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Promessa di duo―太陽ト月―  作者: 俺夢ZUN
第1楽章 少年少女解明編
13/40

Ⅺ.狂気の鷹‐Kaname Lihall‐


 全てを偽ってでも、守りたいモノがある。

  それが、私たちの真実。


 命懸けの悲哀恋歌は、まだ始まったばかり。

  これからが、本当の私たちの物語の始まりだった――。




「ふぅん……。 あの子達、やっと自分から話したんだ?」


 裏警察(シークレット・ヤード)の執務室に、グレイとグレア、そして、サンと明日歌が居た。


 ミオンとリオンは、副業のバイト中である。

「裏の世界だけじゃなく、表の世界の事を勉強する為に」と言う目的で、12歳の頃から週に2日、3時間だけミオンとリオンは仕立屋でアルバイトをしている。

 ちなみに、それを斡旋したのは言うまでもなく、グレイである。

 当然、その仕立て屋の店主である双子も裏社会の人間(リバーシ)で、いつぞやの夜会の時に弥王を淑女に、璃王をルカちゃん人形にしたのも、そこの店主であるバートン姉妹だ。


 グレイは、特にこれと言って驚いた様子を見せずに言った。

 グレアはグレイに、昨日の任務の報告ついでに弥王達が自分の正体を明かした事を話したのだ。


「お前は、知っていたみたいだが……話さなかったのには、何か訳でもあるのか?」


 澄まし顔のグレイに、グレアは問う。

 当時、グレイとグレアは身分的にはそんなに大差はなかった。 まぁ、兄妹仲は悪かったかもしれないが。

 それなのに、グレイだけが彼女達の素性を知っていて、自分には一言もなかった事に疑問を抱いていたのだ。


 グレイは「べっつにー」と投げやりに答える。


「ただ、ミオンが言い出したんだよ。

『こんな壊滅的に低い声で「女です」なんて言われても、オカマだと思われて終わりじゃないか』ってさ。

 ミオン、余程声の事気にしてるみたいだからねー。 特に、王宮に来て一年は本当に問題児だったし。

 それに、グレアもずっと学校に引き籠って王宮に帰ってこなかったじゃん?

 先代も「彼奴帰ってこないし、言わなくていいんじゃね?」みたいな判断してたから、まぁ、言わなくていっか、ってね。

 それにまぁ、ミオンも初恋の相手に変わり果てた姿を見せたくなかったっぽいし?」


 最後の一言は、独り言として小さく呟かれた物なので、グレアには聞こえなかった。

「何か言ったか?」と訊いたグレアに対して「べっつにー」と返す、グレイ。


「そう言えば……さっきの報告の話に戻るけど、報告にあった「サン・エデン」と「ジン・エデン」は、何処にいるの?」


 脱線した話を戻して、グレイは辺りを見回しながら訊いた。

 すると、グレイの後ろから、サンが声を掛ける。


「はい、ここに居ます」

「あー、君が!

 噂は聞いた事あるけど、本当にミオンと変わらないくらいなんだね?」


 噂――サンの通り名である「真紅の旋風」の噂の事だろう。

 それを聞いたサンは、複雑な表情を浮かべた。


 いつしか呼ばれ出したその名は、サンにとって耳障りな言葉でしかない。

 自分の姿を見た人間は声を恐怖に染め、その顔に絶望の色を浮かべ、畏怖して叫ぶのだ。

――「真紅の旋風がきた」と。


 その声がもう、何千回と耳を通り抜けてきた為に、鼓膜には恐怖した声が縫い付けられているかのように定着している。

 それは時に、サンに辛い幻聴を聞かせるのだ。

 断末魔に似たような幻聴を……。


「……オレは……」


 やっと言葉が出てきたが、それ以上は喉がつっかえて出てこない。

 失礼な事をしている自覚はあるが、どうしても次の言葉が出ないのだ。

 そんなサンの心境を理解したのだろう、彼女の頭を撫でて、グレイは言った。


「何も言わなくて良いよ、ごめん。 ちょっと無神経だったね。

 グレアやリオンから詳細は聞いてるから。 大変だったね」


 グレイは、サンに謝罪する。 先程の言葉が不適切であった事に気付いたのだ。

 サンは首を振った。


「いえ……。 オレの方は全然……」

「それで、どうするんだ?

