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愛する人は運命の番と出会ってしまったけど私は諦めきれないので足掻いてみようと思います。  作者: 紫水晶猫


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予知夢のような

 更新が遅くなってしまいごめんなさい。

 読んでくださる皆さまに本当に感謝しています。


 あまりにも男神セレネ様の声が近いところで聞こえたことに驚いて、私はパチっと目を開けた。


 ……え? ここは、どこ?


 体感的に何処かへ弾き飛ばされたような気がしたのだけれど……

 

 今度は何なのか?


 私は、宙に浮いていて、緑色の豊かな森林に囲まれた集落を見下ろしていた。


 どうしよう?

 取り敢えず、地上に降りてみる?


 そう思っていたら、子供のむせび泣く声が聞こえた。余りにも悲しそうな泣き声に、身体が引き寄せられていく。


 声の元へ近づいていくと一軒の家にたどり着いた。中から嗚咽する声が聞こえる。


 戸に手を掛けると手が戸の表面に吸い込まれてギョッとした。


 あ……!


 今の私は、実体ではないのね? 幽霊みたいに透き通っているみたい。

 うーん。これって……夢なのかなあ? だとしたら、どこからが夢なのだろう? 思えば、女神セレネ様が男神でオネエとか……あの喜天烈な容姿とか、いっそ夢だったと言われるほうが納得できる。


 とにかく、戸をすり抜けて家の中に入ることにした。

 

 家の中はこじんまりとしていた。

 奥の部屋からしゃくり上げる音がする。近づいていくと、ベッドの上で痩せ細った女性が眠っていた。ベッド脇で幼い男の子と女の子がその女性に縋るようにして泣いている。


「ふえーん。お母さん、起きてよぉー。えーん。えーん」


「えーん。お母さーん、えーん。ひっく、ひっく、うえーん」


 ……あ、あああ。

 これは、この状況は……同じじゃないの? 私のお母様が病に臥せっていた時と。


 眠り続ける奇病。


 気がつかなかったけれど、良く見ると子どもたちのお尻に丸っぽくみえる短い尻尾がついていた。


 見覚えのある尻尾。


 熊さんの尻尾だ。……確信的に直感した。


 ここは、きっとユランさんの村だ。


 なぜ、ここに飛ばされてコレを見せられたのか? きっと、これは、夢ではない。意図的に男神セレネ様によって為されたことだ。


 眠っている女性はこの子たちのお母さん……


 眠り続けているせいで、栄養もとれず大分弱っているようにみえる。

 このままでは、近い将来に命を落としてしまうだろう。いいえ、もはや一刻を争うのかもしれない。

 ……ああ、このままでは、ユランさんとの約束が果たせなくなってしまう。きっと、男神セレネ様は私に猶予があまり無いことを示したかったのかもしれない。急げということなのだろう。


 ……あの鬼、メアが見せた映像が頭を過る。あれは、前世でもこの奇病で苦しんでいる人がいたことを教えているようだった。映像の中に、この子どもたちのように悲しんでいる人たちが沢山いた。この集落にもこの家族を含め奇病に侵された女性とその家族が沢山いるのだろう。


 やはり、何故それをメアが私に見せたのかが引っかかる。男神セレネ様なら理解できる。恐らく善意からだと思うから。要らないのに、祝福をくれるくらいだし。何とかしろといわんばかりだ。ならば、メアは? ……鬼が私に見せる意図は? あんな映像をみたくらいでメアが言ったように私が聖女に覚醒するとは思えない。 ずっと考えているけれど、私のお母様が亡くなった時のことを思い出させて、私を苦しめようとしているくらいしか思いつかない。わざわざ前世の映像を持ち出す意味。まさかだけど、あの奇病にメアが関係していたりしないよね? そもそも前世でもあの奇病が発生していたというのも事実なのかどうか。どうしても私には思い出せない。なら白は? 白なら覚えている? 


「ああ、こんなところにいましたか? 本当に困った子ですね? ティア」


 突然降ってきた声に私はビクッとした。

 でも、驚いたのはほんの一瞬だけだった。慣れ親しんだ声に私は心から安堵する。


 ……ホワイトナイト様!


 声のした方を振り返ると……


 うわ! 白おおお?


 白がいた。

 ……ホワイトナイト様で間違いはないのだけれど、そこには長くて大きな白蛇が鎌首をもたげていたのだ。


 何故に白の姿?


 キョトンとしてしまった私にホワイトナイト様は、鎌首を下げて頭を擦り寄せてきた。


 えっと……

 どうしたの? ホワイトナイト様? 

 仕草が甘えているみたいで珍しく可愛いような? これって、思い切りレアなホワイトナイト様なのでは? 形は白だけど。


「ティアがなかなか目を覚まさないので……とても探したのですよ」


 頭を擦り寄せるだけでは足りないのか、ホワイトナイト様は私に身体を巻き付けてきた。


「なかなか目を覚まさないってどういうことですか? 探したって……私には白一くんがついていますよね?」


 うん。だから、ホワイトナイト様は前回攫われた時みたいに私の居場所がわかるはずなのに。


「ティア、どういうわけか白一くんは弾き飛ばされてしまったのです。ですから貴女の中に白一くんは居ないのです。そして、貴女はあれから3日も眠り続けているのですよ」


 え? えええええっ?

 何で?

 男神セレネ様のせい? 白一くんが弾き飛ばされたっていつ? そんなすごい衝撃があったかな? ……あ! あった。


 ……男神セレネ様の巨大な光り輝く玉の中に呑み込まれた時だ!


 あれは、かつてない衝撃だった。凄まじい光の暴力だと思ったほどだもの。


 そしたら、その時から白一くんは私の中にいなかったの? 


 私が、考え込んでいる間に……私は、ホワイトナイト様に頭のてっぺんまで巻き付かれてしまっていた。


 ちょっと、ホワイトナイトさまギュウギュウに巻き付きすぎでは?


「ですから、この姿で全力で探さねばなりませんでした」

 

 ホワイトナイト様に物凄く心配をかけてしまったみたい。


 攫われたときでもこんなではなかった。こんな風に巻き付いて離れないなんて。あの時は全然余裕そうな感じだったのに……


「ともかく、戻りましょう。話はそれからです」



 読んでくださりありがとうございます(*´▽`)


いいね、ブックマーク、評価をありがとうございます。


執筆が遅めではありますが皆さまが楽しんでくださるよう頑張ります。

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