08 聞き耳
『どうすんのよ、あの娘』
女の声。
『アレはどうとでもなるさ』
男の声、ってアレって私のことかよ。
『何であの娘がコレを持ってたわけ?』
コレってたぶん短刀のことだよね。
『知るかよ、そんなこと』
私だって知らないわよ、なんでこんなことになっちゃったかなんて。
『これからどうするのよ』
ホント、どうされちゃうんだろ。
『せっかく手に入れた組織だぜ、有効に使わせてもらうさ』
組織?
『あの女に気付かれたらヤバいんじゃないの』
あの女?
『アイツがコレを手放すわけ無いんだから、コレがここに有るってことは……』
あるってことはなによ。
『やっぱり死んでるってことなのかしら』
ちょっと話を整理してみる。
あの女っていうのは、たぶんニィニに短刀を渡したお姉さんのこと。
で、コイツらはお姉さんが死んだと思ってる。
お姉さんが実は生きてて、ニィニに短刀を渡したことを知らないってことは、
私が黙っていれば、ニィニは安全だ。
私の状況はひどいもんだけど、なんだか安心しちゃった。
よし、覚悟決めた。
乙女の底力、舐めんじゃないわよっ。
『なんか臭いけど、お前香水付け過ぎなんじゃ』
『なにそれ、任務中に香水なんて付けないわよ』
『な ん だ こ れ』
『……』
『……』
確かに、変な香りがする。
なんか、ね む い