 まさか、裏警察に引き入れるとか言うんじゃないだろうな?」


 グレアがグレイに、サンとジンの処遇を問う。


 流石のグレアも、サンとジンのこれまでの事を考えたら「裏警察に引き入れる」なんて事は考えられなかった。

 グレイは考える素振りを見せる。


「うーん。 出来れば、裏警察の人員補充はしたいけど……流石のボクも、彼女達に「是非、裏警察に入れ!」とは言えないね。

 まずは、マーナの所で精神状態を回復して貰って、それから里親を捜す方向で考えてるけど……君はどう?」

「え?」


 グレイに突然話を振られたサンは、素っ頓狂な声を上げた。 グレイの話を半分聞き逃していたようだ。

 グレイは微笑むと、サンに言う。


「えーと、裏警察に入るか、それとも、里親を捜すか。

 本来は呪幻術師(ユリア)幻奏術師(アウラ)なんかの「裏社会の力」を持つ人間は、裏社会で過ごす事が暗黙のルールになってるんだけど、君は自分の意思でそれを使ったワケじゃないから、君の呪幻術を封じれば君は、表社会で生きる事も出来るよ。

 ただし、二度とその力は使えないけどね。

 流石に、こう言うのはボクが勝手に決めて良い事じゃないからさ。

 君はどっちに居たい?」


 サンは考えた。


 裏社会には、好きで入った訳じゃなかった。成り行きで、強制的に入らされた物だ。

 呪幻術だって、実験の為に無理矢理契約を結ばされて、適応しない属性の精霊との契約で、日常生活にも支障が出てしまうようになった。


 可能であれば裏社会(そこ)から抜け出したいと、つい一昨日まで――否、弥王が襲撃してくる寸前まで思っていたのだ。

 しかし、弥王が襲撃してきて、彼女と出逢った事で――厳密には、彼女の力を目の当たりにした事で、彼女に強く興味を惹かれた。

 初めて心の底から「戦ってみたい」と――「彼女の力を見てみたい」と思えたのだ。

 そして、彼女の事を知りたいとも思った。

 だから――。


 そんな事を考えている間に、口から答えは出ていた。


「オレ……ミオンさんに初めて会った時、強く憧れました。

 だから……ここで、ミオンさんと一緒に戦っていきたい」


 サンの話を聞いたグレアは、少しだけ驚いた。


 普通なら、もう二度と裏社会へ戻りたくないと思う筈だが、サンは寧ろ、弥王と戦う事を選んだ。

 それが、グレアには驚きだったのだ。

 同時に弥王の影響力にも目を瞠る。

 璃王にしろ、明日歌にしろ、弥王に対して絶大な信頼と忠誠心を持っているのだ。

 それは、弥王の傍に居て、何処か安らいでいるようにも見える璃王の表情や安堵しているような明日歌の表情から分かる。


 グレイは何となく解っていたのか、微笑んで頷いた。


「解った。

 じゃあ、君は今日から、「裏警察(シークレット・ヤード)」の「真紅の旋風」だ。

 大丈夫、非人道的な実験をしたり、無意味な殺戮をするワケじゃないから。

 胸を張って、その通り名を名乗りな」


 グレイの言葉に、サンは大きく頷いた。


 不思議と、同じ「真紅の旋風」でも、「エデンカンパニー」の「真紅の旋風」より、「裏警察」の「真紅の旋風」の方が、何だか気分が違う。

 それはきっと、自分がその道を選んだからなのだろうか。

 ずっと重く淀んでいた気持ちが、少しは軽くなった様な気がする。


 そんな事を思っていたサンに、グレイは問う。


「他に何か言っておく事はある?」


 グレイの質問にサンは暫し、考えた。


 ――あぁ、どうせなら、名前も新しくしたいな。


 サンは口を開く。


「えぇっと……じゃあ、名前を改名したいです」

「えぇ? どうして?

