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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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戦略とは

 拙作を読んでくださる

皆さまに感謝しています。



 ……大変だった。


 メアに襲われた上に男神様に魂を飛ばされ……そのせいで三日間眠り続けたのが悪かったのよね。


 ディーン様からの『ティアは明日まで部屋で安静にさせるように』の指示は、私のことを心配するあまりに暴走したサリナによって『明日まで』が『三日後まで』に延長されてしまった。それも、ヒューベルトくんの監視付きで。

 流石に一日目は、自分が思っていた以上に疲労困憊していたらしく、ぐったりでほぼ一日ベッドでゴロゴロしていたよ? だけど、二日目は、ほぼ完璧に……いや、自分でもすごいと思うのだけれど気力体力共に全回復したのよ。それなのに、ベッドから出してもらえなかった。私は一応主なはずなのに有無を言わさずによ? ……サリナ恐るべし。そして、三日目を迎えた今日、ついにベッド生活から解放されて晴れて自由の身だったはずの私は机に向かっていた。ホワイトナイト様から言われた報告書を書かないといけなかったせいだ。メアの襲撃と男神セレネ様との邂逅、ホワイトナイト様が私を見つけてくれたユランさんの故郷と思われる村……如何せん中身が盛りだくさん過ぎてなかなか終わらない。


「ティアーナお嬢様、そろそろ休憩なさいませんか?」


 私の体調を気にしたサリナが声をかけてくれた。


 うーん。

 休憩したい気もするけれど、一気に書いてサッサと終わらせたいのよねー。

 

「サリナ、ありがとう。でも、もう少し頑張るね」


 私は、サリナにニッコリ微笑んで見せると、手元に目を戻した。


 目の端にサリナの不満気な顔が見えたけれど……

 私は、報告書にペンを走らせる。


 後にホワイトナイト様が予告していた……例の特訓も控えている。

 うん。とっとと終わらせよう。


 そうして室内は、サラサラサラとペンを走らせる音だけになった。


 


 数刻後、


 ふぅ……

 思っていたよりも時間がかかってしまった。


 漸く報告書を書き上げて私は息を吐いた。


 はぁぁぁぁぁ。

 

 そして、頭を抱え込む。


 私……

 どうなっているの?


 この国に来たのは……

 アスラン様に運命の番が現れて……最初は、悲しくて、辛くて、苦しくて、アスラン様の居る国から逃げ出したかった。だけど、国王様と話して、サティス殿下と話して、アスラン様と過ごした日々を思い出して、離宮に幽閉されているアスラン様と会った時に思ったからだ。私とアスラン様のこれまで築き上げてきた想いを覆し、アスラン様の皇太子としての日常を壊した『運命の番』が何なのか、真実を知りたいと思ったから。


 それなのに、本当にどうなっているのかな?


 もぉぉう! 本当に本当にどうしてこうなったの?


 報告書を書いていたら……この国に来てからのことを思い返してしまった。それはもう反省文にならなかっただけましなレベルで。


 聖女呼ばわりされて盲信教団に誘拐されたり、ヒューベルトくんを保護して、そのせいでレオンハルト様から付きまとわれたり、華だった前世を思い出したら、ホワイトナイト様が白蛇の白だったり、油断して再びメアに襲われたり、何故か男神セレネ様と邂逅して(要らない)祝福を貰ったり……リュミエール殿下が『女神セレネ様の気配』が私からするからとしつこく探りを入れてきてきたり……


 いつの間にか、どうして私を取り巻く状況がこんなに盛り沢山になってるのかな?


 ……原因不明の女性だけが罹患する眠り病が蔓延しているユランさんの村。男神セレネ様に飛ばされて見た様子では急いだ方が良さそうだった。猶予は後どのくらいある?

 白は、前世では華が頑張れば神聖力を使って病を治すことができていたはずだと言っていた。けれど、今世の私は、ユランさんとの約束を果たすために早くその力を使えるようになりたいのに、結界を身に纏うだけでも苦労している始末。悠長にもたもた訓練していたら、手遅れでユランさんの村を救えなくなってしまう。頑張って治癒ができるようになるってユランさんと約束したのに!


 胸がざわざわする。


 報告書を書きながらこれまでのことを振り返ったせいで気が付いてしまった。


 私……思いもよらない事が起こり過ぎたにしても、ただ流されていただけで何一つ満足に立ち向かえてなくない?


 何もかもが後手後手に回っている。

 この状況は駄目だ。


 私は、気が急いてじっとしていられない気持ちになってきた。


 このままじゃ駄目……


 不意に、するりと肩に手が滑る感触がして、私はハッと顔を上げた。


「おやおや、漸くですか?」


 ホワイトナイト様! いつの間に!

 ……って、顔が近いし!


 腰を折ったホワイトナイト様が、私の顔の横から机上の報告書を覗き込むようにしてそこにいた。


「問題ありません。ティア」


 耳を擽るような声がする。

 

「……戦略は構築済みです」




 読んでくださりありがとうございます(*´▽`)


 いいね、ブックマーク、評価をありがとうございます。


 執筆が遅めではありますが皆さまが楽しんでくださるよう頑張ります。


(登場人物が多すぎてごめんなさい。そろそろ登場人物紹介を入れたいなあと思い作成中です)


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