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第171話 強い子へっちゃら!

「俺たち……ですか?」



 今しがたアドレナイン全開で戦っていたテュールは、興奮冷めきらぬ頭をなんとか平常運転に戻す努力をしながら聞き返す。その問いに対し、ロトは大きく一つ頷く。



「あぁ、ひとまず場所を変えて作戦会議といこうじゃないか。当然、ウェンディとメイアもついてきてくれ。せんせーたちは言わずもがな、っすねー」



 そして、ロトは気安く、この場にいる全員について来いと言うと、歩き始める。その足取りはのんびりした口調に反し、早足であった。テュールを含め、名前を呼ばれた者たちはそれに大人しく従い、追従する。



「さて、ここが作戦司令室だ。入ってくれ」



 そこには、試合前に会った王族、そして遊楽団の面々が既に集っており、机を囲んでいた。



「んじゃ、まずは先に言っておく。こと作戦会議では俺たちが王族だと言うことは忘れろ。俺たちの一分一秒、そして判断の一手、二手に人命や国の存亡がかかっている。下らん礼儀や形式張ったもんは、活躍して報奨の場で存分にしろ。分かったな? よし、んじゃ早速だがまずは情報の共有だ。イアン頼む」



 ロトは先程までと違い、有無を言わさぬ圧力を持ってそう言うと、有楽団の面々はそれぞれ頷く。そして先程まで一人紙に向かい、筆を走らせていたイアンに対し、話しを振った。



「はい、では現状の説明をします。リエースでは以前からラグナロクに狙われているという情報があったため、上層部のごく一部では心づもりをし、対策を考えていました。当然このタイミングで来ることは予想できていたため、エリーザが指揮を取り、国防にあたっています。ですが、飛んできた情報によると数が多い。レベル1と呼ばれるゾンビもどきが数十万という軍勢で国内外の至る場所から湧き出ているとのことです。またレベル2と呼ばれる獣型の敵も散見されるということです。そして、厄介なことに主攻と思われる場所は見当たらないとのことですね。また、ローザがユグドラシルを守っており動けない、と」



 紙に羅列した情報を整理しながら、皆にそう伝えるイアン。そこまでイアンが喋ったところでルチアが言葉を挟む。



「まどろっこしいね。つまり、奴さんたちはリエース全土に無差別テロを行って、疲弊したところでユグドラシルを斬りにくるってことさね。んじゃ、簡単だ。あたしらが乗り込んで一人数万体潰せばいいんだろうよ。地図を見せるさね。んー、役割は三つだね。一つ、国民の避難誘導、二つ、ユグドラシルの防衛、三つ、クソッタレどもの始末。んじゃ、あたしが決めさせてもらうよ」



「あぁ、ルチアせんせー。話の途中ですまないが、五輝星でそっちに行けるのはルチアせんせーとジジイだけだ。あとはこちらで借りたい。と、言うのも──」



「あぁ、いいさね。その情報も頭にあるよ。老いぼれどもは置いていくさね。だが、若い衆は借りてくよ。ウェンディ、メイア?」



 ルチアはロトに二、三言で話をつけると、ウェンディネヴァとメイアの方を向き、了承を取る。即座に頷く二人。



「んじゃ、まずは避難誘導班を言うさね。リーダーはボケジジイだ。そして、班員はベリト、カグヤ、リリスだよ」



「ホホ。了解じゃ」



 そして、名前を呼ばれた者たちは静かに頷き、モヨモトの周りに集まる。



「次は、殲滅班だよ。リーダーはウェンディ、班員はメイア、レーベ、レフィー、アンフィス、ヴァナルだ」



「了解した」



 その言葉にウェンディネヴァは頷き、呼ばれた者たちを集める。



「そしてユグドラシルへ向かうのはあたしさね。あとはテュール、セシリア、テップ。あんたたちもだ。イアン、あんたはエリーザのところで補佐してやんな。それじゃ今から具体的な作戦を指示するよ」



 そして、役割を決めるや否や、イアンとルチアを中心に各班のリーダーが話し合い、避難の誘導先、防衛場所の優先順位、連絡用のサインなどを決めていく。



「──さて、以上が作戦さね。あとは臨機応変に今決めた連絡方法で連絡を取りながら動くんだよ。あとは、あんたたち遊楽団は戦場は初めてだろうから戸惑うことも多いだろう。だが、あたしたちが育てたんだ。泣き言は聞かないさね、慣れな。んじゃ、行くよ。ロト、そっちは任せたからね」



「了解です。ルチアせんせー。どうぞ、ご武運を」



「パパー、ママー、いっちゃうのー?」



 そして、今まで静かにしていたウーミアが出発の気配を察知し、おろおろし始める。これに対し、レフィーの母親である竜族皇后のヴァレリアが口を開く。



「フフ、ウーミアは私が預かろう。それに大ジージもいるぞ?」



「フハハハ、安心しろテュール、レフィー。我の目が黒い内は、ウーミアには指一本触れさせんさ」



 そして、ファフニールも胸をドンと叩き、自信満々にそう言い切る。その言葉に頷くテュールとレフィー。そして、テュールは駆け寄ってきたウーミアをそっと抱えあげる。



「ごめんな、ミア。ちょっと行って、すーぐ帰ってくるからいい子で待っててくれ、な? 帰ってきたらいっぱい遊ぼうな」



「ん、ぜったいね? やくそくだからね?」



「あぁ、絶対だ」



 そして、ギュッと強く抱きしめると、レフィーへと手渡す。



「すまないな、ミア。だが、私の娘だろ? いいか、竜族の女は強いんだ。少しくらい離れてもへっちゃらなはずだぞ? ミアはどうだ?」



「……うーは、つよいからへっちゃらっ!!」



「よし、いい子だ。フ、ミアが強い子で私は誇らしいぞ? では、お母様、お祖父様よろしくお願いします」



 レフィーもテュール同様ウーミアをギュッと抱きしめたあと、ヴァレリアにそっと手渡す。



「んじゃ、出発さね。移動方法は、さっきも言ったとおり竜の背で行く。ウェンディ、アンフィス、レフィー頼んだよ」



 こうして、ルチアたち一行は、龍の背に乗りリエースへと駆けていく。



すみません……。新章が思っていた三百倍書くの難しくて、中々筆が進まず更新が遅れています。

本当に申し訳ありませんm(_ _)m

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