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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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ホワイトナイト様のお説教

 拙作を読んでくださる

皆さまに感謝しています。


 私はホワイトナイト様の言葉に思考が停止した。


 ……け、けっかい?


 そして、

 けっかい、けっかい、けっかい、けっかい、けっかい……結界、結界、結界、結界、結界?

 頭の中が結界の文字で埋め尽くされる。


 ひぇぇ。

 

 『……どうして、メアの穢れを結界で防がなかったのですか? ねえ? ティア?』


 ホワイトナイト様の言葉を反芻して頭がクラクラしてきた。横になっている状態でクラクラするのだからよほどだ。


 メアの穢れ……結界で防げたのね。

 何てことだ。ずっと私は結界を纏っていたのに、あんなに訓練もしたのに、どうして思いつかなかったの?

 メアの術中に嵌ってメアの領域に落とされた時にその衝撃で恒常的に纏っていた結界が解けていたのに……気がつかなかった。

 うっ……これって、もしかしてお説教案件? 

 この目の前にあるゾワゾワと背中にくる途轍もなく綺麗なホワイトナイト様の微笑み……怖いのだけど。

 思わず、ホワイトナイト様から目を反らせてしまう。


「それで? ティア、返事は?」


 ホワイトナイト様のグレイの瞳の圧がすごい。ぐいぐい私に返事を促してくる。


「あ……えっと」


 私は、顔を背けてホワイトナイト様と目を合わせないようにした。


 完全にお説教案件だ……これ。

 目を合わせちゃ駄目なやつ。


「アレク、今はそのくらいにしておけ」


 私の頭をそっと撫でてからディーン様がホワイトナイト様に向かって言った。


 ディーン様の声が私の耳の傍でしてドキッとしてしまう。


 近い、やっぱり近いよぉ。


 私は、ディーン様と密着しすぎていることが再び気になり始めた。


 もう、勘弁して欲しい。

 いくら安全の為とはいえ……

 このままだと、私……はずか死してしまう!


 私の身体に巻き付いているディーン様の腕や、密着しているディーン様の体温を感じて、目覚めてからずっと心臓の鼓動がはやいのに。


 トク、トク、トク……


 すぐ目の前にあるホワイトナイト様の顔もそれに拍車をかけている。


 もう……無理ぃ。

 本当に無理なの。ディーン様とホワイトナイト様……未婚の令嬢の私にはちょっと距離的に刺激が強すぎるよ。

 これ、私、死ぬんじゃない?

 高血圧と頻脈で心臓壊れるんじゃない?

 絶体絶命を悟った私は白旗を掲げる。


「……あ、あのですね、私……心臓がもたなそうなので、きっともうすぐ天に召されると思いマス」


「おや……」


 ホワイトナイト様は目を瞬かせた。そして、嬉しそうに蕩けるような笑みを浮かべた。


 ……な、なに?

 

「ティア! 私のせいで天に召されそうなんて……嬉しいことを言ってくださいますね? 大丈夫ですよ。ティアが天に召される時は私もご一緒しますから」


 え? え? ええっ?

 どうしよう? ホワイトナイト様は何を言っているの?

 ここは、私が天に召されそうなのを阻止する場面じゃないの? 何故に、共に逝くになっているの?

 ……そうだった。

 ホワイトナイト様は、元々……残念な人だった。


 前世の白……ホワイトナイト様……今生の白……。


 ……どうしてこうなっちゃったのかなあ?


 私はそっとため息をついた。


「……大丈夫だよ? ティア」


 ディーン様が私の頬に落ちていた髪を指ですくい私の耳にかけながら言う。


 いや、あの、だから、近いです! ディーン様!


 しかも、この体勢でそんなことをしちゃ駄目です!


「ティアは私が護るから、天に召されるのはアレクだけだよ?」


 ……え? えっと……なんですか? それ? 

 ふ、ふふっ……ふはっ!


 ディーン様の言葉に不思議と笑いが込み上げてきて、そんなに面白いことを言われた訳でもないのに、可笑しいな。変な笑いの壺に入ったとしか思えない。


 私が天に召されそうな原因はディーン様もなのに、どう守ってホワイトナイト様だけ天に召されるの? ふふっ。ディーン様ったらメチャクチャなことを言っている。ふふふふっ。


 私はプルプルと肩を震わせて笑ってしまった。それは、暫く止まらなくて……

 呆れたようなホワイトナイト様からの視線が痛かった。でもね、残念なホワイトナイト様から呆れられるのはちょっと心外だと思うの。


 ……私は、多分、ずっと緊張していたのだと思う。だから、こんなに笑ってしまうのだ。堰が切れたように笑いが込み上げて止まらない。


 そんな私の背中を優しく擦りながら、ディーン様は私が笑い止むのを待っていてくれた。


 ……メアの襲撃に、メアから見せられた映像。男神だったセレネ様に、セレネ様に飛ばされた『眠り続ける奇病』の村……情報量がとんでもなく多いのに、何が何やらで、衝撃やら困惑やらが入り交じり、自分でも気づかないうちにかなり精神的に参ってしまっていたみたいだ。

 ホワイトナイト様とディーン様……

 私は、ドキドキして心臓が壊れそうなほど彼らと密着して困っているのに……それが、二人から守られているという実感と安らぎを私に与えてくれている。

 

 笑っているのに泣きそうな気持ちになってくる。そんな私に気づいたのか……


「私だけが天に召されるかどうかはさておき、ティアは此度の反省をしてください。結界の特訓は確定ですね。加えて、メア襲撃と男神セレネ様との邂逅及び私が貴女を見つけた村の報告書を書いてくださいね」


 ホワイトナイト様の言葉で私の涙はたちまち引っ込んだ。


 うええ。酷いよ……ホワイトナイト様。

 また、あの特訓をするの? 

 それに、報告書っているう? 

 なんだか、報告書という名の反省文みたいで嫌なんですけど?


「ティア、頑張って」


 ……ディーン様の応援の言葉が身に染みるのも何か嫌だ。




 私の笑いもすっかり収まって落ち着いた頃、漸く、私はディーン様の腕から解放された。


 ベッドから降りたディーン様は、軽く服装を整えるとホワイトナイト様に指示を出す。


「ティアは明日まで部屋で安静にさせるように」


 え?

 私、3日も眠っていたのよね? 学園は? 

 

 私が、ディーン様の言葉に驚いてあたふたしている間に……

 キラキラと魔方陣が現れて、その中にディーン様は消えてしまった。


 


 読んでくださりありがとうございます(*´▽`)


 いいね、ブックマーク、評価をありがとうございます。


 執筆が遅めではありますが皆さまが楽しんでくださるよう頑張ります。

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