 “サン”って良い名前だと思うけど?」


 グレイの言葉に、サンは首を振った。


「当分の間……そう、今までの過去が「悪夢だった」と思えるようになるまでは、「サン・エデン」は死んだ事にしておきたいんです。

 じゃないと、また、ミオンさんと出会う前の自分に戻ってしまいそうで……」


 俯いて、サンは言った。


 新しく決意をしても、何処かで歪んでしまったら意味がない。

 なら、名前を変えて、常に気を引き締められるようにしよう。


 その言葉を聞いたグレイは、頷く。


「好きにしたらいいよ。

 それで、名前は決まってるの?」

「はい。

 名前は……J・クレッジェ。

「J」はジンの頭文字、「クレッジェ」は、ジョージ・エデンに引き取られる前の旧姓だ」

「……うん、良いと思うよ」


 サン改めJ・クレッジェは、躊躇わずに名乗った。

 その名前にグレイは頷いた。


「サン・エデン」を名乗ることがあるとすればそれは、命の限りミオンさんと共に戦い抜いて、悔いなく死んだ時だろう。

 それまでは、J・クレッジェとして生き抜くんだ。


 ―― ――



 ―― ――


「そう言えば、もうすぐだね。 ミオンとリオンの誕生日」


 夕食の席で、グレイは唐突にそんな事を話題にした。


 基本的に夕食は、全員が揃っている時は弥王と璃王が交代で作っている。

 特務侍女になる身として、何一つ疎かにしない、と言うのは、璃王の拘りだった。

 そして、それを見様見真似でやっているのが弥王だ。


 ちなみに、バラバラの時は各自で作るなり、食べなかったりしている。

 今日はグレイが来ている事もあり、弥王と璃王が作ったのだ。


「あぁ、そうか。

 あまり気にしていなかったから、忘れる所だった」


 グレイの呟きを拾ったグレアが、今思い出したかのように言う。

 当然、入隊して日の浅い明日歌とJは、二人の誕生日の事は知らない。まさに、寝耳に水の状態だった。


「えぇっ、ミオンさん、それを早く言ってくれよ!」

「ん? あー……うん」


 弥王の誕生日の事を聞いたJが焦ったように言った事に対し、弥王は何とも薄っぺらい生返事のような返事を返す。

 どうやら、弥王は自分の誕生日には1ミリも興味がないらしい。

 誕生日の話題が出た弥王は、死んだ魚の様な目をしていた。


「み……弥王様は何歳になるの?」


 あまりの薄っぺらい反応に苦笑しながら、明日歌が訊く。

 すると、弥王から返ってきたのは、この言葉だ。


「んー……何歳だっけ?」

「14だろ」

「14でしょ」


 宙を見ながら呆けたような事を言った弥王に対し、璃王とグレイが透かさず突っ込む。


「へー、そうなんだ」

「年齢くらい、ちゃんと数えとけよ」


 サラダを頬張りながら興味なさげに相槌を打つ弥王に、璃王は呆れた様に言った。


 弥王が誕生日をトラウマに思っているのは分かる。

 しかし、年齢を忘れるとは一体、どういうことだ。

 璃王は、額を押さえた。


 そのやり取りを見て、グレアと明日歌、Jは苦笑する。

 まるで、段々と呆けてきた母親と娘みたいな会話だ。


「そう言えば、璃王と女王陛下ももうすぐですよね、誕生日」

「女王陛下も!?」


 弥王の言葉に、Jは驚いた声を上げた。

 実を言うと、弥王と璃王、グレイは12月24日が誕生日の為、誕生日が同じである。


 何故、自分の誕生日は忘れていて、璃王とグレイの誕生日だけは覚えているのだろうか。

 この疑問は璃王とグレイ以外が思った事だが、誰も口にしなかった。


「まぁ、そうだね。うん、ボクも同じ12月24日。

 凄い偶然だよねー。

 あと、グレアももうすぐで23だねー」

「おい、何もここで年齢暴露する事ないだろ」

「えっ!?」


 グレイとグレアのやり取りを聞いていた全員が驚きの声を上げた。

 どうやら、グレアの年齢を今、初めて知ったらしい。


 新参の明日歌やJはともかく、弥王と璃王は何故、彼の年齢を知らないのか。

 それは、グレアが自分の情報を一切、弥王と璃王に開示していないからである。

 二人も特にその話題には触れていなかったので、無理もない。

 そもそも、3人が3人「何歳なのー?」「俺達は14っスー!」「おー若いなー」「公爵は何歳っスか?」「23だ」なんて会話をするようなタイプではなかった。

 グレアの方は、二人が入隊した後でグレイから送られてきたデータで、二人の情報は確認済みではあったのだが。


「ど……どうした?

 そんなに意外だったか……?」


 グレイ以外の全員があまりに素っ頓狂な反応をするので、逆にグレアは目を見開いてギョッとしたような反応をする。

 そんなに驚かれるとは思わないだろうが。

 頷いた彼女らは口々に言った。


「20終わりだと思った」

「30前半」

「まだ、20くらいだと……」

「10代後半くらい……?」


 璃王、J、弥王、明日歌の年齢予想に、グレアは苦笑しかできない。

 何故、こんなに予想年齢にバラつきがあるんだ? と思ったが、璃王とJの予想は恐らく、冗談だろう。


 実年齢よりも下に見られる事はあっても、上に見られた事はないし、何より、璃王の顔がニヤけている所を見る辺り、からかっているように見受けられる。

 Jは割りかし本気で言ってそうではあるが。


 全員が違う年齢を言うもんだから、グレイは笑いを堪えていた。

 どうやら、璃王とJの予想年齢がツボったらしい。


「……神谷とクレッジェは取り敢えず、減給な」

「えぇっ!」

「それを職権乱用という。

 まぁ、ガチで減給しよう物なら、女王陛下に密告するまでだが」


 グレアの言葉に焦った様に声を上げるJに反して、璃王は居たって冷静に言った。


「ちなみに、Jの誕生日はいつ?」

「9月9日」

「あー、もう終わったんだ。

 明日歌は?」

「12月20日です」


 グレアと璃王を置き去りに、グレイはJと明日歌にそれぞれ、話を振る。

 話を振られたJと明日歌は、自分たちの誕生日を答えた。


 何気に12月率が高いのは気にしない。 気にしてはならないのだ。

 そこまでメタイ話を、作者は致しません。


「ふむ、明日歌の誕生日もまだなのか。

 じゃあさ、クリスマスももうすぐだし、クリスマスと誕生日、一緒に祝おうか!

