第7話 終わり
た、倒した。
効いた。
僕のキルが。
普通は効かないボス級の魔物に。
感動で言葉を出すことができない。
「た、助かったの?」
ファミーさんが、怪我した足を抑えながら立ち上がる。
「ぼ、僕のキルがやっと、やっと、やっと! ボス級の敵にも効くようになったんです!」
僕は飛び跳ねながら喜んだ。
本当に長い間、効くはずだと思ってきた事が、ようやく証明された。
やっぱり僕は間違ってなかったんだ。
「あんたが支援しないからこっちは死にかけたわよまったく」
ファミーさんが文句を言う。
「ま、でも、それだけキルにこだわれるのも一種の才能よね。大したもんだは」
「あはは、すいませんもっと早く倒せてればよかったんですけど」
「ボス級の敵にキルが効いたって事はかなり凄い事よ、さっきのはまぐれだと思うけど」
「まぐれじゃないですよ! 実力です!」
「そう? じゃあもう一回証明して見せてよ」
「証明?」
また一緒にダンジョンに行かないと、証明なんてできないよね。
これって遠回りに、もう一度ダンジョンに行こうと誘われているのかな。
ファミーさんの表情を伺う。
すると、彼女はウインクをした。
予想は当たっているようだ。
僕は、
「うーん、正直ファミーさんともう一度行くのはどうかというか……」
「ちょ! 空気読みなさいよ! ここは二つ返事で行くって言う場面でしょ!?」
「でも、ファミーさんって何か面倒な人っていうか」「面倒!? それあんたにだけは言われたくないんだけど! ……あ、痛っ!」
騒いだせいで、先ほどの傷がいたんだのか、ファミーさんは傷を抑える。
「治しましょうか?」
「治せるの?」
「ええ、神官ですから、回復魔法も使えます」
「戦闘の時にも使ってくれないかしらねぇ」
僕はヒールの魔法で、ファミーさんの傷を治す。
綺麗さっぱり治った。
「本当に使えるじゃないの」
「甘く見ないでくださいよ。ヒールくらい神官なら誰でも……」
あれ?
何だか体がふらつく。
あ、しまった。
魔法使いすぎて、魔力が切れたんだ。
こうなったら歩くことすら出来なくなる。
やってしまった。
僕はその場で倒れる。
「ト、トリフ!? どうしたの!?」
「魔力切れです」
「う、動けないの?」
「はい。運んでください。申し訳ないです」
「ちょ、ちょっと、行きで全ての魔物倒せた訳ではないのよ? 帰りにも出てくる。あんたを運びながら、倒せっての?」
「……お願いします」
「……やっぱりあんたともう一回ダンジョン行くの、やめておこうかしら」
その後、何とかファミーさんは僕を背負いながら、命からがらダンジョンを脱出した。
短いですがこれで完結です。
お楽しみいただけたら嬉しいです。
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