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3.情報交換と話し合い (3)

 今回も長めなので、1話投稿です。そして、説明回でもあります。

 筆者の私生活、最近感情ジェットコースターになっているので、ちょっと更新に影響が出ないか心配だったり。

 誤字・脱字などあれば、報告してくださると大変助かります......!

 「へえ、流石、私の従妹......」


 「流石、“トラブルコレクター”の家系、斜め上の行動ですね......」


 「『護り人』よ」


 私は、もう抵抗することなくナイトを隣に呼び出し、咲良お姉ちゃんたちの質問に答えていた。

 ナイトを見たとき、咲良お姉ちゃんとクリスさんは驚いていたが、マティアスさんたちは驚いていなかった。

 アルトさんから『宝石の上位精霊がついているから、決して怒らせるな』とこっそり伝えられていたらしい。

 一体いつ......? 

 いや、よく考えると、アルトさんは私達がここへ移動する直前、私と別行動を取っていたので、そのときだろう。

 まぁ、世界が違うなら、私が想像もできないものがあって当然である。

 それにしても、どっかのファンタジー小説のキーワードみたいなセリフが聞こえたぞ?


 「ええ、そういえば、芹奈ちゃんには言ってなかったわね......」


 「はい?」


 今度は、ラノベ小説のようなセリフが咲良お姉ちゃんから出てきて、思わず私は耳を疑った。

 そして、咲良お姉ちゃんが簡単に教えてくれたことをまとめると。

 風守のご先祖様は、なんと、魔法界の、魔力持ちだったらしい。

 昔、魔法界からの過度な影響から科学界を守るため移住し、科学界のひととして生きながら『砦』に所属し活動するようになり、それが今でも続いている。

 このことは基本、風守の家に関わらず、魔法界の人を先祖とし、今もなお科学界で過ごす家全てに伝わっているらしいが......。


 「私、聞いたことないよ?」


 「芹奈ちゃんの場合、ホントに色々あったらしいから......」


 主に、お父さんとおばあちゃんの間で。

 確かに、実の親子のはずなのに、すごく仲悪いよな......。

 むしろ、お母さんの方が、おばあちゃんと仲がいいのだ。

 結局、絆とは血は関係ないのだろうな、と小さい頃の私は思ったものだ。


 「ばあ様は、芹奈ちゃんもこっちに来るだろうって言ってたんだけどねー」


 「初耳......」


 (ほう)(れん)(そう)はどこいった。

 まあ、でも、終わったことか......。

 納得できないけど。

 でも、『も』ってことは......。


 「咲良お姉ちゃん、ひょっとして柊人(しゅうと)お兄ちゃんや、帆波(ほなみ)ちゃんも......?」


 あ、柊人お兄ちゃんと帆波ちゃんは、咲良お姉ちゃんの弟妹、私にとって従兄妹に当たる。念のため。


 「ええ、もう、こっちとは“縁”が出来てるわ」


 私が一番遅かったくらいなのかぁ......。


 「いえ、私がこっちと“縁”が出来たのは、大学一年の時だから、(しゅう)(なみ)が早すぎたのよ」


 あ、きっかけはひょっとしなくても、クリスさんですねはい。

 なんとなくわかるよ。


 「それで、正式にはばあ様と要相談なんだけど......。

  もう、芹奈ちゃんがこっちに来ちゃったということは、“縁”が出来ちゃったっていうことだし、仮に『砦』に所属してもらって、体験してもらうしかないだろうねえ」


 「はい?」


 「クリスと一緒、っていうか、逆かな。

  私たちきょうだい全員、それぞれ事件に巻き込まれてこっちと関わり持ったんだよ。

  という訳で、こっちからも、この事件を、一緒に解決して欲しいなって」


 「え、えええ~!」


 拒否されるのは想定内だけど、これは完全に想定外だ。

 というか、それこそ、報・連・相しなくていいのか。


 「大丈夫、皆、通った道よ」


 「どこが大丈夫なの?!」


 「学業面はお友達とセットでどうにかしてもらうから、心配しなくていいわ。

  それに......、助けたいんでしょ、その子たちのこと」


 「うっ」


 小さい頃は幼なじみみたいに育った従妹だもん、それくらいはわかるよ、と咲良お姉ちゃんは言った。

 その通りだ。

 咲良お姉ちゃんの提案は、まさに、私にとって、渡りに船。

 言葉に詰まる私からマティアスさんたちの方へ目を向けた咲良お姉ちゃんは、すっと頭を下げた。


 「じゃあ、とりあえず私たちと一緒に......」


 「いや、そうじゃない」


 「クリス?!」


 クリスさんは、咲良お姉ちゃんの制止を振り切って私の目の前まで歩み寄り、じっと見降ろしてきた。

 彼から確かに感じる圧に、思わず私は固まってしまった。


 「『砦』に来るって言うことは、命の危機にさらされることが何度も起こる可能性がある。