 その名も、バースデークリスマス!!」

「いいですね、それ!」

「賛成ッす!」


 グレイが「これ、名案!」とばかりに提案した企画に、弥王とJが賛同する。

 クリスマスの夜会は嫌いだが、ホームパーティーのようなイベント事は好きな、グレイ。

 彼女を中心に、裏警察でイベントが発生した。


 その様子を「やれやれ」と肩を竦めて、グレアと璃王は見ていた。


 ―― ――


 ―― ――


 そして、あれよあれよという間に計画が立てられ、準備が進み――12月24日。

 「バースデークリスマス」とグレイによって名付けられた謎のイベントは、クラッカーの音と共に開催された。

 開催場所は勿論、裏警察(シークレット・ヤード)本部の2階会議室である。


「ハッピーバースデー・クリスマス~!」


 扉をブチ破る勢いで入ってきたグレイ。

 彼女は、いつもの黒尽くめの服に赤い三角帽子を被り、口には立派な白い付けひげ、片手に大きな袋を持っていた。

 その姿は、正に聖夜の覇者・サンタクロースである。

 そして、忘れてはいけない。 この方は一応、このグラン帝国の頂点に君臨する女王陛下だ。

 しかし、ノリノリな弥王とJ、明日歌を除いて、璃王とグレアは若干引き気味でそれを見ていた。


「……公爵。つかぬ事を聞くが、彼女は本物だよな?」

「間違いない、あの馬鹿は正真正銘、お前らの敬愛する女王陛下殿だよ。

 あの馬鹿さ加減は間違えようがない」

「俺、女王はもっとこう……威厳在る存在だと思ってたよ」

「言うな、虚しくなる」


 そんな会話をしながら、グレアと璃王は肩を竦めた。

 ミオンがああいう女王になったらどうしよう……嫌すぎる。

 グレイに影響されまくっている自分の主人の将来を心配する、璃王。

 あれでは、威厳もクソもない。


 そんな彼らの会話に、グレイが割り込んでくる。


「何何~? 何の話~?」


 小首を傾げて、グレアと璃王の会話に割り込んできたグレイに、言いようのない殺意を覚える、グレア。


 別に、璃王との会話を邪魔されたから殺意を覚えたんじゃない。

 頭のネジが、恐らく百本単位で何処かに飛んでしまったであろう、グレイの異常なテンションにウザさを感じた為に抱いた殺意である。

 グレアは心底思う。「こいつウゼー」。


 クリスマス……否、季節のイベント事という物は、ここまで人の頭のネジを飛ばす物か。

 それとも、グレイの頭のネジが元より緩いのか。

 どちらにせよ、現在のグレイは目も充てられない様なザマである。

 これが第26代目女王なのだから、この国も終わってる。


 国民が現在のグレイを見たならば、失笑所じゃ済まないのは容易に想像が付く。

 寧ろ、世界の終わりを告げられた修道女のような絶望的な顔で祈るだろう。

 ダメだ、そんな所想像もしたくない。


 グレアは内心、首を振る。


「お前に女王としての威厳も何も無いな、と言う話だ。

 そんな、アホ伯爵みたいな格好で……。

 国民が見たら、失笑するぞ」


 グレアの言った「アホ伯爵」とは、最近立ち上げられたばかりの国民的お笑い喜劇に出てくるネタの1つだ。

 白塗りのアホ面でボケを噛ます剽軽な伯爵をイメージしたキャラクター性で、老若男女問わず人気を集めている。

 まさに今のグレイそのものである。


 アホ伯爵は良いとして、苦笑するグレアをグレイは澄まし顔で見る。

 そして、人差し指を立てると、ゆっくりと左右に振った。


「甘いよ、グレア。

 威厳ばかりが頂点に立つ者に必要な物じゃないのさ」

「いや、その格好で言われても説得力の欠片もないぞ」


 ふふん、と腰に手を当て、薄い胸を張って言うグレイに、グレアは呆れた様に返す。

 しかし、彼女はそれを聞いていない。

 彼女の耳に自分の言葉が届いた試しはないので、今更だが。

 グレイは、グラスをマイクのように握り締めて、力説するように言った。


「頂点に立つ者に必要な物は、そう! 国民に対す愛情と親しみやすさ!

 政治家ご都合主義なんて、この時代には必要ないのだよ!

 これからは、国民の意見を中心に世界を変えていくべきなんだ!

 レッツ・民主主義!」

「……陛下が壊れた」

「言ってる事はまともなんだが、格好がな」


 グレイの演説に、璃王とグレアは遠くを見る様な目でグレイを見て、言った。

 これでも、この帝国を治めているのだから、王としての権威と実力はあるのだと思いたい。


「何て素晴らしい考え……!

