Ⅷ.真紅旋風‐Than Eden‐
時に悪夢は、同じ夢を繰り返す。
きっと君も、同じ悪夢を見ているのだろう。
君を守るための殺戮を繰り返してた日々に、終止符が打たれようとしていた。
それは、あと数十分の出来事。
あの人に気が付いたら、助けを求めていた。
オレに手を伸ばしてくれた、悪夢の伯爵に――。
郊外の森を抜け、街の裏側を走っていると、暗がりの中から小さくはないが、大きくもない建物が見えてきた。
その建物の周りには、見張りが誰ひとりとして居ない。
“マフィアの根城”と言う割に、人の気配がしないその建物に違和感を覚える。
不審に思いながらも璃王は、建物を見上げて、言った。
「成る程な…… 廃れた工場をこっそり買い取って、根城にしていたのか」
「道理で、駄犬共はともかく、オレ達が気付かない筈だ。 盲点だったな」
璃王の呟きを拾い、弥王が肯定する。
そして、弥王は徐に足元に落ちている石ころを拾い上げると「璃王」と、名前を呼んだ。
何をするのだろう、と、明日歌は興味深げに弥王の行動を見ていると、次の弥王の行動に絶句する。
まず弥王は、拾った石を野球ボールを投げる様に構え、次に大きく腕を振りかぶると、そのまま、石を建物の窓に向かってぶん投げた。
ヒュンッ、と言う空を切る様な音が、静寂の闇の中へ消える。
「えっ!?」
明日歌が声を上げる頃には、綺麗な放物線を描いた石ころが建物の窓に見事命中した。 カシャーンと甲高い派手な音を立てると、窓は割れ、その次にはけたたましい警報が夜空を震わせる様に鳴り響いた。
「何人だと思う?」
「拉致被害者含め、150。 尤も生きていれば、の話だがな。
生きていなきゃ、5、6人くらいじゃないか?」
劈く警報の中、弥王は、璃王と明日歌に建物の中の人数を訊く。 璃王は即答した。
弥王と璃王の任務の時の恒例。
建物の中にいる構成員の人数を言って、一番近い数字を当てたら弥王が食事を奢る、というゲーム。
普通に考えたら「命を懸ける場で何を不謹慎な事をしているんだ!」と激昂モノだが、これは、二人にとっては、“無事に生きて帰る為の約束”なのだ。
つまり、“お前は俺に奢る約束があるんだから、絶対死ぬなよ”という事である。
明日歌も増えたので、今日からは“お前は俺達に”となる。
ちなみに、璃王が当てられなかった場合、食事は璃王の奢りだ。
璃王は隣の明日歌に「アスは建物の中に入っている人数、何人だと思う?」と訊く。
明日歌は答えた。
「えっ……と、20人くらい……でしょうか?」
当然、襲撃も任務も未経験な明日歌は、璃王の言った人数を参考に適当に答えているだけである。
「何かまた、少なくないか? 賭けに出ろよ、璃王。
明日歌も、もうちょいいって良いんだぞ?」
建物の中の人数構成を把握している弥王は、璃王と明日歌の回答に焦りながら、揺さぶりをかける。
その言葉の裏に「今月のオレの給料、食事に消すワケには……!」と言う本音が、璃王には見えた。
どうやら、大体近い様だ。
隣で弥王の言葉に揺らいで、数字を変更しようとしている明日歌に璃王は声を掛けると、明日歌の肩に手を回して肩を竦め、言った。
「アス、一つ言い忘れた事がある」
「は……はい?」
「“命乞いする貴族に情けなし”だ。
アレは、奴の“給料”という名の命乞いだから、気にするな」
「璃王ぉぉぉおお!」
璃王と明日歌のやり取りを聞いた弥王は、思わず叫んだ。
―― ――
―― ――
「……静か過ぎる」
建物の中に入ってから彼此、20分が経過していた。
最初に弥王が警報を鳴らしてから今まで、誰一人敵と遭遇していない。
それ所か、喧騒らしき声も足音も聞こえていないのだ。
璃王に至っては、焦げたような臭いと、先ほどまで戦闘でもあったかのような気配を感じている。
弥王が警報を鳴らしたのは、敵に警戒態勢を取らせ、なるべく固まって行動してもらう為だ。
そこを一網打尽にして、標的を抹殺する──と言うのが、弥王と璃王のデフォルトの戦闘方法だった。
呟いて、璃王は考える。
――何故だ? 警報鳴って、時間は大分過ぎた。
