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最終話 嘘みたいに幸せな結末

最終回です。ブックマークと評価、よろしくお願いします。

「結婚式って、一体私だれと結婚するんですか?」



「えーっと、確かお相手は新垣 海斗さん。」



「ガッキー?な、なんでそんなことに。」



ガチャ。

扉が開き、杖を持ったおじいさんが部屋に入ってくる。

「おお!さすがワシの孫じゃ。綺麗じゃぞ、彩花。」



「私のおじいさん。」


ていうことはこの人が神田 英真。


「あの、私結婚なんて。」



「鈴木 優斗といったかの。最近世の中物騒じゃからのー、市民のために働く彼には是非仕事を

 全うしてほしいのだが。」



「な、それは脅しのつもりですか?」



「いやいや、ただの心配じゃ。沙也加とかいう君のおばさんのように入院するはめになっては大

 変じゃしの。」



「おばさんに何を、、、。わ、分かりました。式場に向かいます。」



「おお!素直な孫でよかったわい。それじゃあワシは先に向かっておるからの。」



英真が出ていき、私は椅子に腰を下ろす。状況は最悪、もうどうすることもできない。

私はこのままガッキーと。




私は一歩また一歩と式場までの道のりを歩く。

きっとこれからは英真の言いなり。私はとことん家族運がないみたい。でも、沙也加さんや信輔さんたち、そして優斗のためになるのなら、私はどんなことでも耐え抜いてみせる。

私に力を貸して、お母さん、お父さん。




華やかの音楽とともに、私はそこに足を踏み入れる。

見たこともないひとたちが拍手喝采で私を出迎える。神父さんの前にはすでにガッキーの姿が。


私はガッキーの元まで行き、小声で話す。

「ごめんね、巻き込んじゃって。」



「まさか結婚とはね。(告白すらできてないのに。)」



「私、どうすることもできなかった。」



「僕もだ。反対はしたんだが、父さんの意向には逆らえなくてね。」



「そっか。これからよろしくね、海斗君。」



「へ?あ、ああ。よ、よろしくあ、あ、河瀬。」



「もう、名字は変わるんだよ。」



「そ、そうだよな。

 (遅いな、なにやってるんだ香坂のやつ。)」



「え?何か言った?」



「いいや、何も。」



神父の人が誓いの言葉を話し始める。


「新郎海斗どの、あなたは彩花どのを妻とし、健やかなる時も病める時も彩花どのを愛すると誓

 いますか?」



「ち、誓います!」



「新婦彩花どの、あなたは海斗どのを夫とし、健やかなる時も病める時も海斗どのを愛すると誓

 いますか?」



「ち、誓いま、、、。」


その時、それ以上言葉が出てこなかった。



「んん、まぁいいでしょう。それでは誓いのキスを。」



ん?海斗君が固まってる。やっぱり恥ずかしいのかな。それとも私と結婚するのが嫌なのかな。私も海斗君には悪いけど、結婚したい人は別にいる。その願いは絶対叶わないけど。