 一生付いていきます、陛下ぁぁぁぁああ!」

「お前もかよッ!?」


 グレイの演説を聞いた弥王が感極まって、グレイを神でも崇めるかのような目で見ている。

 これでは、弥王が女王になった時、イリアがグランの傘下に入らないとも限らない。

 弥王が第二のグレイになってしまう……という悪夢のような状況を、死んだ魚のような眼で璃王は見ていた。


「つーかおい、まさかジュースの中にアルコールとか混ぜてないだろうな?」

「まさか。 未成年が多い場所でアルコールはわざわざ入れない。

 そもそも、私はアルコールに弱いから、シャンパンを仕入れた覚えはないぞ」


 グレイが、悪ノリと言うにはテンションが高すぎる事に疑問を持った璃王が、グレアに確認する。


 この国では、女子は16歳、男子は18歳で成人の為、今日で16歳であるグレイとグレア以外は未成年だ。

 そして、飲み物調達係をグレイに押し付けられたグレアは、飲み物は全てノンアルコールのジュースを用意していた。

 それは、未成年が多いからでもあるが、自身がアルコールに弱いからでもあった。

 その為、調達する時には、しつこい程に成分表を確認した。

 ならば、誰が?

 考え込んでいたら、グレイがカミングアウトした。


「あ、ボクがアルコール度の低い葡萄酒をジュースに混ぜて置いたんだ~」

「何やってんだよ、お前!?」


 グレイのカミングアウトに、グレアは思わず声を上げた。

 これまでの苦労が水の泡じゃないか!

 あんなに確認したのに!


「まぁまぁ、良いじゃん、たまにはさ!」

「いや、成人迎えたお前は良いだろうが、まだ未成年が4人居るのだが」

「固い事言わないよー。

 それに、アルコール混ぜたっても、お菓子に混ぜる程度だって!」


 至って正論を言うグレアを軽い口調で躱す、グレイ。


 そんな国王で本当に大丈夫か?と思うグレアだが、テンションが限界突破しているグレイに何を言っても無駄である。

 まぁ、お菓子に混ぜる程度なら、アルコールの度数もないに等しいだろうから目を瞑るか。

 ただし、良い子は決して真似をしないように。お酒は成人してからだよ!


 グレアとグレイがそんなやり取りをしている間、弥王と璃王と明日歌、Jが談笑をしていた。


「弥王様、璃王様。 お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう、明日歌」

「どーも」


 明日歌が弥王と璃王に声を掛けると、それぞれが反応する。

 お礼を言いながら、弥王は明日歌の頭を撫でた。


 弥王と璃王の素性を知ってからと言うモノ、明日歌は以前よりも二人に懐くようになった。

 特に、弥王にはよく懐いているようだ。

 それは恐らく、「異性」として意識していた分のストッパーが外れた事によるものなのだろう。

 好意を寄せているからこそ、一定の距離以上に近付けない、と言うのは、色恋沙汰においてはよくある事なのだ。


 撫でられた明日歌は、嬉しそうに頬を緩める。


 その時だった。

――ガッシャァァァン!


 突然、派手に窓が割れる音が会議室に響いた。

 パラパラと電気の光を反射したガラスを床に落としながら、床に座り込んだ紅い髪の少年がのっそりと立ち上がる。

 その様子を、豆鉄砲を喰らった鳩の様に驚愕した顔で呆然と見ていた弥王と璃王が、臨戦態勢に入った。


「ちゃーお。 こちら、裏警察(シークレット・ヤード)の本部で間違いないッスか?

 あぁ、初めまして、イリアで「狂気の鷹」と呼ばれている情報屋、カナメ・リハルッス」


 所謂パンク系……とでも言うべきか、ド派手な格好をした少年は、気怠げな口調で自己紹介をする。

 未だ状況を飲み込めない弥王と璃王以外の面々は、静止している。 正しくは、状況を理解しようとする事を途中で放棄しているようだ。

 カナメと名乗った少年は、深い緑の目をキョロキョロとさせ辺りを見回すと、困惑したように頬を掻いた。


「あー……何かのパーティー中?

 うわ、オレがKYみたいじゃね?」


 何てタイミングで突撃してしまったのだろうか。

 そう思った少年だが、軈て「まーいっか」と開き直る。

 細かい事は気にしない性分なのだろうか。


「でェ……裏警察のボスは……っと。

 あぁ、居た居た」


 今度は誰かを捜すように辺りを見回し始めたかと思うと、カナメと名乗った少年は、グレアを視界に入れると、ゆっくりと歩み寄る。

 そして、グレアの顔をマジマジと見つめだした。 何気に距離が近い。


「な……何だ?」

「ふぅん……どんな屈強な強面(こわもて)だと思ってたけど……。

 噂以上にキレーな顔してんじゃん?

 なるほど、なるほど。この顔だと、女誑しってのも納得だ。

 世の女が羨望し、嫉妬する美貌、ってヤツ?」


 グレアの問いには答えず、カナメは何かに納得すると、グレアから離れた。

 何なんだ、こいつ……と、カナメ以外の全員が、カナメのマイペースぶりに呆気に取られていると、カナメは徐にグレアの手を取り、その手の甲に軽く唇を落とした。


「な……っ!?」


 突然のカナメの行動に、弥王とグレアが、特に弥王があからさまに動揺する。

 そしてそれは、弥王の中で言いようのないムカツキに変わり、弥王はカナメとグレアを引き離すと、カナメに銃口を突き付けた。


「き、貴様、何のつもりだ!

