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天使のあの子

作者: 犀星ゆき

天使のあの子微笑まない


誰にも微笑まない


あの、可愛らしく端正な顔立ちには柔和な笑みはきっと似合いそうなのだけれど


天使のあの子は泣かない


お金持ちの家の小学生たちが通り魔に無残に刺し殺されても


何十年も独り身の中で遂に孤独死したあまりにも淡々とした老人の処理に


親に怒鳴りつけられ、タバコの火を押し付けられ、いっぱい殺されて魚みたいな目をして虐待死した子どもに


いじめから不登校になって、まともな対人能力を育むことなく恋人も出来ずに、鬱病になって、仕事も上手く出来ずに、誰にも認められず、けど、何も自分のことを分かってとは言えず、社会からフェードアウトしていった軽やかな足取りの飛び込み自殺に


メンヘラとかメンヘラじゃないとかってこと?


違うな


あの子は誰にも…


すごい偉人の死にも


みんなに慕われた芸能人の死にも


ひ孫まで駆けつけた病院のベットでみんなに看取られて天寿を全うしても


猫を庇って死んじゃった女子高生にも


あの子は涙を流さない


淡々としてる。


あの子はみんなの死に際に現れる


だから悪魔だと言う人もいる


僕もそうだと思う


彼女はひどいんだろ


だって彼女はだから人間じゃないやつなんだろう


ちくしょうめ


俺のために泣いてくれよ、君は


ちくしょうめ


いつか君は


君のために


僕がやっぱり君は天使なんかじゃなく悪魔だったんだってことにしてるやるからな


やりたいな


そう思わないか


そんなことはないか


ところで僕は、自分と同じ立場の人間が僕の目の前でことさら持ち上げられて、讃えられて、褒められてるところを見るときゅうと胸が冷たくなるんだ。


気持ちよくて個人的には大好きさ


けど、それは一般的に悲しみなんだろ


辛いことなんだろ


多分


だから、


なんでだろうな


それはやっぱり比較対象がいるからなんだ


凡なくして非凡なし


彼女はそういうところを


分かっているし、体力もあるし。


だから、優しいんだ


でも、やっぱり天使は…


君はひどい悪魔だ!天使なんかじゃない!


バーカ


バーカ


せめて俺も君のために泣かない


天使の君に


泣きません

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