第3話 本当の始まり
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俺はある日、亮太に連れられて六本木に向かった。どこへ行くのかと思い、素直について行くとそこには夜の町が。
「な、なぁやっぱり帰ろうぜ。」
「な、なにを言ってるんだよ。俺たちはお客様だぞ。ど、堂々としてればいいのさ。」
「はぁ、そうだけどさー。そんなにビビりまくってるのに大丈夫か?」
「ふ、武者震いってやつさ。」
これはダメだな。適当な店でお姉さん方に相手してもらえば納得するだろうと思った俺は、近くにあった春風という名前のキャバクラに入る。
「おい、ここはいわゆるぼったくり店ではないのか?」
「そんなことないだろ、多分。」
「ま、俺に任せておけば大丈夫だけどな。」
こいつ、口だけはいっちょ前だな。俺もドキドキしすぎて頭と身体がおかしくなりそうだが。
勇気を出して扉を開けると、少し強面の黒服のお兄さんが出てきた。
「これはお客様、初めてのご来店で?」
「いえ、2回目です。」
こいつ、当たり前のように嘘を。本当に弁護士目指してんのか?
「そうですか、ご指名の子とかはいますか?
今ですと、ミサが空いておりますが。」
「じゃ、じゃあその子で。」
なすがままじゃねぇか。まぁひとまずそれでいいか、俺もよく分からないし。
お店の中に入ると、思ったより落ち着いた雰囲気で各テーブルではお姉さんと紳士なおじさまが楽しく話していた。
「当店では、過度なお触り厳禁。節度を持ってお楽しみください。」
「そ、そうですか。残念だなー。」
「いや、俺らはしゃべるだけで限界だろ。」
「では、席にご案内します。」
案内された席は、赤いソファと黒いテーブル、そして赤いドレスを着た綺麗な女の人が。
ん?あの人どこかで見覚えが。化粧をしていて、髪も巻いているがあの人は、、、。
「き、綺麗っすねー。お姉さん。」
「いっらしゃいませ、ミサです。こちらどうぞ。」
手渡されたドリンクに口を付けると、これはどう考えてもジンジャーエールだ。20歳ではあるが、お酒になれてないことはバレバレだったようだ。その飲み物を飲んですぐに亮太は寝てしまった。まさか思い込みだけで酔うとは。
「お友達寝ちゃったね?」
「あの、みきじゃなくてミサさん。いつからここに?」
「彩花が生まれて1年たったくらいだから、7年間くらいかな。」
「あの、お、、、。」
お父さんはと聞こうとしたが、なぜか俺は聞くことはできなかった。きっと俺が立ち入っていい問題ではないとそう感じた。
「優斗君は、彩花の事好き?」
「好きですよ、生意気なところはどうかと思いますけど。」
「うーん、周りの大人には普段礼儀正しいんだけど。
でもそっか、優斗君ってあの人に似てるから。」
「あの人?」
「ううん、何でも無い。そろそろ帰る?あんまり長いすると高額になっちゃうし。」
「それは大変ですね、早く帰らないと。」
こうして、俺は亮太を背負い、夜の町を歩く。亮太を家まで送り届けて、俺は自分の家に帰った。すると、そこには隣の家の前で待つ女の子が1人。
「彩花ちゃん、今日もお母さん待ってるのか?」
「は?違うわよ。
涼みに外に出てるだけ。」
うーん、今日はどちらかというと寒い日だと思うんだけど。
「分かった。俺も待つよ。」
「頼んでないし、よっぽど暇なのね。分かった、ウチに入れてあげる。」
俺は試しに父親の事に聞いてみた。なるべく核心をつかないように。
「お父さんってどんな人なんだ?」
「うーん、おっちょこちょいのお人好しかな。
いつもママに怒られてばっかりで、でも優しいから結局は許すしかないみたいな。」
「そう、なんだ。」
「まぁママから聞いた話だけど。
私のパパ、私が1歳の頃に死んじゃったらしいの。」
「ご、ごめん。変なこと聞いちゃって。」
「良いわよ、別に。
でもそうね、もしパパがいたら、、、。」
彩花ちゃんは俺の顔をまじまじと見つめる。
「どうしたの?」
「別に、なんでもないわよ。」
次の日の夕方、河瀬 美紀さんは息を引き取った。交通事故だったらしい。俺と彩花ちゃんが病院にいった時にはもう手遅れだった。目の前で亡くなる姿をただみていることしかできなかった。
そして、1ヶ月後。
「ちょっと優斗、まだー?」
「ご、ごめんちょっと待って。」
「もう、私の保護者になるって言った割にこれじゃあ立場が逆じゃない。」
「いや、俺は伸びしろしかないから。これからスーパーお父さんになるし。」
「なにそれ?それに優斗はお父さんっていうよりダメな兄って感じ。」
「く、反論できない。」
「でも、、、、私を引き取るって言ってくれて嬉しかった。」
「え?」
「な、なんでもない。」
こうして俺と彩花ちゃんの2人の生活が始まった。
何か、法律的に危ない感じになってきましたが次からはちゃんと年齢が上がった時の話になるので大丈夫なはず、です。