 いきなり乱入してきたかと思えば、あんな至近距離で公爵にガンを飛ばした挙げ句、あ、ああ、あんな……っ!

 不躾にも程がある! 何処の無法地帯から出てきたら、あんな無礼三昧……ッ!」


 動揺を露わに糾弾する弥王の顔を覗き込むように見る、カナメ。

 特に弥王の言葉は気にしていない様で、カナメは考え込むように顎に手を当てると、軈て納得したように弥王を見る。

 その顔には、何かを察してからかう様に目を細めた、薄ら笑いを浮かべている。


「何、君?もしかして、ファブレット公爵の愛人か何か?」

「な……っ、ち、違う! とにかく、お引き取り願おうか!」

「そいつァ無理な相談だ」


 カナメのからかいに、弥王は動揺しながらキツイ口調で言う。

 ちなみに、カナメに性別が割れたのは、本日の弥王の衣装が女物だった為である。

「もう、裏警察内で素性を隠すこともしなくていいんだし、こういう時くらいはドレス着ても良いんじゃない? ていうか、着ないとイア姉さんが可哀想でしょー?」と、自分の事は棚上げでグレイに押し付けられたのだ。


 毎年、グレイの2番目の姉――グレイア・フィル・ハーウェストが、グレイの分は勿論だが、弥王や璃王の分のドレスも用意する。

 そして、身分や外見を偽っていた弥王や璃王は勿論、ドレスを着る事に激しく抵抗するグレイも、毎年贈られてくるドレスを着ようとしないのだ。


 弥王と璃王が珍しく女装しているのは置いておくとして、自分に対して銃口を突き付けてくる弥王をモノともせずに押し退けると、カナメはグレアの前で片膝を着いた。


「ファブレット公爵。 オレを裏警察(シークレット・ヤード)に置いて下さい」


 カナメの申し出に、グレアは勿論、グレイと弥王、璃王は驚愕に目を見開いた。


 まさかの志願者。しかも、二つ名があると言う事は、イリアではさぞかし有名な情報屋だったのだろう。

 そんな有望な人材が、自ら入隊を希望してくるとは珍しい。

 大抵、名のある情報屋や暗殺者(アサシン)、死宣告者なんかは“組織”と言うモノを嫌う傾向にある為、誘っても断られる事の方が多いのだ。


「前々から、裏警察(シークレット・ヤード)には興味がありやした。

 新しく即位した女王陛下ってのにも少しは興味を持っていた。

 しかし、さっきの演説を盗聴……聴いて、居ても立っても居られず、突然馳せ参じたまで。

 オレは出身はイリアだが、あんなクソッタレな君主に着くくらいなら、この国の女王に着いていきたいのさ」


 カナメの話を聞いて、グレアは困惑したようにグレイに視線を向ける。


 あぁ、確かにグレイは、綺麗事とも取れるような正論は言いましたとも。

 しかし、こんなアホ伯爵みたいな女王に付きたいなんて言ってくる情報屋は、いささか胡散臭いような気もする。


 本当に有能な情報屋なら「グレイ・ゼル・ファブレット」と言う人間が如何いう人間なのか、それこそ国民よりは分かっていそうなものだが。

 分かっていてグレイに付きたがっているのなら、それはもう「酔狂」としかいいようがない訳で。

 それはもう、詐欺師レベルで胡散臭い。


「ああ言ってるぞ、そんなアホみたいな格好をしてる場合じゃないだろ、グレイ」

「解ってるよ」


 グレアが肩を小突いてきたので、グレイはグレアを睨みながら、三角帽子と付け髭を外した。

 グレアとグレイは、神妙な面持ちで考える。


 弥王と璃王を受け入れた時は、グレイの紹介である事と、弥王と璃王が純粋に強くなりたいと思っていた事が解っていた為に簡単に受け入れたのだ。

 明日歌も、弥王の強い希望があった為に入れた訳だし、サンも元は保護対象者だったから。


 しかし、目の前のカナメとか言う情報屋は、意図が掴めない。

 その証拠に、璃王がカナメを警戒している様だ。 弥王も、腑に落ちていないようで、カナメを睨んでいる。


「こーしゃくの浮気者ー。 女誑しに飽きたらず、ゲイとかさいてー。

 エベレストで命綱無しのバンジージャンプしてこいよ、白髪ヤロー」


 不意に、璃王は場の空気を壊すようにグレアを冷やかした。

 少しだけ意識を無防備にしてカナメの心理を盗み見た璃王は、カナメがこれと言って危害のある様な事を考えている訳じゃないと判断したのだ。

 イリアの今の君主に反発しているのも、カナメの深層心理から分かる。

 その為、この場の空気を壊して少し緩くする必要があった。


 グレアを突然冷やかした璃王は、全員からの視線を浴びる。


 「神谷、お前……」


 突然、前触れもなしに冷やかされたグレアは、璃王を睨む。

 それもそうだろう。 女誑しまではまだ許せるが、事実無根であるゲイまで言われたのでは、黙っていられない。

 しかし、そんなグレアの視線を受けても、璃王はそれを鼻で笑う。


「弥王の心の声を代弁してやっただけだ。

