11 お姉さん
ようやく落ち着いた私に、お姉さんがいろいろ説明してくれた。
例の里で育って就職したお姉さん、
いろいろあって里からも職場からも追われることになって、
今は流浪の野営暮らしなんだって。
「私の不注意であなたにもあの子にも迷惑かけることになって本当にごめんなさい」
お姉さんは真剣に謝罪してくれているんだけど、
その声を聞いてるとなんだか何もかもどうでもよくなっちゃう。
もしかして魔法とかスキルなのかも知れないけど、
それすらもどうでもよくなるのですよ。
「あなたを捕まえていた連中はもう何も出来ないから心配しないで」
うん、お姉さんがなにしてきたかなんてホントどうでもいいよ。
もう心配いらないって言ってもらえればそれだけでいいよ。
「迷惑かけちゃうから『黒縁』は返してもらうわね」
「代わりに良いもの入れておくからみんなで仲良く使ってちょうだい」
いいですよお姉さん、お気遣いなく。
そんなことしてもらわなくても、ニィニと私ってずっと仲良しなんですよ。
「そろそろ行きましょうか、彼が戻ってくる前に街まで送り届けないとね」
おっと爆弾発言です、彼ですってよニィニさん。
これで私の冒険者ライフと人生設計は安心ってもんですよ。
安心したら、
なんだか、
ね む い