  そして、住人たちを守るため、自分の命を差し出さないといけない場面が出てくる、かもしれない。

  ......いやなこと、心折れるような言葉を浴びせられるかもしれない。

  それでも、『砦』に入る覚悟が、お前にはあるのか?」


 きっと、クリスさんは......、咲良お姉ちゃんは、そういう経験をしたのだろう。

 やっぱり無理です、と言って逃げるとしたら、もう、今しかない。

 だけど。

 私は、ぶるぶると首を横に振って、クリスさんをじっと見返した。


 「私は、逃げません。

  ......それに、私は、一人ではないので」


 そう、私には、ナイトがいる。

 状況を引っ搔き回してもくれたが、彼は、私の味方なのだ。

 ......たぶん。


 「......まぁ、そいつがいれば、命の危険は低いか......」


 そうつぶやきつつ、クリスさんは私に、こう言い放った。


 「よし。

  じゃあ、芹奈。

  君はここに残れ」


 「「はい?!」」


 私と咲良お姉ちゃんの声が、綺麗に重なった。

 咲良お姉ちゃんは、勢いよく立ち上がり、クリスさんに掴みかからんばかりに近寄った。


 「クリス?!

  それは流石に......!」


 「だけど、『砦』に連れて行っても、余計無駄だろう?」


 そう言いつつ、クリスさんは咲良お姉ちゃんから逃げるように私の背後に行き、背もたれに手を置いた。


 「これは勘だけど、たぶん犯人は、芹奈とこいつを狙ってる。

  ということは、犯人は、こいつらを探しているはず。

  だから、それを利用する」


 「......というと?」


 私は、恐る恐る尋ねる。

 だいたい予想はできるけど......。


 「囮になれ」


 「クリス?!」


 ......あ~、やっぱり、そうなるのか......。

 

 「芹奈ちゃん、こいつの言うことは無視しても......」


 「......ううん、咲良お姉ちゃん」


 私は、真っ直ぐに咲良お姉ちゃんを見て、こう言った。


 「今の私にできる役割は、これしかないんでしょ?

  ここに残るのは、私のわがままでもあるし......、私は、いざという時、足手まといになりたくない。

  ......だから、今は、私にできることをしたいの」


 「......そっか......」


 目を見開いて私の言葉を聞いていた咲良お姉ちゃんは、俯いてぎゅっと目を瞑り、そう言葉を零した。

 そして、顔を上げると、私に微笑んだ。


 「大人になったんだね、芹奈ちゃん。

  あの頃よりも」


 「咲良お姉ちゃん......」


 なんか引っかかるから、その言い方はやめてほしい。


 「でも......」


 そう咲良お姉ちゃんが言いかけた時、


 「ちょっといいかしら」


 と、誰かが遮った。

 その場にいた全員の目線が、声の主に向けられる。

 声の主は、アリアさんだった。


 「なんだ?」


 クリスさんがそう乱暴な口調で尋ね、咲良お姉ちゃんに「ここで素を出すな!」と頭を叩かれる。

 その光景をにこやかに見守りつつ、アリアさんは、こう言った。


 「私たちが、責任を持って預かりましょうか? 彼女を」


 「「「「えっ?」」」」


 異口同音とはまさにこのこと、である。

 咲良お姉ちゃん、クリスさん、私、そして――アルトさんの声が、ぴったりと重なった。


 「姉さん?! それは......!」


 動揺しているとはっきりとわかる声で、アルトさんが言った。


 「それは、本当にいいのですか?

  貴女方は、貴族なのでしょう......?」


 クリスさんが、そう、緊張した声音でゆっくりと言葉を選びつつ、問いかけた。


 「当主は私なの。もし、何かあれば、私の責任よ。

  だから、その点は安心して」


 「......ですが、芹奈を保護するということは、危険な事態に巻き込まれる可能性があるんです。

  どうして、そこまで芹奈のために動こうとして下さるのですか......?」


 そう、おそるおそる、咲良お姉ちゃんが尋ねた。

 それを聞いたアリアさんは、咲良お姉ちゃんとクリスさん、そして、私を見て、にっこりと微笑み、こう告げた。


 「それは、芹奈ちゃん、貴女に興味があるからよ」


 と。

 芹奈のいとこたちの名前、出てきましたね。ちなみに、あの子たちの名づけとしては、自然に関する言葉を入れる、という共通点でつけたという裏話。芹奈もぎりぎり当てはまる、はず。

 そして、芹奈の家族の話も出ました。補足なんですが、芹奈の両親の仲は良好です。父は娘大好きだけど、娘には煙たがれています。つまり、反抗期。寮生活でそれがかなり加速した、かもしれない。

 それでは、紺海碧でした。次は、7日かな。

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