そろそろ、何かしらの攻撃があっても良い筈だ。
そこまで考えて、璃王はふと、一番面倒臭いパターンを想像した。
璃王、と、弥王が声を掛けてくる。
璃王は頷いた。
「あぁ、解ってる。 一番面倒なパターンだ。
俺達が来る前に、ここは陥落していた」
「え……」
璃王は、自分が辿り着いた結論を口にする。 すると、明日歌が驚愕したかの様に聞き返してきた。
そんな明日歌に説明するように璃王は言う。
「経緯は知らんが、襲撃を受けたのは間違いなさそうだな。
じゃなきゃ、警報鳴って時間経つのに、誰一人として出てこないのはおかしい。
それじゃあ、とんだ間抜け集団か頭がおかしい集団だ」
壁や床に目をやると、まだ真新しい戦闘痕が所々に残っていた。
呪幻術師との戦闘があったのだろう、所々にその残滓であろう術式が散らばっていた。
「見ろ」と、数メートル先に目をやった璃王が指を指して、弥王と明日歌に注意を促す。
璃王の視線の先には、不自然な焼死体が壁に凭れ掛かっていた。
それも、派手に燃えた様子なのに、死体の周りしか焦げた跡がない。
それを目撃した明日歌が「きゃ……っ!」と小さく声を上げて、弥王の背中に隠れる。
「……? 何で死体だけ焼けてんだ?
あと、死体の周りだけしか焦げてなくね?」
自分の背中に隠れた明日歌を気にする様子もなく、弥王は疑問を口にする。
しゃがみ込んだ璃王は、焼死体を見て、言った。
「人体発火したか、させられたかだろう。
炎の上級呪幻術だ。
人体発火つったら、聞き覚えがあるだろ。
お前の家系に扱う奴がいたんだから」
「あぁ、ハースト公爵のアレか!
……マジ? あれが、こうなんの?」
弥王は、過去に一度、イリアの軍事祭典で、人体発火の呪幻術を見た事があった。
その時は、術の発動は派手であったが、人が焦げるほどではなかったと思うが……。
「ハースト公爵のアレを制御なしでやったら、こうなる」
「マジかよ……」
にべもなく焼死体に向かって顎をしゃくる璃王の言葉に、幼少期の時の記憶にある人体発火と、今回、目の前にある焼死体を作るのに使われた術が同じだと聞いて、ギャップを感じた。
ガチで使ったら、こんな恐ろしい術だったのか……。
炎の呪幻術師が扱うという事は、ロランも扱えるという事か、絶対怒らせないでおこう。
そう、弥王は心に誓った。
そんな弥王の心情を置き去りに、見てみろ、と、璃王が焼死体の腕らしき物に触れて、言った。
「内臓はおろか、骨まで灰になっている。 殺ったのはやはり、呪幻術師で間違いないな。
それも、相当レベルが高い手練れだ。
普通はこうまでならねぇよ。
上級の呪幻術師でも、骨すら残さず焼くには半日は掛かる……と、言っていたな」
腕らしき物は、璃王が拾い上げるとボロッと崩れて、その形を無にした。
それを見て淡々と語る璃王に、弥王が思わず突っ込む。
「何で、お前はアッサリと死体触れるんだよ……」
「触れるんだから仕方ないだろ」
何食わぬ顔で焼死体を調べていた璃王に、弥王は呆れながら突っ込む。
幾ら死体を見慣れている……と言うか、死体製造機たる死宣告者とは言っても、進んで死体に触りたいとは思わない……と言うか、死体に躊躇いなく触れる勇気はない。
その弥王の言葉に、璃王はケロリとした声色で言った。
特に本人は、死体に触る事への躊躇いはないようだ。 そう言えば昔から璃王は、任務中に死体を見つけては呪幻術の練習とか言って、ゾンビを大量発生させてたような気がする、と、弥王は思い返す。
「流石、悪魔の猫……まさに“悪魔”だな」
「今、それ、関係ねぇだろ」
弥王の皮肉にも似た賞賛の言葉に、璃王は冷淡に返す。
璃王の異名である“悪魔の猫”の“悪魔”は、璃王が好戦的で、敵とあらば老若男女関係なく殺し、時には召された命を召喚して戦う事から来ている。
その肉体的・精神的苦痛は、弥王の見せる悪夢に匹敵するほどなので、弥王と共に「出会ったら、自害するか殺される方がマシな死宣告者ワースト1」にランクインしている。
そんな二人の会話を聞いていた明日歌は、その後ろでこんな事を思っていた。
(いつも、こんな感じなのかな……?)