バンッ。

勢いよく扉が開かれる。

そこに居たのは、白いスーツに身を包み、息を切らし、汗もびっしょりな優斗が。

「その結婚、ちょっと待っ、、ごほ、ぐ。

 やべ、息が。」


息を整え、もう一度。


「その結婚、ちょっと待ったーーーー。」



その場の全員が思った。「いや、言い直すんかい!」と。


優斗は私の元まで来て、手を掴む。

海斗君に頭を下げ、私を連れて行こうとする。


「ちょっと待って。どうして優斗がここに?」



「事情は後、早くここから出よう。」



「待って私はこのまま海斗君と。」



「嫌だ。」



「え?」



「俺が嫌なんだよ。俺は彩花ちゃん、いや彩花のことが好きだから。」



「え、えぇぇぇぇ。

 そ、それって本気で言ってるの?」



「当たり前だろ、そうじゃなきゃこんなことしない。」



「でも私、、、。」



コツコツ。

「ちょっと待って貰おうか。今は二人の結婚式邪魔立ては。」



「父さん、まさか僕を出し抜くとはね。」



「な、信輔。どうしてここに。」



「香坂 きらりという女の子にあなたの企みは聞きました。」



「もう、あなたは終わりです。

 英真、君は我が会社を首にする。」



「そ、そんな事が可能だと?」



「ええ、ここにあなたが今までしてきた脱税の証拠があります。

 まぁ、もしあなたがこれ以上悪さをするというのなら警察に送らせていただきますが。」



「く、貴様。神田グループをどうするつもりじゃ。」



「はい、私の後はそこにいる優斗君に継いで貰います。」



ゆ、優斗が?

優斗の方を見てみると、明らかに驚いていて、身体が震えている。聞かされて無かったんだ。



「血のつながりのないものには神田家を任せられん。」



「そうでしょうか?私は彼には素質があると思います。他人の子供さえも思いやれる心、そして

 ここまで来るほどの行動力、そしてなにより僕は彼が好きです。」



「き、貴様ぁぁぁ。」



そして、英真は黒服の人たちに連れて行かれた。







式場を片付け、服を着替えた後、私たちは家へと帰る。

車で送ってくれると言われたが、電車で帰ることにした。二人で話すことがたくさんある。


「どうやって結婚のことを知ったの?」



「きらりちゃんに教えて貰って、新垣君や信輔さんに協力して貰ったんだ。」



「そっか。」



「でも、まさか俺を跡継ぎにする気でいるとは。」



「ふふ、帰りにもさりげなく誘われてたよね。」



「まぁあくまでやる気があるのならって感じだったけど。

 どうしたもんか。」




そうして私たちは家の近くの公園に寄ることに。私達はブランコに座り、話を始める。

「あの、さっきの言葉って。」



「嘘じゃない、でも。

 言い直してもいいか?」



「う、うん。」



優斗は立ち上がり、私の前に跪く。


「俺の願いは彩花と一秒でも長く一緒にいることだ。俺と結婚してくれませんか?」


その目には決意と優しさが宿っていた。


「はい!喜んで!」






そのまま私たちは手を取り合い、家へと帰る。

「優斗と信輔さんってちょっと似てるかも。

 社長、向いてるんじゃない?」



「え?似てるってどこが?」



告白の言葉、まさか私自身に向けて言ってもらえるなんて。今度聞かせにいかなくちゃ。



「お、おい。なんで黙ってるんだよ。」



「ないしょー。」



「えぇぇぇぇ。」







そして、10年後。


「いってきまーす。」



「いってらっしゃい。」



「今日はご飯どうする?」



「あー、今日は香坂社長との会食あるからいいや。」



バタバタバタ。


「おとうさーん、もうお仕事いっちゃうの?」



「ああ、ごめんな美樹。

 お母さんのいうこと聞いて良い子にしててな。」



「はーい。

 あ、お父さんしゃがんで。」



「お、おお。」



チュッ。


「いってらっしゃい。」



「よっしゃー。やる気出てきたー。

 いってきまーーーーーす。」



ガチャ。



「もう、ほんとお父さんは美樹には弱いんだから。」






そう、娘に優しくすると、綺麗なお母さんとお近づきになれるというのはただの妄想だった。

俺はその娘と結婚し、美樹という宝物を授かった。



美樹さん、聡さん。俺、必ず二人を幸せにしてみせます。


この「娘に優しくしたら、綺麗なお母さんとお近づきになれるというのはただの妄想でした」を読んでいただき、ありがとうございました。前作が想像以上に長くなってしまったので、今回はコンパクトに終わらせたいと思い、10話で完結まで持っていくことができました。色々ありましたが、二人が幸せな結末を迎えられて本当に良かったです。これからもこの作品を好きでいてくださると嬉しいです。以上、和の心でした。

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