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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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戦略とはあって無きもの

 拙作を読んでくださる

皆さまに感謝しています。


 どこが構築済み?


 と、ジト目の私を見てホワイトナイト様は楽しげに瞳を煌めかせた。


「構築済みでしょう?」


 むむぅぅぅぅ。

 それって、今までと変わらないように聞こえるのは気のせい?


 ホワイトナイト様がサクッと教えてくれた戦略は、結界を身に纏う訓練をしつつ、その過程で神聖力を上手く扱えるようになって、治癒魔法の習得。更にはメアたちと戦えるように浄化による攻撃ができるようになること。

 ……要するに今までやろうとしてきたことと同じってことよね?

 

 私は納得できないとばかりに唇を尖らせた。


「そうですか?」


 肩を竦めたホワイトナイト様は、私の追求に応える気はなさそうだった。




 昨日のホワイトナイト様との会話を振り返りながら、私は、ガタガタと揺れながらも快適なシートに身を任せ馬車の窓から差し込む朝の日差しに目を細める。


 それはそうとして、今日は七日ぶりの学園だ。

 ……そう、七日! 七日も私は学園を休んだのだ。

 昨日、ホワイトナイト様から聞いたところによると、学園へは私が体調を崩して臥せっていると、デスターニア公爵直々クラウスにより伝えられたそうだ。学園は、私がメイヴェ王国からの留学生でもあるし、ヴィオラス王国へ来て早々ユリウス陛下の婚約者候補となったことは周知のことだったから……まあ、環境の変化による疲れがでたのだろうと好意的に捉えてくれたみたい。欠席によるペナルティは無しだった。補習とかがあったら大変だなと思っていたから良かった。


 ……でもね。

 私が安静を余儀なくされている間に、カインとユノーが居なくなってしまっていたのよね。

 

 これはショックだった。

 今回のことで、ホワイトナイト様がカイルとユノーに罰を与えると言っていたけれど酷すぎる。

 この三日間カイルとユノーを見かけないからサリナに尋ねたら、

『配置換えになったみたいです。申し訳ございません、お嬢様。ホワイトナイト様よりお嬢様がお尋ねになるまでは何も話さぬよう厳命されておりました。お嬢様の安全に関わる事だと』

 私の安全に関わる事だと言えば、ホワイトナイト様は私に忠実なサリナでも言うことを聞いてくれると考えたのだと思う。

『配置換え? どこにですか?』

 その後すぐに私はホワイトナイト様に問い詰めたのだけれど、

『これは、国家機密ですよ』

 とはぐらかされてしまった。


 何が国家機密?

 私が反対するから秘密裏に私の護衛から外して別の所に移動させたのよね?

 カイルとユノーはこの国に来る時から一緒にいてくれたのにな。寂しいな。

 三日間の眠りから目覚めたあの時に会ったのが最後だったなんて。本当に……あの二人が私に謝罪する必要なんてなかったのに。それなのに、ホワイトナイト様めええ! 二人の罪悪感につけこんで、罰と称して二人を都合よく使うつもりなのでしょう?


「おや? 頬を膨らませてどうしました? 可愛いですね」


 私が今考えていることなんてお見通しのくせに、全く悪びれないホワイトナイト様から私はぷいっと顔を背けた。


「馬車が学園に到着する前に貴女にご紹介しておきたい者がいます」


 えっ?


 無言でホワイトナイト様に無視を決め込もうとしていたのに、つい顔を向けてしまった。


 私、怒っているのに。

 こういうところホワイトナイト様ってずるいと思う。


 私は、ぶすっとますます頬を膨らませた。


「ふふっ、変な顔ですね?」


 どうして嬉しそうなの?


 輝くような笑みを浮かべるホワイトナイト様に私は眉を寄せた。するとホワイトナイト様はツーと人差し指を私の方へ伸ばした。


 え? え?


 と思っている間に、その人差し指が私の眉間に触れて滑る。


「ティアの可愛い顔が台無しです」


 ううっ……。


 先程とは打って変わった憂いを帯びた表情にドキッとして言葉が詰まる。


 本当に……こういうとこだよ! ずるい!


 色々とホワイトナイト様には言いたい事があったのに言えなくなってしまった。


 前世は白で、私が生まれた時から傍にいて……今世はヴィオラス王国へ来た時からずっと傍にいる。だからかな?

 ……全く、私の扱いが上手すぎない⁉

 いつも私ばかり煙に巻かれているような気がする。


「さて、時間もありませんので……ゼクス!」


 へっ?

 

 座っている座席の下? ううん。ホワイトナイト様の足元の影が……ぐにゅ? 


 ひぇぇぇ!


 狭いのに馬車の床? ホワイトナイト様の靴のつま先の辺りから黒髪の頭部が現れ……黒いマントに覆われた肩が見えたかと思ったら黒衣の男が跪いていた。


 いや、待って! 何でも良いから跪くのは止めて!

 いきなり人が現れて驚いたけれど、それよりもガタイが良い男が座席と座席の間に跪いている圧迫感がすごい。


「あ、あの、ゼクスさん? 座ってくださいませんか?」


 あたふたとホワイトナイト様の隣に座るように促す私にゼクスさんは顔を上げ、それから窺うようにホワイトナイト様を見た。


 ゼクスさんって……盲信教団に私が誘拐された時に助けに来てくれたお父様の影から出てきた人だよね? 確か……闇魔法の使い手で影に潜めるって。


「ええ、オルフェス様からお借りしてきました」


 私の考えを読んだかのようにホワイトナイト様。

 実際、読んだのでしょうけど。


「カイルとユノーの代わりです。ほら、ゼクス、ティアのご厚意です。座りなさい」


 ゼクスさんは頷くとホワイトナイト様の隣に静かに座った。


 うっ。


 目の前に二人で座られると、これまた圧迫感がすごい。


 二人とも背が高いし、ゼクスさんはホワイトナイト様より胸板が厚く逞しい体つきをしていて……ホワイトナイト様もなんやかやしなやかな鍛えられた体つきをしているからドドーンと大きな壁がそそり立っているみたいだ。


「今後暫くゼクスにはティアの影に潜んで護衛してもらいます」



 



 読んでくださりありがとうございます(*´▽`)


 いいね、ブックマーク、評価をありがとうございます。


 執筆が遅めではありますが皆さまが楽しんでくださるよう頑張ります。

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