04 ゴンザ
うん、まずは気を取り直してっと。
「ほら、さっさと行こう」
「どこへさ」
「ゴンザのとこに決まってるでしょ」
ゴンザんちは武器屋さん。
大きい店じゃないけど、この街でも知る人ぞ知る銘店ってとこかな。
幼なじみのゴンザも私たちと一緒に冒険者を目指していたけど、
成人の儀の固有スキルチェックで『鑑定+』って出ちゃって、冒険者諦めて実家のお店を継いじゃったのね。
ゴンザの『鑑定+』は普通の『鑑定』より細かいとこまで分かるから、この短刀からもなにか分かるんじゃないかってわけよ。
「それならそうと先に言ってほしいよ」
うるさい駄目ニィニッ、あなたがうじうじしてるから私ががんばんなきゃいけなくなっちゃうんでしょ。
はい、着きました。
ここがゴンザのお店、ゴンザいるかな。
「こんにちは」
「なんだよ、ふたりしてまたデートかよ」
ゴンザ、後でシメる。
「そういうこと言っちゃって良いのかな、ゴンザ君」
「どしたのアニーニ、なんかマリオネがいつにも増して変なんだけど」
「ごめんゴンザ、ちょっとだけ付き合ってあげてよ」
コイツら、後でシメる。
「コレを見てもっ、そんなのんきなことっ、言ってられるのかなっ、ゴンザ君ッ」
短刀を見たとたん、のんきしてたゴンザの顔色が変わった。
なんか、取り憑かれたみたいになって見てる。
ちょっと、怖い。
「お前ら、コレどうしたのさ」
なんかゴンザの手、震えてるんですけど。
「ゴンザこそ、いきなりどうしちゃったのよ」
「ちょっと、こっち来い」
ゴンザが、お店の玄関のプレートを『準備中』に変えて、
私たちを店の奥へと案内した。