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第162話 わーこの展開には作者もびっくりー

 五輝星の弟子が参加しているという発言に会場はまたしてもどよめきが生まれる。



 ──弟子!? 弟子だと!? 弟子など取らないことで有名だった五輝星が!? ──我ら? まさか全員の師事を!?



 テュールは、その会場のボルテージの上がり方になんだかよろしくない流れを感じ取り、冷や汗を流し始める。



「そうさね。五輝星であるあたしたち五人が手塩にかけて育てた弟子だ」



「あぁ、一人は俺の孫であるレーベだ。ガハハハ、見た目はちっちぇが強く育ってるから楽しみにしとけ」



「フフ、そしてそのペアであるもう一人は~」



「ホホ、うちの秘蔵っ子、最終兵器のテュールじゃ。ほれ、二人とも師匠が挨拶してるんじゃ、こっちきてお前らも挨拶せんかい」



 そしてモヨモトたちの視線の先、テュールとレーベに会場上の視線が集まる。こういう流れになると覚悟を決めていたテュールは、それでもやはり重い足取りで壇上へと上がる。



「ほれ」


 

 そして、マイク型魔導具を渡される。テュールは目を合わすと、無言で頷かれる。適当に喋れ、だ。



「あー、テステス。ご紹介に預かりましたテュールです。皆さん初めまして。ハルモニア校代表としてここに立たせてもらっています。師匠たちの弟子として恥ずかしくない戦いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします」



 元日本人であるテュールはどこまでも杓子定規なつまらない無難な挨拶に徹した。聞いていた参加者たちはやや首を傾げ、肩透かしを食らったような表情である。当然これには作者もガッカリだ。



(やかましいわっ! こんなところで調子乗って敵作りたくないんだよ!)



 そう、どこまでいっても小心者であり、ラノベ主人公になりきれない我らが主人公テュール。そして、そんなテュールにレーベがマイクを貸して? と手を伸ばしてくる。テュールは反射的にほいっと手渡す。そして──。



「……先に言っとく。私たちはこの大会で必ず優勝する。一切手を抜かない。負けた人たちは学生だから舐めていたって言い訳していい。よろしく」



 はい、そう言い放った後マイクを返してくるレーベ。



(えぇぇ……、何言っちゃてんのこの子?)



 その発言は私たちを舐めるな。お前たちのことは舐めているが、という意味だ。当然選手たちは激昂する。先程までは五輝星の弟子、ハルモニア校の学生さん、ちょっと可愛がってやるか程度の気持ち。つまりレーベの言う通り舐めていたわけだが、この発言により一気に剣呑さを纏った闘気をぶつけてくる。



「あは、あははは。何言っちゃってるんですかね。まったく。あははは……まぁ、でも──」



 そんな選手たちに対して渇いた笑いを浮かべたテュール。そして──。



「誰にも負ける気がないってのは本当です」



 最後、視線をまっすぐにそう宣言する。



「ホホ、というわけじゃ。まぁ今大会のだーくほーすになるのは間違いないの。ほいじゃ皆も検討を祈る。血沸き、肉躍る戦いを頼むの」



 こうして、サプライズゲストとして現れた五輝星は言いたい放題、やりたい放題の挨拶を終える。なぜ、強者とは自由なのか。強者であるからだ。そしてテュールとレーベ、師匠たちは壇上を下り、他の者と合流する。その間も視線はずっと突き刺さったままだ。出迎えるカグヤたちも苦笑気味である。



「ハハ、なんか大変なことになっちゃったねっ……」



「あぁ、なんか確実にめんどくさい方向に転がっている気がする……」



「フフ、これは一回戦敗退なんてできなくなっちゃいましたね」



「クク、セシリアお前は無意識にプレッシャーをかけていくな」



「なはは、まぁテューくんとレーベなら大丈夫なのだ! そういえばトーナメント表はまだなのだ?」



 げんなりするテュールに女性陣が声を掛けるが、どうやら逆効果のようだ。そしてリリスの最後の発言。そう、この大会は当日まで初戦の相手すら明かされない。トーナメント表が貼り出されて初めてそれが分かるのだ。



 丁度そんなタイミングでトーナメント表が貼り出される。テュールたちも当然気になる対戦表。大きく貼り出されたそれを見て、遊楽団の面々と師匠陣は頬を緩ます。



 そして、初戦の相手を確認したテュールに対して、遊楽団のメンバーが口々に声を掛けてくる。



「ハハ、テュールよかったな。一回戦敗退なんてできなくなったんだろ?」



「フフ、神様っていうか、作者も意地が悪いね~。おっと、メタ発言は怒られる、怒られるっとー」



「そうですね。惜しいですね、事実上の決勝戦が一回戦になってしまうのですから、後の試合がつまらなくなってしまいます」



「うわー、ご愁傷さま……。大丈夫だテュール! 俺はお前があれだけ大口叩いて初戦で負けても俺は何も言わねぇぞ。アレはヤヴァイ。見れば分かる。ヤヴァイヤツラだ……」



 そして、そんなことを言ったテップの肩に腕が巻き付く。その後耳元でボソリ──。



「随分な扱いだな、少年。どうだ? 凍ってみるか?」



「まぁまぁー。ウェンディ、そう挑発しないの。ボクたちがバケモノ扱いされるのは今に始まったことじゃないでしょ? あっ、レーベ久しぶりー」



「うげっ!? ひぃ、テュール助けてくれっ!!」



 テップに腕を回したのは先程その口から出たヤヴァイ奴。そう、テュールたちの初戦の相手は──。



「絶氷……、土兎ペア……」



 今大会本命中の本命。世界最強の一角の二人であった。



皆様いつもありがとうございますm(_ _)m

月日が経つのは早いもので発売まで残り四日となりました。

私の本を買って下さいとは決して言いません。

ただ、この作品を世に送り出して下さった読者の方々、TOブックスの方々、絵師の先生のためにもこれだけは言わせて下さい。

どうか、私の本を買って下さいっ!!

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