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第8話 悲しい運命

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

家を出た私は、荷物を持ってきらりの家に来ていた。連絡したら、ひとまず話を聞くからウチに来てと言ってくれた。私はきらりの部屋に行き、そこで昨日の話をした。

「で、ウチに押しかけてきたってこと?」



「は、はい。しばらくお世話になります。」



「ま、私は彩花と一緒にいられるからいいけどね。」



「やっぱり、きらりと葵ちゃんは優しいね。こんな私と一緒にいたいと思ってくれるなんて。」



「優斗さんと彩花って似てるよね。やっぱ一緒にいると性格が似るのかな。」



「え?そんなに似てる?」



「うん、自分を軽んじているところとか。」



「そ、そんなこと。」



「ま、優斗さんの方が重傷みたいだけど。彩花の一番なんて欲しくても手に入らないのに。」



「一番?」



「うん、だって彩花は両親がいないはずなのに寂しそうにしてるとこほとんど見たことない。

 それだけ、優斗さんが彩花と一緒に喜びや悲しみを共有してきたからってことだと思う。」



「きらりの言うとおり。優斗は自分が私にとってどれだけ大きい存在か知らないんだよ。

 優斗は私にとって大切な、、、家族。」



「答えは出たみたいね。」



ピンポーン。


「王子様のお迎えが来たわよ。」



「え?まさか優斗に連絡したの?」



「それはそうよ、私だって暇じゃないし。さっさと仲直りしてきたら?」



「うん、ありがときらり。」



私は玄関に向かい、扉を開ける。

「優斗、私優斗に言いたいことが、、、。」



しかしそこにいたのは、黒服を着た見知らぬ男の人だった。


「彩花お嬢様、お迎えに上がりました。」



「だ、誰ですか?」



「神田家ご当主 神田 英真様がお呼びです。」



「神田ってお父さんの、、、。」









俺はきらりちゃんから連絡を貰い、急いで出かける準備をしていた。会って何を話せば良いのかは分からない。でも、このままは絶対に嫌だ。俺は彩花ちゃんの友達、、、いや家族なんだから。



扉を勢いよく開けると。

ガンッ。

思いっきり何かにぶつかったような音がした。

「え?一体何が?」


俺は扉の前を見てみると、そこにはスーツを着た女の人がいた。

「う、うぅぅぅ。」



「だ、大丈夫ですか?」



その人はすぐに立ち上がり、深々と頭を下げて言った。

「失礼しました、私神田家の執事見習い 青山 恵子です。」



「は、はぁ。その青山さんが何を。」



「実は、大事なお話がありまして。お部屋に上がらせてもらってもよろしいですか?」



「わ、分かりました。」



本当はいち早く彩花ちゃんの元に行きたかったが明らかにただならぬ雰囲気を醸し出すその人の話を無視できないと感じた。



リビングに通し、椅子に座って貰う。コップにお茶を入れて手渡す。


「ありがとうございます。」


年齢は20代前半といったところだろうか。まぁ見習いって言ってたし。


「その、お話というのは彩花さんのことで。」



「彩花ちゃん、ですか?

 なぜその事を、神田家って一体」



「神田家は香坂グループと双璧をなす日本の大企業、神田グループを経営している家です。

 香坂グループと違い、歴史が古く200年ほど前からある会社です。」



「はい、聞いたことはあります。でも、その神田家が彩花ちゃんに何のご用で。」



「彩花さんのお父様は神田 聡様、神田 英真様のご次男様です。」



「え?でも聡さんの親族はいないって聞かされていたのですが。」



「それは聡様が美樹さんとご結婚される際に英真様に大反対されまして、家族の縁を切ること

 に。」



「なるほど、事情は分かりました。」



ん?でもじゃあなんで今頃彩花ちゃんを訪ねてきたんだ?まさか今更孫に会いたくなったとか?そんなの都合が良すぎるだろ。



「本題はここからなのですが、実は彩花様を神田家に迎えたいと思っています。」



「それって、跡取りが欲しいからとかじゃないですよね?」



「鋭いですね、その問いにはその通りですと答えるしかありません。」



「なんで。ご長男に子供は?」



「奥様との間に子供はできず。このままでは神田家の血が途絶えてしまう。」



「そこで、彩花ちゃんを。」



ふざけんなよ、そんな話あっていいはずがない。それに親権は沙也加さんにあるはずだ。法律的に無理矢理そんなことできるはずがない。


「親権者である沙也加さんはフランスで事故に遭いまして。今、病院で療養中。

 そのため、神田家が一時的に引き取るという形に。」



「は?なに言ってるんですか?

 そんなの都合が良すぎる、、、おいまさかそれって神田家が。」



青山さんはうつむいて、ゆっくり頷く。


バンッ。

俺は立ち上がり、テーブルを思いっきり叩いて、彼女に怒りをぶつけた。


「それが、お前らのやり方か。

 人のことなんだと思ってるんだ、ふざけんな!!」



青山さんは怖がりながらもまっすぐ俺の方を向いて言う。


「本当に申し訳ございません。私には何もできませんでした。」



自分に非はないはずなのに、深々と頭を下げる。

俺は椅子に座って深呼吸をする。

「いえ、俺の方こそ怒鳴ってすみませんでした。」



「このタイミングでお出しするのは良くないと思うのですが、少し話を聞いていただけます

 か?」



俺はゆっくり頷く。


青山さんは鞄から封筒を取り出し、それを俺に差し出した。

「これは、今までの感謝の気持ち。

 そして、、、、手切れ金と受け取っていただいて結構です。」



中を見てみると、そこには通帳があり、1億という額が記載されていた。



「なるほど、それで私が納得すると。なめられたもんですね。」



「そう、ですよね。」


ブー、ブー、ブー。


「すみません。」


青山さんはかかってきた電話に出るため外に出る。




中に戻ってくると、静かに一言。


「彩花様は神田家に行かれるそうです。」



「それって無理矢理?」



「いえ、本人が了承したそうです。」



「そ、そんな。」



彩花ちゃん、どうして。




恐らく、残り2話です。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

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