 女誑しまでは良いが、男にまで言い寄られるって……弥王も立つ瀬がないな?」


「ククク」と喉を唸らせて笑う璃王の言葉に、今度はグレアは弥王を見る。

 その目は困惑とも取れるような目だった。

 そんな視線を浴びた弥王は、深い溜息を吐く。


「変な事を言ってからかわないで貰おうか、璃王。

 そして、璃王の戯れ言を真に受けないで貰おう。

 オレはそんな事を一ミリも思ってないし、それに、公爵が誰と居ようが、誰に何をされようが殺されないならオレには関係無い。

 少し体が冷えてきたので、オレは自室に戻らせて貰う」


 無意識に出てきたらしい弥王の声は、驚く程に冷たいモノだった。

 その声を聴いた璃王とグレアとカナメ以外は、思わず硬直する。


 それだけを言うと弥王は、振り返る事もなく両腕を抱えるように腕を組んで、会議室を出て行った。


「弥王さん!」


 弥王の後を、何かを察したJが追い掛けていく。

 その場には、気まずい空気が流れていた。


「まぁ、なんだ。

 このカナメって奴も、特に裏があって近付いてきている訳ではないみたいだ」


 その場の空気を取り繕うように、璃王は話題を変える。余計に空気を重くした事を後悔しているようだ。

 予想以上に、グレアの話題について弥王がナイーブ過ぎた。

 

 璃王の言葉に、我に返ったグレアはまた、思案する。


「だがなぁ。 今は情報屋よりも、死宣告者か暗殺者(アサシン)かまともな医者が欲しい所だ」

「まぁ、情報屋っぽいのは人手が足りてるし、医者はたしかにアレじゃあちょっと心許ないか……」


 グレアの言葉を拾った璃王は、頷く様に言った。


 一応、裏警察(シークレット・ヤード)には、女医が1人居る。 しかし、彼女はグレアの言う様にあまり、まともな感じの医者ではない。

 一言で言うなら、寧ろ病人。 酷い時は、患者より重症だ。

 なので、まともな医者を入れたい。

 死宣告者や暗殺者が欲しいのは、単純に人員不足だからである。

 裏警察はその性質上、慢性的に人員不足に陥るのだ。

 幾ら、少数の精鋭が居るとは言え、かといって弥王達ばかりに仕事を割り振る訳には行かない。


 体力が有り余っている時期とは言え、不眠不休で働かせるにはまだ、彼らは幼すぎるのだ。

 本人たちは――特に好戦的な璃王は「まだ行ける!」とか言って勝手に依頼書を持って行こうとするが、その璃王には、過重なストレスを掛けるのは良くない、と、璃王の主治医であるロランからドクターストップがかかっている。

 そう、患者よりも重症な真面でない医者から、だ。

 その為、少しでも強い伸びしろのありそうな死宣告者か暗殺者(アサシン)が欲しい。


 思案するグレアに、カナメは口を挟んだ。


「あー……言い忘れてたけど。

 オレ、職業柄狙われやすいから、戦術は勿論、裏工作や潜入活動なんかのちょっとヤバ目な仕事の技術もあるけど?

 あと、更に言うなら地と風の呪幻術師(ユリア)ッス」


 カナメの言葉に璃王はもしや、と思い、情報屋に関する情報を記憶から引っ張り出す。

 情報屋でありながら、死宣告者のような技術を持った、呪幻術師(ユリア)……。


 軈て、1人の情報屋の情報と、目の前の少年の情報が一致した。


「“狂気の鷹”……イリアで三年程前から、ちょこちょこ活躍しているランクS級の情報屋。

 死宣告者レベルだと、中級の真ん中か上辺りだったか。

 当初は“風の予言者”と呼ばれていたが、その高い情報把握能力と一級品と呼ばれる情報を持っている事から、マフィアや要人から命を狙われる事が多々あった為、ありとあらゆる戦闘技術を身に付けた変わり種……。

 確か、凶器持たせたら右に出るモノは居ないと言われている、結構危険な死宣告者。

 死体には、鷹に襲われた爪痕のような痕が残る事から、凶器と狂気を掛けて、“狂気の鷹”……だったか。

 こいつの強さは並みじゃねぇぞ。 多分、オレでも本気で掛からないと勝てねぇかもな。

 死宣告者として入れてやっても問題無いように思う。

 寧ろ、入りたいつってんなら、他のマフィアに取られる前に入れた方が良い」

「お前がそこまで言う程か……」


 璃王の話を聞いたグレアは、顎に手を当てて、頭を唸らせた。

 

 璃王はそれこそ、自分に不可能な事はない、と豪語するほどプライドが高い。

 それ故、多方面で他人の追随を許さないのだ。

 それは、自身の幼馴染である弥王に負ける事すら許せない程に。

 そんな璃王が、カナメに対してここまで言うとは。

 それは、璃王の性格を知るグレアにとって、考えるには十分だった。


 カナメはと言うと、璃王が開示した自分の情報を聞いて、目を瞠る。


「すげぇ……! オレと風の予言者が同一人物だと見破ったの、貴女が初めてだ!