弥王と璃王が、明日歌の緊張を解きほぐす為にやっているやり取りなのか、それとも、普段からこんな感じなのか……。
どちらにしても、少し緊張感がないから逆に、少し不安になってくる。
と、その時だった。
何かがヒュンヒュンと空を切りながら近付いてくる音が、弥王と璃王の耳に微かに聞こえた。
弥王が急ぎ振り返ると、明日歌の後ろから何かが飛んでくるのが見える。
「明日歌っ!」
名前を呼ぶが早いか、弥王は明日歌を押し倒す形で、緊急回避させた。
バランスを崩した弥王と明日歌はそのまま床に倒れるも、被害は弥王の仮面だけで済んだ様で、上体を起こした弥王が心配そうに明日歌を見下ろしていた。
「いつつ……大丈夫か、明日歌?」
「はい」
ぶつけたらしい頭を押さえながら、弥王は明日歌に手を差し出す。
返事をしながら明日歌は、その手を取った。
「外したか」
低い少女の声が聞こえて、璃王が声の方を見れば、璃王はその顔に驚きの表情を浮かべた。
「こいつは……!?」
璃王が驚いた様に声を張って、襲撃者を睨んでいる。
さっきの襲撃で自分も仮面を落としたらしく、璃王は黒猫の仮面を着けていなかった。
燃える様な紅いミディアムの髪に、光を宿さない、冷たいオレンジの目。 左頬には、炎の様な赤い痣がある。
年齢はおそらく、同い年か少し下くらいだろう。
マントで体が隠れている為、性別の判断が付かないが、声からして女だと思う。
左手には、燃え盛る紅蓮の炎を纏わせた小型のチャクラムを指に挟んで構えている。
彼女は、静かに呟いた。
「風神……」
「真紅の旋風……、なるほどな」
呟いた璃王は、目の前の襲撃者が死宣告者であり、呪幻術師であることを確認する。
極め付けは、炎を纏わせたチャクラムで、それを睨む様に注視していた。
璃王は、徐に口を開く。
「あの焼死体……人体発火させたのは、お前だな?
オレ達と大差ない歳に見える事を踏まえると、サラマンダーと契約したのは10年前……という事になるが……。
よく、あんな呪術を使おうと思ったな?」
人体発火の呪術は、下手をすれば術者をも巻き込む上級呪術であり、余程コントロール力に自信がないと発動しようとは思わない呪術だ。
上級呪術の為、習得には相当な長い時間が必要とされる。
習得した人間でさえも、自身に火の粉が降りかかってくることがあるというのに。
呆れた様に璃王が問えば、真紅の旋風、と呼ばれた少女は投げやりに言った。
「悪魔の猫は詮索が過ぎるな。 ……まぁ、良い。
どの道、ここで殺すんだ、冥土の土産に教えてやる。
あの死体は、オレが殺ったんじゃない……」
唇を噛み締めながら、真紅の旋風は最後の言葉を絞り出す様に言った。
彼女の脳裏には、彼らが乗り込んでくる30分前の光景が蘇る。
たった一人の青年に襲撃されて、仲間と共に迎え撃つが、自分を庇ったその仲間は、自分の代わりに灰になった。
襲撃してきた時の非情で冷たい声が、今でも鮮明に耳に残っている。
茶色の長髪と、友人を燃やし尽くした炎の様な真っ赤な目は、忘れられない。
刹那、真紅の旋風はその目に深い悲しみの色を宿したが、直ぐに目付きを鋭い物に変え、チャクラムを構える。
「あの隻眼野郎といい……どうせ狙いは、ジョージ・エデンだろ?」
