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第91話 激カワきゅんきゅん丸ぅ

 そしてレフィーにキスされてから10秒ほど時間が経つ――。



(ん? これは何かが流れこんで……。全身がこうムズムズと……)



 テュールは謎の流入感と掻痒感を味わっていた。そして可視化された魔力の渦が唐突に内側から吹き飛ぶように霧散する。そしてそこにいたのは――。



「ブッ!! テュ、テュールお前……。プッ。ダハハハハハ!! なんだそれ!!」



 レフィーが目の前から離れたので、振り返りアンフィスを見ると、俺を指差し笑い転げていた。レアなシーンだ。つーか、何がおかしい?



「む、そしてこちらも……、龍? 人? 竜人ではないな……。初めてみるな」



 テュールの隣に視線をやって、物珍しいものをみるようにファフニールが呟く。隣? 並んで立っているレフィーを見る。



 そこには小さな少女を抱きかかえるレフィーがいた。



「レフィー? それ誰?」



 今までいなかった人物が突如現れたのだ。当然気になる。見た目は2歳くらいの子だろうか? 赤と白を基調としたフリフリのワンピースを着ており、その背中からは翼を生やし、お尻のあたりには尻尾がついている。赤くて長い髪の毛は、そうレフィーそっくりだ。瞳の色だけ唯一違うなぁ。けどどこかで見たことのある目だな。どこだっけ?



「ん? 私の子供だが? ほれパパだぞ」



 レフィーはそう言って、腕の中にいるミニレフィーを手渡してくる。コドモ? ナニソレ?



 テュールは思考回路がショートした頭で反射的に手を差し出し、受け取る。



「パパー」



 ミニレフィーが上目遣いでパパと呼んでしがみついてくる。そんな攻撃についテュールの顔は緩みに緩み――。



「ハハ、よーしパパだぞ~? よーちよーち。……ってなんでやんっ!! なんだこれは!? なにがどうなっているんだ!? レフィー説明してくれ!」



 落とさないように慎重に少女を抱えながらレフィーにどういうことか尋ねる。目? そういや毎朝鏡に映る目とそっくりだよこんちくしょう!



「あ、兄上これは……。私も何がどうなっているのか分からないのですが……。これは普通の魂契約とは明らかに違う。何より龍族以外と魂魄継承を行うなど聞いたことがないです。それにそちらの人族の者の変化……これも未だかつて見たことがない。私も気を失ってしまいそうです」



 頭を抱えたボルトが覇気のない声でファフニールに問う。人族の者の変化……? 俺か? 何が変わって……。いや、現実逃避するのはよそう。見ないふりをしていたが、うん、俺の腕にめっちゃ鱗生えてますやん。



「フハハハ!! 我にも分からん!! 通常魂魄継承は成龍になった龍族同士の魔力交配でしかできん。と言うよりかはそれ以外のやり方は知らないからな。テュールはどうやって魂交配をしたんだ? 成龍時の魔力器官に直接魔力の塊をぶっ刺すくらいしか思い浮かばないが」



 魔力交配? なんだそれ? そんなもん記憶にない。成龍時の魔力器官に魔力の塊をぶっ刺す? そんなもん記憶に……。



「あ。あれかぁー……。あれなのかぁ……」



「フッ。そうだな。あれだ。無理やりテュールに魔力の塊をぶっ刺されたあの時だ。言ってみれば魔力レイ――」



「言うな。それ以上は子供の前でNGだ。つーか、え? 何龍族って魔力で子供作るの? 初耳なんだけど」



 レフィーが不穏なことを言いそうだったので遮る。というか子供ってあったかいのね。腕ポカポカしてきたよ。はぁ、もうわけわからん。俺も気絶しちまいてぇ。



「ふむ。龍族は何人も子供を産めるが、魔力交配して魂契約しての魂魄継承――分かりやすく言えば魔力で子供を産む、と言うのは一人だけだ。まぁこれは純粋な龍族同士でしかできないと思われてたし、口外するようなことでもないから伝わっていないだろう。で、普通は産まれてくる赤子は龍の姿だ。だが、レフィーとお前の子は、なにやら見たことのない形態だな。竜人であれば翼は生えぬし、そもそも皮膚には鱗が生えるはずだ。予測をするに部分竜化と言ったところだろう」



 部分竜化……。俺もそうなのだろうか。俺の場合はこのミニレフィーと違って、腕にも鱗生えてるしなぁ。あ、手ちっちゃい。カワイイ。ぷにぷに。



「そしてテュール、お前の場合は半人半龍化と言ったところか。強そうでカッコイイからよいではないか。見てみるか?」



 そう言うとファフニールは魔法で鏡を作り出す。そこに映っていたのは、レフィーより暗みのある深紅の翼と尻尾、そして頭からは二本の捻れた角を生やす自分。う~む、厨ニ心にはグッとくるはずなんだが、如何せん自分だとどうにもテンションが上がらないなぁ。むしろ、これこのままだったらちょっとイヤだな……。



「これこのままなのかなぁ?」



 誰に投げかけるわけではなくそっと呟く。



「なんだよ、このままでいいじゃねぇか。テュールパパカッコイイぞ? あ、ちなみに3mくらい離れて歩いてくれよ?」



 アンフィスがニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。今日はすごいつまらなそうだったのにここに来て、ウキウキウォッチングモードに入ったな。ヴァナルとベリトがいなくて良かった……。つーか、このままでいいわけねぇだろアホが、寝る時どうすんだよ! 翼と尻尾がゴツゴツして寝にくいだろが!



「パパいっちょー」



 そんなことを考えていると腕の中の赤子が、唐突に自分の翼を見てから、テュールの翼を指さしてそう言う。すまない、今はマジメな話をしているんだ、ちょっと静かに――。



「いっちょだねぇ。ほーら、いないいないばぁ」



 なんてことは思わず背中の翼を動かし、いないいないばぁをしてあやすテュール。キャッキャと喜ぶ我が子を見るともうほかのことなんて些事に思える。もうなんでもいいや。



「フフ、カワイイな。それにぷにぷになのが、またいい。ほれほれー」



 レフィーが赤子のほっぺをぷにぷにと突きながら顔を緩めている。あれ、なんだろうちょっと可愛い。



「ハッ!? 夢か……。恐ろしい夢!……じゃなかった……だと? 夢であって欲しかったけど夢じゃなかった……」



 そんな家族ほのぼのシーンで再起動したミリアン君。きっと彼の精神状態は非常にマズイ状態だろう……。とりあえずそんなミリアン君に絡まれるのもイヤだし、一旦帰ろ? 俺もう疲れちゃったよ。そう言おうとして――。



「ハッ!? そ、その子はレフィーたまの……!? か、可愛い! うぉぉおおおお激カワきゅんきゅん丸ぅぅううう!! お、お義父さんと呼んでもよいでしょうか!?」



 ミリアン君がぶっ飛んだことを言ってきた。

余裕がなくてハロウィンネタ書けなかったぁぁぁぁ!!ごめんなさぁぁぁぃいいい!!


そしてあまりの衝撃にミリアン君が真性に目覚めた!!

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