 是非とも名前を……って、あ、貴女はッ!?」


 目を輝かせて璃王に近寄ってきたかと思えば、今度は別の事に驚いたらしいカナメは、璃王の顔をじっと見て、固まる。

 そして、その目にうっすらと涙の膜を張った。


「り、リオン様ッ! 本当にリオン・ヴェルベーラ様っ!?

 ご無事だったんッスね!」


 璃王の薄い肩を掴んで、カナメは感極まってポロリと涙を零した。

 しかし、璃王の方はカナメの事を知らないらしく、突然のカナメの態度の変化に困惑する。


「……誰?」

「覚えて……ないんッスか?

 オレですよ、昔、一緒にレンツィア様とグリエルモ卿に呪幻術の稽古を付けて貰っていた、カナメ・リハルっス。

 あぁ……と、カナメ・リハル・ヴァッカルっス。

 リオン様が幼少の頃、一緒に遊んだりもしていたんッスけど……覚えてませんかぃ?」


 カナメの言葉に、名前を記憶の中に探す。

 カナメ・リハル・ヴァッカル。 ミドルネームがあると言う事は、裏社会系貴族である可能性が高い。

 しかも、イリアの女王私騎士団「紅蓮の七騎士」の副団長である自分の師匠、レンツィア・ナポリターノと、私騎士団の訓練教官であるグリエルモ卿エンリル・リザが師匠と言う事は?


 リオンの中で、目の前の少年と、1人の“少女”の姿が一致する。


「あぁ……思い出した。 よく、イトアに喧嘩を売られていた……。

 随分と変わったな、カナ」

「あぁ、思い出しやしたかッ!?

 そうです、貴女の永遠の守護者、カナっス! 懐かしい名前……!

 あぁ、貴女様も随分と女らしくなって……!」


 カナメの言葉に璃王は苦笑した。


 あ、あれ? カナってこんな性格だったっけ?

 昔はもっとこう、かなーりドライでクッソ生意気だった気が……。

 自分の事も散々、ファザコンチビ呼ばわりしてきた記憶があるのだが。


 璃王は、昔の記憶を手繰り寄せようとする。

 が、今はどうでも良いか、と、記憶の蓋を閉じた。


「どうだろう、公爵。

 カナメを裏警察(シークレット・ヤード)に入れてやってくれないか?

 心配なら、俺の監視下においても良いし。 俺もちょうど、顎で使えるような部下が欲しかったところだしな。

 問題はないだろ?」

「良いだろう。

 お前の知り合いだというなら、問題はない」


 璃王の問い掛けにグレアは微笑んで頷いた。


 確かに、弥王だけに部下を与えて璃王には部下がいないとなると、不公平のような気もする。

 璃王にしてみれば、ちょうど良かったのかも知れない。


「その代わり、神月を入れる時に神南にも言ったが、リハルが問題を起こしたら、介錯なしの切腹だからな」

「ふはっ、鬼畜かよ」


 こうして璃王は、一人目の部下をゲットした。

 カナメ・リハル、ゲットだぜ。 何つって。

サン・エデン(J・クレッジェ/13)


誕生日:9月9日

星座:乙女座

血液型:B型

身長:165㎝

体重:55㎏


趣味:チャクラム弄り

特技:チャクラム

好き:ジン、弥王

嫌い:敵だと見做したもの、顔の痣

異名:真紅の旋風

武器:チャクラム・呪幻術


エデンカンパニーで人体実験を受けて、殺人マシーンとして育てられた少女。

人質に取られていた双子の弟・ジン・エデンを守るために非人道的な道を歩んでいた。

弥王と出逢い救われた時、弥王に強く惹かれて、彼についていこうと心に決める。

ロクな教養もない場所で育った為か、無作法さが目立つが、仲間に対しては優しく面倒見がいい一面を持つ。

子供を手懐ける事に関しては、保母並みなので、死宣告者なんか辞めて保母になればいいのに。

風と火の呪幻術を無理矢理組み込んだ呪幻術を得意とする。

火の属性に関しては、適正もないのに契約を交わした為、サラマンダーから祟られている。

頬の痣はその証。

サラマンダーから祟られている為、料理をしようとすると食材が消し炭になる。

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