辟易したような声を吐き出す。
「別に、あの野郎がどうなろうと知ったことじゃないが……今は虫の居所が悪い。
お前らはここで……Good-byeだ」
真紅の旋風は、手で弄んでいたチャクラムを投げる。 それと殆ど同時に呪術を発動した。
「真紅の旋風」
真紅の旋風の言葉にチャクラムが反応して、真っ赤な炎を纏って飛んでくる。
璃王は、自分に迫ってきたチャクラムを間一髪で身を逸らして紙一重で避けた。
それでも、執拗にチャクラムが向かって飛んできて、璃王は飛び退く。
その一瞬、炎の中のチャクラムに文字が彫られているのが見えた。 璃王はそれを見て、驚くと共に納得する。
「なるほどな……それで「真紅の旋風」か」
頷いた璃王が理解したのは、目の前の死宣告者の名前の由来。
先ほど、チャクラムが迫ってきた時に、炎の中のチャクラムに呪いが掛かっていた事に気が付いたのだ。
しかも、その呪いは炎系だけでなかった。
「彼奴……炎の精霊サラマンダーだけでなく、風の精霊シルフとも契約してて、一部しか見えなかったが、風と炎の呪術を組み合わせて術式を組むっつー暴挙をしてやがる」
「サラマンダーとシルフって……確か、相性悪いんじゃなかったか?」
璃王の独り言を拾った弥王がチャクラムを避けながら、璃王に確認する。 璃王は、弥王の言葉に頷いた。
風と炎は、風が炎を煽る為、炎が増大するだけで炎に風は効かない。 その為、相性が悪いのだ。
そんな相性の悪い二つの属性の術式を無理矢理組むと言うのは、火に油、 思春期に親の説教並の暴挙である。
「あの武器使われたら、近づけねぇぞ。
後ろから呪幻術ぶっ放すしかねぇ。
つってもまぁ、闇の呪幻術は触らねぇと使えねぇから、専ら地属性に依存する羽目になるが……ここで使ったら、生き埋めになるぞ」
璃王の説明に弥王は、それでも殺す事は余裕なんだから、闇の呪幻術師よりタチが悪い、と、内心で肩を竦める。
サラッと言ってはいるが、契約していなくて高度な術が使えるのだから、こいつは凄いよな。
「ヴァベーネ、それなら、近距離戦のお前は子爵を頼む。
──最近、ヤワな標的ばっかだったから腕が鈍っててさ。 ちょっと、射撃訓練でもさせてもらおうか」
璃王に明日歌を任せて、弥王は真紅の旋風が自分を標的に絞る様に挑発する。
「ナメるな!」
すると、表情こそは表に出ていないものの、弥王の挑発に苛ついた彼女は、弥王を標的に絞った。
チャクラムは、不規則な動きで弧を描くように弥王に迫ってくる。 弥王はそれを避ける間も無く、愛用の銃で撃ち落とした。
次々に迫ってくるチャクラムを撃ち落としていくと、弥王は真紅の旋風にその銃口を向けた。
これで終わりか──……。
自身の最期を悟った、その時だった。
オレンジの瞳から、照明に照らされて白銀に光る、玻璃色の液体が零れ落ちた。
脳裏には、自分が唯一“セカイ”だと信じた、片割れの姿。
別に、死を覚悟してなかったワケじゃない。
不本意にせよ、この日々から抜け出せるなら、と、選んだ道だ。 いつ死んでも後悔はない。
だけど──と、彼女は思う。
自分が居なくなったら、彼奴はどうなる?
自分が死ぬのはいい。 だけど、彼奴だけは──!
