでホワイトナイト様が付きっきりで勉強を教えてくれていた。


お行儀悪くもソファにだらりと腰掛け、猫ちゃんをいじくり回しながら天井を仰ぐ。


ありがたいことに……

クラウスが呼んでいるとセバスが伝えに来てくれて、ホワイトナイト様はそそくさと行ってしまったのだ。


だから、休憩。


あと一週間で足りない知識をちゃんと身につけることができるのかなあ?


「ねえ、猫ちゃん。あなたの肉球で私を癒して! 」


猫ちゃんの手を取り肉球をプニプニする。

その気持ちよさに思わずデレデレしてしまう。

猫ちゃんは、猫のくせにちょっと引いたように私から逃れようとしたけれど、ぎゅっと捕まえてムギュッと抱きしめた。


抱き心地最高!


「……お嬢様。」


サリナは、憐れむような眼差しを猫ちゃんに向けてため息をついた。


「フギィ、ンニャア! ニャオ、ンニャアゴ! 」


諦めの悪い猫ちゃんは身体をひねりながら文句を言うように鳴く。


可愛い!


嫌がる様子さえ可愛い。


猫ちゃんにグリグリ顔を押し付け白い毛並みを満足するまで堪能してから、漸く私は猫ちゃんを解放してあげた。


「お嬢様、そのうち猫ちゃんに嫌われますよ? 」


サリナは、ほとほと呆れたように言った。


「だって、猫ちゃんが可愛いすぎるのがわるいの。」


猫ちゃんは私から距離を取ったところの床に座ってこちらを見ている。エメラルドグリーンの瞳がとても綺麗だ。


「そう言えば、猫ちゃんに名前をお付けにならないのですか?」


首をかしげてサリナが問う。


うーん、それなんだけど……。

猫ちゃんとずっと呼び続けているのには漠然とした理由があったりする。

あくまでも漠然となんだけれど、名前をつけない方が良いような気がするのだ。

何故だかわからないんだけど……一目この子を見たときからそんな気がした。

この子からは不思議な気配がする。何となく、人の言葉を理解しているような感じもするし。

名前をつけても、飼い猫にはならなそうな?

現状、居候的な……取り敢えず保護している的な?


むむむむむ。


「お嬢様、眉間に皺が寄っていますよ? 」


サリナが注意する。


「猫ちゃんは猫ちゃんでいいかな。」


考えを纏めきれないままそうこたえたとき、


「あれは、『あれ』で十分ですよ。」


ホワイトナイト様の声がした。

意外と早いお戻りだったみたい。


短い休憩だった。


がっくり肩を落としていると、ホワイトナイト様はおや? というような顔をした。


「貴女の願いを叶えるために私は存在しているというのに、悲しいですね。」


さも悲しげな顔をしてそんなことを言う。


そういうところなんだけど!

必要以上に勉強が疲れるのは!


ホワイトナイト様はへんな顔になってしまっていたのか私の顔を見てクスリと笑った。


「とても不本意なのですが、急用ができてしまいまして、この後は自習にします。」


え? 自習? 嬉しい!


「少しの間お側を離れますが、くれぐれもお一人でお部屋からは出ないでくださいね。」


ホワイトナイト様は私を見つめて考え深げに釘をさした。


「今晩は帰れないかもしれません。良いですか? あれと同衾は絶対に駄目ですからね!」


言い方!


「猫ちゃんなのに、気にしすぎ。」


「おい、お前!」


ホワイトナイト様は凍てつくような冷たい瞳で猫ちゃんを見据える。


「わかっていますね!」


一言、凄みを増した声でそう言うと、


「急いでおりますので、失礼します。」


魔法陣の跡を残して消えた。


クラウスはホワイトナイト様に何の用だったのかな?

聞ける機会があるといいのだけど。


そう思いつつも、試験まで残り一週間しかないので、私は寝る時間になるまで真剣に学習に取り組んだ。


何としても合格して学園に通わなければ!

頑張るのよ!私!








その夜、


いつも覚えていない……忘れてしまう夢をみた。



(まもる)義兄さん、ありがとう! これよ!これが欲しかったの! 』


護義兄さんは目を細めて(はな)の頭を撫でた。


『華は、そういうのが好きなのか。』


と、からかうように笑う護義兄さんにぷぅと頬を膨らませて睨む。


『いいでしょ! 護義兄さんの意地悪!』


華は嬉しそうに今貰ったものに目を落とす。


これは、私。


乙女ゲームを恥ずかしげもなくお願いして貰ったんだっけ。


タイトルは………


読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

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