彼女の目に絶望が満ちた時、弥王は銃口を下ろした。
「弥王様!?」
コールサインで呼ぶ事も忘れ、明日歌が仰天した様に弥王を呼ぶ。
弥王は、そんな明日歌を制した。
「大丈夫だ。 どうやら、こいつと戦う必要はなさそうだ」
「え……? どうしてですか?」
弥王は、真紅の旋風に歩み寄りながら、言った。
「こいつはただ、大切なモノと引き換えに戦わされているだけの、ただの殺戮人形──昔のオレと同じだ」
弥王の言葉に、明日歌は「えっ……?」と、小さく驚きの声を漏らす。
弥王と璃王の脳裏には、遠くて近い、幼い日の記憶が浮かび上がっていた。
両親と引き離された、あの地獄の日々。
今でも忘れられない、あの日の記憶。
あの日々がなければ今頃、故郷で在るべき姿のまま、成るべく様にして生きていただろう。
しかし、あの日々が無ければ、こうして裏警察として生きている自分は……否、自分達は居なかった。
公爵と会う事も、陛下と会う事もなかっただろう。
「オレと取引しないか、真紅の旋風?」
弥王は、頽れて静かに涙を流す真紅の旋風に手を差し出す。
彼女は、涙で赤くなった目を弥王に向けた。
「オレは、この先を通してもらいたい。 ここのボスを殺れ、と、上司に命令されていてね。
お前がそこを通してくれるなら、お前の身の安全とお前の大切なモノを守ろう。
もし、オレがしくじれば、その時はオレを煮るなり焼くなり、好きにすればいい」
「弥王様!?」
「無駄だ、アス」
弥王の取引の内容を聞いていた明日歌がその内容にまた驚いて、弥王を窘めようとする。 だが、こうなれば意地でも話を聞かない弥王に何を言っても無駄だと思った璃王は、明日歌を制止する。
自分を見上げてくる明日歌に、璃王は言った。
「彼奴は、言い出したら聞かない……何を言っても無駄だ」
「でも……」
弥王がもし、しくじったら、自分の命の処遇は彼女に任せる、と言ったようなものだ。
明日歌が焦るのも無理はない。
もし、なんて考えたくはないが、もし、彼女の大切な物を守れなかった場合、弥王は殺されてしまうかもしれない。
弥王が殺されてしまうかもしれない事を、明日歌は心配していた。
「どうかな?」
弥王の問いに、真紅の旋風は考える。
自分は兎も角、彼奴を助けてくれるのなら──。
だけど、この人は信じていいのか?
黙ったまま弥王を見上げてみれば、緑の左目と目が合った。
吸い込まれそうな程に綺麗な、新緑の目。
その目には、躊躇いも蔑みも映っていない様だった ただ、真っ直ぐに自分を見据えている純粋な目。
彼の目を見ていると、自然的に言葉が零れ出てきた。
「───ジン」
──何故かは解らない。
「双子の弟を……」
だけど、気が付けばこの人に……
「助けて……」
助けを求めていた。
泣きながら、真紅の旋風──名を、サン・エデン──は、弥王に懇願する様に震える声で言った。
@皆の異名
風神=弥王と璃王を指す時の異名。
風のように突然現れて、嵐の後のように敵拠点を壊滅させることから。
悪夢の伯爵=弥王の異名。
標的の夢に現れて悪夢を見せつけたり、不気味な歌を歌いながら登場したりと精神的な攻撃をしてくることから、「悪夢の伯爵」と呼ばれる様になった。
尚、「伯爵」は、弥王のコールサインからきている。
「悪夢は悪夢の伯爵の襲撃の前触れ」と言われており、悪夢の伯爵に遭遇した場合は自決した方がマシ、と言われている。
悪魔の猫=璃王の異名。
英国では「悪魔の猫」で通っている。
闇属性のネクロマンシー系呪幻術「不死の屍」を用いて屍を操ることから、「悪魔の猫」と呼ばれている。
その他にも「鬼神も顔を背ける残虐性を持ち合わせている」、「死神ですら嫌う」、「鬼畜も泣いて命乞いをする」……と、その異名には諸説あり。
子爵=明日歌のコールサイン。
弥王が伯爵だから、と言う理由で子爵に。
のちに、「悪夢の伯爵みたいな精神攻撃をしてくる」ことから、「悪夢の子爵」と呼ばれる。
真紅の旋風=サン・エデンの異名。
火と風の術式を無理矢理組み込ませた大技「真紅の旋風」を得意としていることから。